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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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62◇耐久飛行

62◇耐久飛行

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翌日、俺は朝から学園に向かった。

エドモンドには協力を要請してOKをもらっている。

学園への休日使用許可も取ってくれていた。

裏山は学園の敷地内なので正門をくぐらないとたどり着けないのだ。

それに魔道エアクラフトは魔石部の倉庫に入れているしな。


魔石部に行くと、エドモンドは既に待ち構えていた。

倉庫に行き、魔石ジェットエンジンの魔石をチェックする。

エドモンドが魔石調査専用の魔法陣を書いた紙を手に持って空気吸い込み口から突っ込む。

5秒ほど待って紙を取り出すと、描いてある魔法陣の一部が棒グラフの様に変色していた。

大体6割くらいの魔力残量だったので、別に用意してあった大きい魔力充填済みの魔石から補充する。

具体的には魔力転送の魔法陣が両面に描かれた紙で魔石を包み、魔石ジェットの空気吸い込み口から突っ込む。

紙の表には魔力吸収の魔法陣を、裏には魔力放出の魔法陣が描いてあり、表裏で魔力の流れを作って大きい魔石の魔力を魔石ジェットエンジンの魔石に流し込むのだとか。

ちょっと変わった非接触充電みたいなものか。

10分くらい放置し、大きい魔石を取り出して再度魔石調査用の紙を突っ込む。

出してみると、ほぼ10割近くまで棒グラフが伸びていたので満充填とする。

バッテリーEVみたいな感じだが、10分程度でこの充填速度なら十分実用的だな。

スペース系魔法のストレージに魔石を貯め込んでおけば航続距離は無限に近くなる。

何故なら、俺自身の魔力も充填に使えるからだ。

一晩寝れば魔力は殆ど回復するんで、予めちまちまと多数の魔石に充填しておけばすぐに魔石ジェットに移せる。


「リーダー、この魔石ジェットエンジンの中にある魔石の魔力総容量ってどれくらい?」


「そうだな、ステータス魔法で表示される魔力量に換算すると、だいたい2000くらいかな。到底一人の人間が出す魔力で満充填出来るものではないけれどね。あ、エルフなら出来るかも。」


おおーっと、俺、出来ちゃうんだよな。

今、俺の魔力量は2600超えてるし。

俺ってエルフ?

そんな訳は無い無い。

耳が尖ってないし、何よりモブ顔なので。


エドモンドは大きめの充填済みという魔石を5個ほど自分の鞄に入れて背負う。

俺はヘルメットと小手風グローブを着け、魔道エアクラフトを一緒に担ぐ。

デビッドに倉庫の扉を開けてもらい、裏山に移動した。


裏山の平地部分に着くと、今日はちょっと風が強い様だ。

風に煽られて3人がかりで何とか押さえる。

俺は乗り込み、体を固定して魔石制御リングを腕にはめる。

風上の方に向かい、「テイクオフ」と言うと押さえていた2人が手を離す。

同時に魔石ジェットを全開にし、向かい風を押しのける。

一瞬風力と推力が均衡したが、次の瞬間にはその場で垂直に浮かび上がった。

いきなり垂直離陸したので2人は唖然としている。

まぁ偶然力が釣り合っただけなので、いつも出来るわけではないけどね。


俺は打ち合わせどおり、平地の縁を低高度でグルグルと回る。

その間にエドモンドは裏山に登り始める。

山頂に着いて手を振って来たので、俺は魔石ジェットの推力を8割くらいまで上げる。

急速に上昇しだしたのでノーズを押さえて山の中腹くらいの高度に調整する。

対気速度は体感で時速100キロム弱といったところだ。

前世でリッターバイクで延々と高速道路を走った時の感覚に似ているな。

フルカウルモデルで、ぴったり伏せると風圧をあまり感じなくなったことを思い出す。

なるほど、後で風防を考えよう。

あと、スピードを出すにはやはり仰角だけで浮力を出すハンググライダーは不利だな。

層流翼断面の様な固定翼をそのうち試す必要があると思うが、まぁ焦らずまずは魔法の力技で押し切ろう。


高度を中腹くらいに保ったまま、高速で裏山の周囲をグルグルと回る。

機体とエンジンの耐久試験代わりになると思ったが、こりゃぁ俺自身の耐久テストみたいなもんだな。

1時間も飛んでいると結構冷えてくる。

前世ではこれくらいの気温で3時間程度は連続で高速道路を走っていたことを思うと、やはり装備の差が大きいと痛感する。

フルフェイスヘルメットに防風透湿素材のライディングジャケット、グリップヒーターや貼る使い捨てカイロを使っていたからこそ、快適に走れていたと思う。


ん?

それって全て風圧が原因だよな。

俺はあることを思い出してウィンド系魔法で自分の前に前方に向かって真っ直ぐ風を発生させる。

風の強さと広がり具合を色々調整してみると、体にかかる風の影響がかなり少なくなる状態を作り出すことが出来た。

恐らく前方に噴射する空気の層が体の表面に纏わりつき、擬似的に風防の役目をしているのだろう。

逆噴射に近いから機体速度の面からはデメリットだが、パイロットの快適性には代えられないからこれで行こう。


ならばと、三角翼の前縁の棒にもこのウィンド系魔法で均一に風を発生させてみる。

色々調整してみると、ある条件でガクンと機体速度が上がった。

なるほど、単純に空気抵抗が減ったのだな。

翼面に薄い空気の層が出来ることにより、翼形の不利が緩和されるということなのだろう。

魔法の何も無いところから風を発生させる効果が、物理法則にとってもかなり有益に使えるのは異世界ならではだな。


色々やったので体感での対気速度は当てにならなくなった。

なので一旦着陸し、平地で待機していたデビッドに俺が今から裏山を周回する回数を数えておく様に頼む。

あと、学園の時計台の時間も記録する様に頼む。

デビッドに紙と鉛筆を渡すと、現在時刻を書いていた。

俺は再び離陸し、推力8割で裏山の中腹を出来るだけ綺麗な円で周回し始める。

学園の時計台のをチラ見しながら大体2時間程度飛んだところでデビッドの近くに着陸する。

山頂のエドモンドに手を振って降りて来てもらい、休憩とする。


俺は予めストレージ魔法に入れておいたキャンプ用の折り畳み椅子とテーブルを出す。

同時に鉄のヤカン状の容器も出す。

フォークと小さめの皿も3セット出す。

エドモンドとデビッドは俺が何を始めたのかと質問したげな目をして俺を見る。

そこで「スキル:自衛隊魔法、ランク2装備」と唱え、カッ⚪︎ヌードルとカ⚪︎リーメイトを6個づつ出す。

最近では数量も同時にイメージすることで、魔力消費の少ない物なら一気に複数個に出せる様になったので便利だ。


まずカ⚪︎リーメイトを2人に配り、封を切って食べさせる。

2人とも最初はこの世界の不味い固形食をイメージした様で遠慮していたが、一口食べると目を丸くしてがっつき出す。

2箱はペロリと平らげた。

この世界の感覚からしたら甘いクッキーに近いからな。

その間に俺はカ⚪︎ヌの準備をする。

ウォーター魔法とファイア魔法を同時に使い、ヤカンに湯を入れる。

追加でファイア系魔法で少し炙り、沸騰させる。

シュリンクラップを剥がし、蓋をめくっておいて熱湯を3個のカ⚪︎ヌの容器に規定量まで入れ、蓋をして重しに皿を乗せる。

だいたい3分程度経った頃に皿をどかして蓋をめくり、フォークを刺して食べる様に2人に言う。

これまた最初は恐る恐るフォークでつついていたが、一旦口に入れると熱いのにも関わらずズソーという音を立てながらあっ言う間に完食した。

2人とももう1個のカ⚪︎ヌ容器をチラチラ見ているので食べるかと聞くと思いっきり頷く。

これも作ってやるとすごい速さで食い出した。

俺はゆっくり食べ始め、俺の分のカ⚪︎ヌをじっと見ている2人を無視して2個目も食べようとするが、あまりにも見て来るので仕方なくカ⚪︎リーメイトをもう2個づつ出してやる。

欠食児童かと思うくらいに2人はガツガツ食っていた。

やはり自衛隊員御用達でもあるあの2種類は最強だな。

食べ終わるとゴミは俺のスキルの粉砕魔法で粉々にして地面に撒く。

プラ系は土に還らないが、まぁ少量なので問題になることもあるまい。


さて、食後に先ほどの高速耐久テストの結果を見る。

2時間ちょっと飛んで、180周回った。

デビッドに俺の飛んでいた円の直径を目測で聞くとだいたい0.5キロムくらいだと言う。

護衛や領兵は訓練で目測を徹底的に鍛えられるから信用できる。

以前実家近くの河原で歩測させた時も俺の双眼鏡測距とピッタリだったしな。

さて、0.5×3.14=1.57で、一周約1.5キロムとする。

1時間で90周なので、掛けると時速135キロムってとこだな。

飛行距離は180×1.5で270キロムだ。

ウィンド系魔法の工夫がいい具合に仕事をしてくれている様だ。

これなら実家との500キロムを4時間弱で飛べることになる。

途中で1回休憩して5時間弱ってとこだな。

うん、これならもうこのまま実家まで飛んでもいいかも。


だが、デビッドが途中の障害になることを言う。

この世界には空を飛ぶ猛獣がいるのだ。

魔獣ではないが、ストライクイーグルという翼を広げると人間の身長の3倍くらいになる大型の猛禽類だそうだ。

前世のアンデスコンドルみたいなものか。

確かあれは大きいだけで空中で攻撃することは少なかったはず。

だが、こっちのストライクイーグルは空中戦をするそうだ。

まるでF15だな。

速度については情報が無かったが、所詮は生物だ。

時速135キロムも出せるとは思えない。

だが、自衛手段は用意しておこう。


俺はデビッドから9mm拳銃とホルスターを借り、装着する。

魔道エアクラフトに乗り込んで左右を2人に支えてもらい、足が地面から離れた状態にする。

その姿勢でホルスターから9mm拳銃を抜き、前後左右に構えてみる。

ちょっと苦しいが、片手でコントロールバーを握ったまま狙いは充分付けられる。

本当は89式の方がいいんだが、アレは片手ではまともに扱えない。

ホルスターを両腰両脇に装備して9mm拳銃を4丁持っておけば何とかなるだろ。

それにウィンドエバキュレーター無しで撃てば轟音がするのでそれで追い払えると思う。

銃口から結構な火炎も出るしな。


エドモンドが魔道エアクラフトの魔石エンジンの魔力残量を計ると丁度半分くらいになっていた。

鞄から大きめの魔石を出して補充する。

10分くらいで9割くらいになったのでこれで良しとする。

昼からも3時間ほど飛び、今日の耐久飛行試験は終了とした。


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