39◇試射成功
39◇試射成功
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6日後、ガーソンが試作の手持ち魔道銃を持ってきた。
俺も呼ばれて護衛詰所に行き、テーブルに置いてある魔道銃を皆で見る。
ガーソンが図面と比べながら一通り説明する。
図面と異なる部分もあるが、作りにくかったら変更しても良いと言ってあるので機能に影響が無ければ問題無い。
撃発部分も安全装置もきちんと機能する。
持ってみると重量は5kg弱といったところか。
89式よりはだいぶ重いが、バレットM95に比べたら半分以下だ。
軽い軽い。
尾栓を抜き、火口の所を見ると内側からミスリル合金の釘が刺さって外で曲げて固定してある。
銃口を少し上にして鉛玉を入れてもらう。
転がり落ちて来てミスリル釘で止まる。
逆さにして鉛玉を抜き、何個か試して鋳造の試作銃と同程度の精度だと確認した。
ハンスも呼ばれていたので試作してあった超小型発火魔方陣を持って来てもらう。
これは直径2cmくらいの銅板に発火魔方陣を彫って作ったものだ。
紙に書いた魔方陣と同様に、これで発火魔法石が反応することも確認済みだ。
ハンマーを起こし、先端のクリップに発火魔方陣の銅板を填め込む。
安全装置をかけてトリガーを引くとハンマーは落ちるが途中で止まる。
改めてハンマーを起こし、安全装置を外してトリガーを引くと、発火魔方陣の彫刻面がミスリル合金の釘に触れた。
再びハンマーを起こし、安全装置を掛けて銃身内側のネジのすぐ先のミスリル釘に触れる様に発火魔石粉を布にまぶして詰める。
皆を少し下がらせ、安全装置を外してトリガーを引く。
一瞬の間を置いて銃身内に詰めた発火魔法石粉付き布が発火し、燃え尽きて黒い煤になった。
成功だ。
これで火縄銃の弱点である雨や湿気に弱い、火縄の管理が大変、風が強いと火口の皿の火薬が飛ぶと言ったものとは無縁の前装銃が出来たことになる。
パーカッション式に近いが、発火魔方陣は繰り返し使えるので使い捨てのパーカッションキャップよりメリットは大きい。
尾栓を締めて安全装置を掛け、銃口を上にしてハンス作の試薬3号を3g入れる。
銃身の下から木製の槊杖を抜いて銃口に入れて突き固める。
次にフェルトのブロックを入れ、最後に薄い紙に包んだ鉛玉を入れて槊杖で奥まで押し込む。
薄い紙は銃口を下にした時に弾ポロしない為だ。
射場に持って行き、テーブルの上に土魔法で手持ち魔道銃を填め込む台を作る。
銃身上の前後に付けた簡単な出っ張りで的に照準を合わせて調整する。
反動を受けられる様に後ろの支えを付け、跳ね上がりを押さえる為に上に重しを置く。
重量は20kgくらいあるので反動で吹っ飛ぶこともないだろう。
トリガーに糸を括り付け、テーブルの後ろに垂らす。
皆に少し離れる様に言い、自分は防護メガネ、耳栓、革手袋装備で盾の後ろに隠れ、安全装置を外して糸を引く。
手持ち魔道銃はパンという音と共に少し跳ね上がり、弾は的の下方に当たって後ろの土壁に5cmほどめり込む。
その後、試薬6gと9gも発射試験を行い、鋳造試作銃とほぼ同じ結果が得られた。
耐久性を調べるためにその後12gと15gの試験も行い、耐えることも確認した。
試験後分解してガーソンに確認してもらい、ひび割れも変形も無いと言われた。
さすが補強魔法、いい仕事してますねー。
さて、次は人による発射試験だ。
これはデビッドが立候補した。
デビッドには護衛装備として数着保管してある金属鎧を着せた。
これはヘルメットもある全身金属鎧で、関節部も保護板で覆ってある完全武装だ。
これにペットボトル製の防護メガネをヘルメットの中で掛けさせ、耳栓も着けた。
安全第一である。
照準についてレクチャーし、何回か空撃ちをさせてみる。
銃床の無い火縄銃的な特徴のある構えだ。
さすがにバレットM95を撃ち慣れているだけのことはあって、トリガーの引きブレは殆ど無い。
試薬3号を9g詰め、フェルトと鉛玉を入れて渡す。
デビットは銃を構え、安全装置を外して的を狙う。
発射すると初弾は反動にびっくりして銃を取り落としそうになったが、何とか支えて落とさずに済んだ。
その後30発ほど撃ち、分解してガーソンに確認して貰う。
試薬3号の木炭由来の煤が銃身内部に少し溜まって来ている以外は特に問題は無いとの判断だった。
尾栓を抜いて長いブラシで銃身内の煤を掻き取り、布を丸めて通して拭く。
硝石を使った火縄銃ならもっと手入れは要るが、発火魔石の魔道銃はこの程度の手入れで十分であろう。
とりあえず追加で同じ物を5丁発注し、我々6人分の装備とする。
これで魔の森に試し撃ちに行って、魔獣への威力を確認しよう。




