42◇護衛部隊89式訓練
42◇護衛部隊89式訓練
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昨日魔の森から帰還し、翌朝父親に魔獣相手でも手持ち魔道銃が十分有効であることを伝える。
今回、俺は89式を用意して魔道銃で撃ち漏らした時の補助をするつもりであったが、グレイウルフ3頭、レッサーベアー3頭を全て魔道銃だけで討伐したので出番は無かったと言う。
但し、対人戦闘になった場合は弓矢に飛距離で撃ち負ける場合があるので、更なる改良が必要と言っておく。
改良の為の素案も何通りかあるのでハンスとガーソンに図にして渡すと言い、今後は俺抜きで進めて欲しいと伝える。
「そうだな。来月にはお前も王都学園に行かねばならぬのだしな。」
「はい、なので残りの1ヶ月で護衛20人全員を魔長銃の名手に仕立てたいと思います。」
俺はそう言い、護衛20人に河原の200mレンジで89式の射撃訓練することにした。
まず、バレットM95を撃ったことのあるハンスと魔法組3人を先に鍛え、彼らに残りの17人を鍛えて貰うことにする。
俺一人が付きっきりになってやる暇は無いしな。
「マーク、あと一ヶ月で私は王都学園に行かねばならないんだよ。そこで護衛全員に魔長銃に慣熟して貰いたいと思うんだ。」
「手持ち魔道銃が領外に普及して、それを使って攻め込まれた場合の対抗手段ですよね。実際にどれくらいの有効性があるのか見たいと思っていました。」
「それで、今日の昼から河原の射場に行って手持ち魔道銃と魔長銃を撃ち比べてみるよ。魔法組の3人とハンスも同行して貰う。同時にあの4人に射撃教官となるべく訓練をするよ。マークも少し撃って感触を掴んで欲しい。」
俺はそう言い、準備する物を紙に書いて渡した。
・89式・6丁
・30連マガジン・12本
・5.56mm弾・1500発
バレットM95・3丁
射撃教官レベルにするのに一人250発とは少し少ないが、あまり余裕も無いので仕方がない。
俺が2日で出せる量なので何とか繰り返して貯めておこう。
ちなみにバレットM95は24倍スコープを使って着弾を見たいからで、今回は射撃はしない。
昼過ぎに武器庫から89式を人数分出して馬車に積み、護衛4人とハンスと俺は馬車と馬に分乗して河原の200mレンジに行った。
的は2m間隔で6個並べて置き、それに合わせて後ろの小山ブロックも拡張した。
そろそろ地下射撃場も検討したいところだが時間が無い。
アイデアを書いて父親とマークにやって貰おう。
的から200m離れた発射地点に行き、折り畳みテーブルを6個降ろして開く。
各人89式と30連マガジン2本と5.56mm弾を100発づつ取り、それぞれのテーブルに置いて貰った。
バレットM95の3丁も等間隔に置く。
「まず、私が一通り操作して射撃するのでよく見ておいて。」
最初に89式から20連マガジンを抜き、5.56mm弾を20発詰める。
30連マガジンにも30発詰める。
マガジン底部の斜めになっている方向を示し、5.56mm弾の詰める方向を指示する。
詰め終わった20連マガジンを89式に装着し、バレル下の2脚を開いてテーブルに乗せる。
ストックを肩付けし、コッキングレバーを引いて離す。
ドットサイトの前後のキャップを上に跳ね上げ、横のダイヤルを回してドットの電源を入れる。
セレクタレバーを「ア」から「タ」に切り替え、ドットを的に合わせてトリガーを引いた。
パンという音と共に的の後ろから少し土煙が上がる。
バレットM95の24倍スコープで見ると的のほぼ中央に当たっていた。
続けて5発ほど撃ち、セレクタレバーを「3」に切り替える。
トリガーを引くと3点バースト連射する。
うまいこと89式をコントロールして押さえ込み、何とか3発とも的に当たった。
続けて4回トリガーを引いたらマガジン内の20発を撃ち尽くしてコッキングレバーが後退した位置で止まった。
マガジンキャッチボタンを押して空になった20連マガジンを抜き、装填された30連マガジンを差し込む。
ボルトキャッチを押し下げるとボルトが前進し、マガジンから初弾を抜き出してチャンバーに収める。
セレクタレバーを「レ」に切り替え、トリガーを少し長めに引いて15発ほどフルオートで連射した。
パワーアシストを最大で掛けながら撃ったので何とかコントロール出来たな。
セレクタレバーを「ア」に戻し、マガジンを抜いてコッキングレバーを引いてチャンバー内の実包を抜いた。
「以上がこの「魔長銃」の全操作だよ。何か質問はあるかな。」
ウィンドエバキュレーターはずっと発動していたので発射音は耳栓無しでも何とかなる程度だ。
しかし5人とも口を開けてポカンとしていた。
まぁ気持ちは分かる。
9mm拳銃でセミオートマチック銃器は扱ったことがあるのでトリガーを引くだけで次々に撃てるのは馴染みがある。
しかし、3点バーストやフルオート射撃は初見だろうし。
いや、89式のサイトインの時に3点バーストは見ているか。
「魔強銃に比べて操作が少し複雑になっているので、撃つ前に確実に操作できる様に覚えて欲しい。トリガーを引くだけで自動的に最大30発が連続発射出来るんで、ちょっとでも間違えると味方が全滅するよ。」
「それはあまりにも危険ではありませんか?手持ち魔道銃に紛れて使うには飛躍が過ぎて隠せていません。」
「そのとおりだね。今はこの銃の最大能力を知ってもらう為に見せたけど、3連射と全連射は今後使用禁止としようか。」
俺はそう言って、89式の右側面のセレクタレバーをぐるっと回して見せた。
一つ一つ説明していく。
「見たことのない文字が書いてあると思うけど、これは形で覚えて貰う。「ア」は安全位置だよ。ここにしておくとトリガーを引いても発射されない。撃つ寸前まで必ずこの位置にしておくこと。次の「レ」は先ほど10発以上連射した時の位置だよ。危険なのでこの位置で止めてはいけないこととする。次の「3」はトリガーを引く度に3連射する時の位置だ。これもこの位置で止めてはいけないとする。最後の「タ」の位置で一発づつ撃てる状態となる。撃つ時は必ずこの位置でしか撃ってはいけないことを徹底しよう。」
米軍のM16やM4A1みたいに左からセーフ、セミ、フルになっててくれたら簡単なんだけどね。
自衛隊方式は慣れないと操作が非常にやっかいだ。
オマケにカタカナが読めないと丸っきりポジションも分からないし。
まぁカタカナが読めても普通の日本人には分からないか。
俺は安全には口が酸っぱくなるほどくどくどと説明した。
操作を誤ってフレンドリーファイアなんてしたら目も当てられないし。
銃口は絶対に敵や魔獣以外には向けない、撃つ時以外は絶対にトリガーガードに指を入れない、セレクタレバーは常時「ア」の位置にして銃を構えて撃つ直前まで「ア」の位置から動かさない。
以上をお互いに操作しながら確認させて訓練を繰り返した。
弾を抜いた89式をスリングで背負った状態から構えて肩付けし、コッキングレバーを引いてセレクタレバーを「ア」から「タ」まで一気に回してグリップを握り、ドットサイトで的を狙ってトリガーガードに指を入れてトリガーを引き、空撃ちする。
構えたままでセレクタレバーを「タ」から「ア」まで回し、銃を下ろしてスリングで背負う。
これを半ば無意識で出来るまで弾とマガジンを抜いた89式でやらせる。
1時間もするとだいたい操作に慣れた様なので実射に移る。
ウィンドエバキュレーターはマーク以外は各人で発動させ、マークの分はハンスに掛け持ちで発動して貰った。
各人20連マガジンに5発詰めさせ、89式に装着する。
2脚を開き、ドットサイトを使える様にし、コッキングハンドルを引いて離し、肩付けして狙い、「タ」にして撃つ。
5発撃ってコッキングレバーが後ろに下がったまま止まると「ア」にしてマガジンを抜き、再度5発詰めて操作を繰り返す。
これを持って来た弾が尽きるまでやった。
5発撃つ毎にバレットM95の24倍スコープで着弾を確認させ、当たらない様なら俺が直接指導する。
銃が傾いていたり、狙点が違っていたり、トリガーをガク引きしていたりと、当たらないのはそれなりの理由がある。
持って来た1500発の5.56mm弾は2時間で撃ち尽くした。
「これでだいぶ操作に慣れて当たる様になったかな?」
「まだまだ撃ちたりませんが、的の中央付近には当たる様になったと思います。」
「うん、確認した。だけどそれはテーブルの上に2本の棒の台を乗せてしかも座っての結果だよね。実際の戦場や魔の森ではそんな悠長なことは出来ない。なので次回はしゃがんで膝に腕を乗せて撃つ撃ち方と、立ったまま撃つ撃ち方の訓練をやるよ。」
俺がそう言うと、全員ちょっと気落ちした様な表情になった。
まぁそうだよな。せっかく的の中央に当たる様になったのにそれを全否定された様なもんだしな。
だが、実際の戦闘になると進軍しながら撃つ場合もある。
それこそコンバットシューティングの様な訓練まで要求されるだろうし。
あまり時間が無いが、しっかり5.56m弾を召喚してやれるだけのことはやろう。




