14◇土板訓練
14◇土板訓練
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護衛詰所ではミラーが今回参加していなかった部下の護衛達に囲まれて質問攻めに遭っていた。
「副長、無事ご帰還おめでとうございます!」
「マーティン様と一緒にはぐれたとのことですが、その時の状況を教えてください!」
「魔の森で一晩過ごしたと聞きましたが、どうやって安全を確保したのですか?!」
よってたかって質問され、答える間もない。
見かねたマークが部下を制し、代表としてミラーに質問する。
「ミラー、今回はご苦労だったな。マーティン様が無事で本当に良かった。我々護衛部隊の面目も保たれたというものだ。」
「はい、今回は本当にダメかと思いました。マーティン様の土魔法が無かったら帰って来れなかったです。」
「そういう意味でもマーティン様には感謝だな。今回のこの成果を今後の護衛活動に組み込みたいと思うが、どうかな。」
「賛成です。土魔法がある程度使えれば実現可能な防護壁の作り方ですので、護衛隊員の中にも何人かが出来ると思います。」
ミラーはそう言うと、紙に今回マーティンが作った防護壁のイラストを書き始めた。
まず先ほどハンスの作った土魔法の切り株とその上の大木の投影魔法を思い出しながら、大雑把な大木の外観を描いた。
その横に大木の根元の洞を拡大して描き、それにマーティンがそこに被せた土魔法の板の配置方法を書き加えた。
ミラーはいきなりマーティンの被せた全体像を描いたものだからマークは描くのを止めた。
「ミラー、マーティン様は木の洞を一気に覆ったのか?」
「あ、すみません。マーティン様は土魔法で両手に持てる程度の板を大量に作り、順番に木の洞の上に重ねていきました。」
ミラーは別の紙を取り出し、木の洞を拡大して描き、それにマーティンが作った土板の一枚辺りの大きさを描き加えた。
木の洞の下から順番に横に並べて描き加え、更にその上に土板を半分ずらして上方向に延ばす様に壁状に追加してゆく。
洞が覆われたら更にその上からもう一度同じ様に少しづつずらして土板を重ねて置いてゆく。
これをもう一回繰り返して完成だ。
「私の絵心が無いので表現できていませんが、実際はゆるく外向きに膨らんだ様に微妙に角度が付けられています。これはマーティン様の説明ではアーチ橋や教会のドーム天井にヒントを得て、少ない材料で強度を上げるためにそうしたとのことです。」
「なるほどなぁ。考えたものだ。他にも何か工夫はされているのではないか?」
「土板を重ねる時に土板同士の接合面をお互いに融和させるとおっしゃっていました。私は魔法が使えないので、融和とはどういうことかは分かりませんが。」
「それはおいおい試していこう。今はこの構造を作れる様に隊内の魔法が使える者に練習させることだな。」
「次の護衛隊での定期巡回の時に魔の森の浅い所で試してみましょう。木の洞に土板を被せて待避所とし、隙間から中に魔物の好む匂いのする食料や生肉を投げ込んで様子を見れば実際の魔物に対する耐久性も見られますし。」
ミラーはそう答え、訓練のスケジュールを決めていった。




