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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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60◇魔石ジェット

60◇魔石ジェット

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さて、魔石ジェットの部材を発注して3日が経った。

放課後に魔石部に行くと、部材は全て揃っていた。

大型の旗も畳んだ状態で入っていた。

ワイヤーの巻きも工具もある。


「ずいぶん早いですね。こんなややこしい物、もっと時間がかかるかと思ってました。」


「まぁ一番やっかいな魔石はここに全部あるしな。さて、魔石ジェット?の部材を持ってモーリスの所に行くか。」


俺とエドモンドは手分けして魔石ジェットの部材を工作部に持ち込む。

部材は以下になる。

直径0.5サブキロムの薄い鉄の円筒。

その外側に巻く鉄の帯。

ウィンド系魔石40個。

内側に付ける魔石を固定するリング4本。

円筒後部のノズルを製作するの必要な鉄板。


「やぁ、モーリス。持って来たぞ。」


「早いなエドモンド。もっと時間がかかるかと思った。」


「なーに、魔石は俺の得意分野だしな。在庫で賄えた。」


「よし、図面と合ってるな。足りない部材はこっちの在庫から使うから後で請求するぞ。」


「ああ、そうしてくれ。なるたけ軽くて丈夫に作りたいんだ。出来るよな?」


「まかせておけ。工作部の力を見せてやる。」


うん。

無事魔石ジェットはプロの手に委ねられた。

俺自身があれこれするよかよっぽど安心だ。


俺とエドモンドは魔石部に戻り、畳んである旗を広げてみる。

なるほど、王宮の旗と同規格らしく、寸法は15サブキロム四方あった。

ハンググライダーは一番広げても10サブキロムも無いので間に合うな。


早速骨組みとなる3本の棒を先端部になる箇所でまとめる。

針金を使用し、ある程度柔軟性を持たせて縛り、上からストロング系魔法のリジットをかけて解けない様にする。

これで1本6サブキロム(6m)ある木の棒は折り畳める様になる。


横木は中央の棒の中央付近に横向きに固定し、両脇の2本が90度の角度で開くように仮固定する。

ここは容易に付けたり外したり出来る様に工夫しておく。

そうして三角形に広がった骨組みに旗を被せていく。

旗を骨組みに仮止めし、一回り大きく切っていく。

切り終わると、木の棒を包む様に巻いて補強の布を当て、針金で固定していく。

中央の棒も固定する。

固定した箇所はストロング系魔法のリジットを弱めにかけて柔軟性を持たせて固定する。


一旦裏返し、中央に鉄の棒で三角形状になる様に操縦桿となる箇所を付ける。

その後ろに重量物を運ぶ時に使う丈夫な袋をぶらさげる。

袋は途中に穴を開け、両足を突っ込んで体重を支えながら走れる様にする。

中央に縦に1本木の棒を固定し、各端部との間にワイヤーを張っていく。

末端は専用の部材で処理し、端部とは少しの手間で取り外せる様にする。

ストロング系魔法のリジットを掛け外しすることで容易に固定分解出来るな。


全部処理が終わって完成した状態で見る。


「これ、何て名前なんだい?」


俺は少し思案する。

ハンググライダーそのままでいいような気がするが、もうちょっとこっち風の名前にしたい。

魔石ジェット込みの名前にしよう。


「魔道エアクラフトってどうでしょう?魔石ジェットエンジン込みの状態で。」


「うん、それでいいと思う。素直な名前だな。」


もっと気の利いた名前に出来なくてすみませんね。

と心の中で思いながら一応の完成を喜んだ。


「さて、ちょっと裏山に行ってみるか。歩いて10分くらいだな。」


「ちょっとこれにグラビティ魔法をかけるので待って下さい。」


俺はそう言って魔道エアクラフトに重量軽減の魔法をかける。

最初は重くて持ち上げるのに苦労したが、魔法をかけると何とか持って歩ける程度になる。

エドモンドと2人で両端を持ち、前後になりながら裏山への道を行く。

途中、何度か幅の狭い箇所があって通すのに苦労したが、何とか畳まずに通った。


10分ほど緩い山を登ると夏場のスキー場の様な裾野が見渡せた。

途中に木が何本か生えているが、飛ぶルートに支障は無い。

俺はエドモンドに手伝って貰いながら三角棒を持って持ち上げ、袋に足を突っ込んでベルトで固定し、ストロング系魔法で固定する。

万一の為に、中央の棒にロープを巻き、それを両脇の下を通しておく。

これで袋が破れても落ちはしない。


エドモンドに合図をし、少し離れて貰う。

向い風を確認し、三角棒を持ち上げて少し仰角を作り、走り出す。

この時アシスト系魔法のパワーとスピードを最大までかけ、センスアシストもかけて機体の状態を観察する。

5歩ほど走ると足が宙に浮いた。

三角棒を握って前後左右に体重移動し、バランスを取る。

何とか20mほど滑空して着陸した。

最初はこんなもんだろ。


「浮いたな。最初は疑問だらけだったが、ちゃんと理屈に従って構成すれば浮くんだな。」


「うん。僕も閃きだけで作って様なもんだけど、ちゃんと理屈を通せば応えてくれるもんだね。」


実は前世でハンググライダーの動画は毎日の様に見ていた。

トレーニングや組立撤収のハウツー動画も散々見ていたのである程度は詳しくなっていた。

そうでなければここまで一気に出来るはずがない。

まぁこっちの魔法頼りなところも多々あるからだいぶインチキしてるんだけどね。


その後、何回も上ったり下りたりして練習をした。

エドモンドにも乗ってみないかと言ったが、思いっきり遠慮された。

高所恐怖症なのかもしれないな。


最終的には山の緩い斜面がきつくなって歩いて登れない所まで登り、そこから一気に駆けて飛ぶとかなり高度が上がった。

左右の操縦性も確認し、途中で1回旋回してからふもとの平地に着地出来るまでになった。

これはこれで純粋なハンググライダーとして楽しんでもいいな。


次の日も放課後に裏山で飛び、3日目にはきりもみ降下まで出来る様になった。

途中で明らかに失速したんだけど、そこはウィンド系魔法をぶっ放せば何とかなった。

空中起動用のスラスターみたいなもんだな。


その日の飛行を終えて魔石部に帰って来ると、工作部のモーリスが待っていた。


「よう、今日も飛んでいたみたいだな。学園中の話題になっていたぞ。」


「まぁ裏山は学園中から見えるもんな。一応俺の権限で学園長には声をかけてあるから問題は無いはずだが。」


「いや、責めているわけじゃぁない。奇特な人と思われてるだけだな。」


ははは、やっぱり変人扱いされてるんだな。

でも、俺の野望はそんなことくらいでは揺るがない。


「で、その奇特な人が注文したブツが出来たぜ。」


モーリスが床に置いた包みを解くと、そこには鈍く光る魔石ジェットエンジンがあった。


「モーリスさん、ありがとう。早速説明して貰ってもいいかな。」


俺の要望に応えてモーリスは魔石ジェットの説明を始める。

俺の図面どおりではなく、勝手に改良した部分もあるのでそこを含めた詳細な説明だ。

暫く説明を聞いていたが、さすがとしか言えない改良点がかなりあった。

動作テストも済んでいる様で、噴射ノズルは一番推力が高くなる様な絞り込みにしてあった。

試しに体重計に乗せて試運転してみると、推力は軽く100サブタン(100kg)を超えた。

その時の俺の魔力消費も1分間で20くらいにまで抑え込まれていた。

これなら全開で100分噴射出来るな。

まぁ巡行時にはその半分くらいに抑えるだろうが。

その時は大き目の魔石を携行して時々魔力を補給すれば500キロムは何とかなりそうだな。


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