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23◇魔の森の危機

23◇魔の森の危機

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前回の魔の森の2回目ハンティングから約2カ月が過ぎた。

護衛の魔法組3人の魔拳銃の訓練も順調に進み、今では射場の20m程度の距離なら30cm四方の鉄板に殆ど当たる様になった。

だいたい週に2回、1回半日くらいの時間でやっている。

今では一回に一人当たり300発は撃つようになったので、用意する方も大変だ。

まぁ9mm実包100発で魔力70なのでそれほど辛いということもないが。

9mm拳銃はノーメンテで2千発以上撃っているが、今のところ殆ど不発や装弾不良は無い。

そろそろメンテをしないとジャムりだす頃合いと思うが、9mm拳銃の召喚魔力コストが一丁200なので改めて召喚した方が簡単だ。

3千発頃に一度不具合率を出して貰おう。

そして、そろそろ銃器の管理を護衛部隊に任せようかと思う。


「父上、護衛の魔拳銃の訓練も順調に進んでいます。魔拳弾の消費量も一人一回で300発は消費する様になりました。私の魔力はまだ余裕がありますので出すのは問題ありませんが、そろそろ私の部屋に保管するよりも護衛詰所の中に武器庫を作る方が良いかと思います。」


「だが、魔拳銃や魔拳弾はお前しか出せないのだろう?それなら今までの様にお前自身が管理する方が良くはないか?」


父親の言うことももっともである。

しかし、忘れてはならないのは俺はあと数か月で王都学園に入学するということだ。

半年ごとの盆暮れには帰省して補充するが、大半は王都に行ったままになる。


「父上、私もあと3か月で王都学園に入学しないとなりません。その場合、私の自室の武器庫をそのまま使われるのは少々抵抗感があります。あと私の部屋自体に強固な鍵がかかりませんし、私が居なくなると無人になります。それでしたら、常に護衛の誰かが常駐しており、いざという時は要塞にもなる護衛詰所の方が武器庫の設置場所としてはより良いかと。」


「確かにな。今までお前に全部任せていたが、管理の方はそろそろ私とマークで引き受けよう。」


父親はそう言って、今後のランバート領武装化計画を話し始めた。

同時に紙を出してペンで書き始める。

希望としては以下の様なことをしたいらしい。

・護衛の魔法組3人だけでなく、あともう3人は魔拳銃を習熟させたい。

・追加の3人分も入れて、魔拳銃は合計6丁は欲しい。

・破損したり紛失した場合の予備として追加で3丁欲しい。

・魔拳弾は訓練に常時消費する分を除外して、3千発は備蓄したい。

・魔長銃も俺が王都学園に入学するまでに装備に入れたい。


「父上、魔長銃はここの射場では距離が短すぎて訓練になりません。最低でも的までの距離が今の5倍は必要です。出来るなら10倍あるとなお良いです。」


俺は89式の射程距離を考えて200m程度の距離があれば練習場としては十分と考えた。

深い理由は無いが、アイアンサイトやドットサイトならこれくらいが限界だろう。


「ううむ、それは今すぐにには用意出来ないな。まず場所を確保して、周囲の安全も考慮する必要があるのだろう?お前はどう想定しているのだ。」


「屋外の広い場所で訓練し、暴発や事故などであらぬ方向に飛んだ場合、4キロム程度のどこかに落ちるので非常に危険です。

多少威力は落ちますが、それでも殺傷能力は十分にあります。


「ではどこで訓練をするのだ?」


「領都の城下町の外に領兵の練兵場があります。確か一辺が1キロムの半分くらいあったと思いますので、そこの地下に作るのはいかがでしょう。」


「地下だと?どうやって作るのだ。」


「護衛の魔法担当3人と領兵の中から10人くらいで土魔法が使えるグループを作ります。練兵場の地下に地下2階くらいの深さに横向きに地下壕を掘ります。土板強化で壁面と天井を覆い、断面が今の射場くらいの幅で長さが射場の10倍くらい掘り進めば出来るかと。」


「それ、不可能ではないが、とんでもない労力が要るぞ。」


「はい、それは承知しています。ただ、その他の方法ではもっと工数と費用がかかります。安全性もこちらの方が格段に良いですね。更に、地下にすると魔長銃の発射音も完全に漏れない様に出来ますので、他領や王家の注意を引くこともありません。工事も領兵ですることにより、秘密も守れます。」


「ううむ、確かにな。練兵場なら走ればすぐだから訓練に通う時間もかからないということか。」


父親はそれで納得したので、俺は紙とペンを借りて大雑把な構成図を書く。

3人並んで訓練出来る様にし、跳弾も考慮に入れて注意点を書いていく。


「うむ、内容は分かった。早速マークと領兵の隊長を呼んで練兵場の敷地を土地管理部に調べさせよう。」


「はい、護衛の希望もある程度聞いた方が良いかもしれませんね。」


俺はそう言い、89式の射撃練習場の準備は始まった。


―――――――――――――――――――――――――――――


それから一週間後、魔の森213番ゲートの管理官より緊急の早馬が到着した。

冒険者の一人が管理官の連絡書簡を携えて父親に渡していた。


内容は、魔の森213番ゲートから魔獣討伐目的で入った冒険者グループが森の奥で大量の魔獣の群れが乱闘になっているのを発見し、急いでゲートに帰投して管理官に報告したとのことだ。

魔の森の山脈の中腹から上位の魔物が降りて来て、平地のレッサーベアーやグレイウルフとの縄張り争いで激しく殺し合いをしているという。

上位魔物は複数種類確認しており、ブラックタイガー、ダガーライオン、イーグルドラゴンの名前が挙がった。

ブラックタイガーは黒と灰色の縞模様の大型虎で、大きさは馬の2倍くらい、ダガーライオンは灰色の単色で牙が大きくダガーの様に伸びており、これも大きさが馬の2倍程度はある。

イーグルドラゴンは空飛ぶ大トカゲの一種で、羽を広げるとキラーバードの2倍程度になる。

いずれも獰猛な肉食で、共通の獲物は魔の森に大量に繁殖している草食のヤギの魔物だ。

このヤギの魔物がくせ者で、人間は襲わないが肉食魔獣に対してはやたらと好戦的で、その大きな角でレッサーベアーくらいなら返り討ちにすることもあると言う。

但し上位種にはまるで敵わず、一応抵抗はするが大概食料になっているとのことだ。


「これは山の中腹の食料が減ったことが原因かもしれないな。マーク、過去のこの様な事例とその時の対策を調べてもらえないか。」


「はい、分かりました。早速魔の森の管理記録を確認します。」


父親に言われ、マークは屋敷内図書室の領内管理記録庫に向かった。


「マーティン、ひょっとしたら魔獣の氾濫が起こるかもしれぬ。魔の森での食料不足が落ち着かない場合、魔獣の上位種がゲートの結界魔道具が作る魔力防壁を超えて来る場合がある。あれは防壁とは言うものの、物理的な壁ではないからな。魔獣が近づくと激しい痛みを感じる様に作られているから近づいて来ないだけで、空腹に我を忘れると痛みを無視して突破する恐れがある。その場合、食料として狙われるのは人間だ。」


父親は恐ろしいことを言う。

魔の森ゲートでの魔力障壁が魔獣に超えられたことはここ数百年で数えるほどだと言う。

その時は収束するまでに領民に多くの被害が出たらしい。

千人いる領兵も、半数近くが重傷もしくは死亡したとのことだ。

最後に魔法兵が物理結界を作り、そこに追い込んで大規模なウィンドエバキュレーターで窒息死させたそうだ。

そこに追い込むまでにも多大な犠牲が出た。


89式の配備を計画していたが、5.56mm弾では上位魔物は到底無理だ。

馬の2倍もあっては蜂が刺した程度にしか感じまい。

9mm拳銃なぞ最初から論外だ。


そこで俺は昨晩確認して大いに驚いたステータスの内容を再び表示する。


「ステータス表示」(12歳9ヵ月)

「名前:マーティン・ランバート」,「年齢:12歳」,「性別:男」

「レベル:41」,「体力:680」,「魔力:1640」,「精神力:920」

「攻撃力:810」,「防御力:740」,「素早さ:620」,「器用さ:1020」,「賢さ:1240」,「運の良さ:890」


「スキル:自衛隊魔法」

 「転生者特典:元の世界の自衛隊装備を召喚出来るスキル。」

 「召喚可能品:レベルに応じて強力な武器や装備を召喚可能。」

 「ランク1武器:9mm拳銃、9mm実包100発、9mm拳銃用スペアマガジン、ガンベルト(ホルスター、ポーチ付き)」

 「ランク1装備:レーション、飲料水、医薬品キット、簡易工具類、戦闘服上下、ブーツ、ヘルメット、テント」

 「消費魔力:ランク1を1式召喚で魔力を600消費。」

 「ランク2武器:89式5.56mm小銃、5.56mm実包100発、89式用スペア30連マガジン、89式小銃用照準補助具、89式多用途銃剣」

 「ランク2装備:板チョコレート、缶コーヒー、カ〇リーメイト、カッ〇ヌードル、本格工具類、双眼鏡、インスタントカメラ」

 「消費魔力:ランク2を1式召喚で魔力を1200消費。」

 「ランク3武器:バレットM95SP、12.7x99mmNATO実包20発、M95用スペア5連マガジン、Mark4 6-24x52照準補助具」

 「ランク3装備:KLX250偵察用オートバイ、ガソリン入り携行缶20L、KLX250用予備部品、KLX250整備用工具部材」

 「消費魔力:ランク3を1式召喚で魔力を4200消費。」


そう、2ヶ月の鍛錬の結果レベルが40を超えたことにより、ランク3武器が呼べる様になっていた。

それがバレットM95というボルトアクションの大口径狙撃銃だ。

これは口径が12.7mmと、89式の5.56mm弾に比べて2倍以上太い。

断面積にすれば5倍以上の差がある。

弾頭重量と銃口エネルギーに関しては両方とも10倍以上というバケモノだ。

これなら上位魔獣に対してもかなりの有効打になるだろう。

これで駄目ならバズーカ砲みたいな奴が要るな。


「父上、少しお話があります。上位魔獣に対する対抗手段です。」


俺はそう言うと、ステータスからランク3武器のバレットを指定し、召喚した。

召喚したと思ったら倒れていた。

父親に揺すられて気がつくと、非常にだるくて頭が痛い。

ステータスを見ると魔力の残りが140しかない。

うん、バレット一丁は1500だ。

ギリギリだったな。


「これが新たに召喚可能になった魔長銃です。」


召喚したバレットM95は専用のケースに入っていた。

ケースを開け、持ってみるとえらく重い。

確か10kgくらいだったと思うので89式3丁分だな。

パワーアシストしようとしたが、魔力不足で発動しない。

筋力だけで持ち上げようとして諦めた。


「これは魔長銃の強力版です。魔強銃とでも言いましょうか。魔長銃の10倍の威力があります。その代わり連射が効かず、重量も3倍になります。」


「ううむ、これなら上位魔獣に対しても期待が持てるな。使えるか?」


「はい。使い方は分かると思います。ただ、魔強弾と照準器が魔力不足で今は召喚出来ません。明日、魔力が回復したら扱い方を試してみましょう。」


「うむ。今日はここまでにしよう。負担をかけるな。」


父親は珍しく俺を労って来た。

いつもはもっとドライな親子関係だと思っていたのに。


―――――――――――――――――――――――――――――


次の日朝食が済むと父親の部屋に行き、バレットM95の周辺を召喚した。

・12.7x99mmNATO実包20発:魔力340

・M95用スペア5連マガジン:魔力60

・Mark4 6-24x52照準補助具:魔力600

で、合計1000となかなか厳しく、残りは640だ。

まぁ実包以外はその都度召喚はしなくとも良いので、20発で魔力340というのは何とかなるな。

ボルトアクションなんで連射も出来ないし。


「父上、これが魔強銃の一式になります。」


「うむ、なかなかごついな。」


俺はパワーアシストを全身にかけてで筋力補強し、バレットM95本体を持ち上げてみる。

10kgはあったはずだが、強めにかけた筋力補強で89式くらいにしか感じない。

これならある程度は俺でも振り回せるな。


照準補助具は有名メーカーの奴みたいだ。

6~24倍対物径52mmのスコープでかなり大きい。

自衛隊で仕入れていた奴かな。

バレットM95の機関部上部に取り付け、頬付けして覗いて見る。

部屋の隅にある花瓶を狙い、ズームレバーを動かしてみる。

最小の6倍で何とかピントは合った。

最初から付いているマガジンを外し、ボルトを引いてみる。

チャンバーが空なのを確認し、ボルトを元に戻してセーフティをFにしてトリガーを引く。

ガチンと音がして撃針が前進した。

次に抜いたマガジンに12.7mm弾を5発詰め、バレットM95に装着する。

ボルトを5回往復させ、ケースの中に全弾排出させる。

うん、これでスコープを調整すれば使えるな。


「父上、これで問題無く使えると思います。つきましては試射をしたいと思いますので、川縁りで直線距離がある場所を使わせていただけないでしょうか。」


俺はそう言い、壁にかかっていた地図を見ながら練兵場の近くの幅の広い川の河原で、直線部分が200m程度はありそうな所を指さす。


「魔法組3人と一緒に向かい、的となる場所に土魔法である程度の小山を作ってもらいます。その前に的を置き、発射する時は魔法組の3人にウィンドエバキュレーターを強化して張ってもらいます。」


「危険性はないのか?」


「もちろん、危険です。私も細心の注意は払いますが、今は上位魔獣に対する対抗手段を用意する方が先かと。」


そう言うと父親はしぶしぶ承諾し、マークを呼んで魔法組3人と河原での試射を指示した。


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