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この街は変容していく、私は道を知らないままに。3分の1個目

設定はがんばって考えたので、最後まで読んでほしいです。設定の割に展開が速いので、頑張れば飽きずに読めてほしいと思ってます。あと、3分の1個目が一番ひどくて、2,3個目の方が読みやすいし物語もマシだと思います。初めての物語の最初より読みにくいとこはないと思うので。あはは

 よし、荷物はこんなもんかな。私は玄関の前で確認をしていた。

「とりあえずスーツケースが古いから壊れたりしないと良いんだけど、肩掛けカバンもパンパンだし。」

スーツケースの持ち手はぐらぐらでキャスターも一つ外れかけているが、どうせお金はかけられない。それより今日”あの街”へ行くと決めてからは、日々の長いものだった。

 玄関のドアを開けると外はいつにもまして冷え込んでいた。ポケットに入れていた鍵は少し温もりがあった気がしたが、すぐに戸締まりをして私は階段を下っていった。

 そのまま歩いている道を見下ろしてみると、一羽の黒っぽい鳥が私に近づいて会釈した。

 「なにこの鳥、だれ。」と呟いたが彼は落ち着き払って私を見つめている。多分緊張しているからこういうことも気になっちゃうんだ。で私は彼と目を合わせながらもすれ違うように進んだ。胸の内には”こんにちは”があったが。


 まず都市部から新幹線に乗り、2時間くらい。これに遅れるものなら話にならない。

ここからがちょっと難しいけど地方の私鉄で40分ほど進んだところに行って、暫くは歩くらしい。街と言ったがなぜか他の都市とは交通機関のつながりがほとんどないのだ。まさに秘境。あこがれの場所なんだ。


 本当にここからあの街につながっているのだろうか。この田舎には波は届かなかったのか。


 「山だ。次の駅を出たらトンネルに入る。」

 うん。切符も間違ってない。駅員さんに何度も確認したのだから。こう楽しみが近づくごとに血が騒ぐ。いや、いざ行かん、私を待たば礼申さん。冷たき冬にも、暖花咲くなり…。調子のいい音だ。

 とにかく、私が知る限りの情報ではてんで定まったものがなくちょっと不安だが、まあ広い街なんだろう。

 席に座ってその隣に、持っていた肩掛けカバンをおろした。重かったから、ちょっと体のバランスがズレたようで、まっすぐ座ると安心した。

 「山の写真を撮っておこう、スマホっと…。」

 冬だったが席の向かいに見えるその青く清閑な大地の波は私には偉大な存在感を与える。人もほとんどおらず、ちょんちょんと鳥が鳴いていてあたりはとても静かだった。私が深呼吸をして空気を味わおうというとき、ふいに乗っている気動車がため息をついて重い腰を上げるようにディーゼルのエンジンが音を立てた。ここをでたら、もうじきつく、あのトンネルの先だ。


 がたがたと車両を揺らしながら、ほとんど山のようなところを走り、長いトンネルを抜けた。少し奥にかなり人が住んでいそうな街が見える。私は心を躍らせた。はやくいきたい。大きな木がひしめき合うように並ぶ狭い道に入ると、窓には木の枝やらがぎしぎしと音を立ててこすれる。

 「あと少しだ…。」

 引っ掻くようなブレーキ音のあと駅に着く。軽い足取りで車両を降りると、外は冷え込んでいた。

 来た線路を振り返るとあり得ないほど、果てしなく同じ街が広がっていた。身に冷たい針が静かに通される。そんなに街の中は進んでない気がしたのだが。構内を歩くと、乗っていた列車も思っていたより長かった。

 切符を駅員さんに渡して、私はとりあえず構内と駅名の看板を写真に収めた。文字は何度か書き直したあとがあったので読めたが他はけっこう錆びていた。

 ずっと子供のころ、まだ小学生くらいだったかな、記憶も定かでない物語に出てきた街の名前はロマンでしかなかった。子供ながらに画数の多い漢字じゃなくて、なんでかその字、音に純粋に惹かれたのは運命なんじゃないかって。最近思い出したんだもん、昔は親に「そんなとこないわ」とか言われたんだろうけどもこの年になれば確かめられるから、来ただけ。同じ日本なのに、全く異邦の地。口だけ動いて、静かに唱えた。

 「様通。」

 ”さまがよい”と読むらしい。地方だし秘境だがご立派な名前だ。

 駅を出ようと構内を少し歩くが、見たことのある広告などない。流石に日本語だし内容も違和感ないが異国情緒のあふれる景色に私は目を丸くしていた。列車の止まる音が響き終わってからここは静かだが、外からは微かに街の喧騒が聞こえた。


 外はがやがやと賑わっている。まさしく私の心はこの街にぞっこんだ、大好きこういうの。なんていうかさっきまでのド田舎と違って、いやもはや遊園地みたいな世界観だ。私の知ってる都会と一味違うレンガ造りや洋風でおしゃれな色遣いのお店が多い。

 あとこの街は碁盤の目のようにできているから、すぐには迷わないし安心というのも言葉通りすぐ分かる。

 名は通っていると言うが、ほぼ観光客は私しか見つからなかった。泊まれるところもたくさんあって価格も品質も心配いらない、最高級ではないが。(というかでなくていいが)まあ、ちょっと不思議なのが面白いところだろうと飲み込んで散策をすることにした。


 やっぱ違った。建物が全然規則正しく建っていない気がする。

 観光客もいないというのにこれは何なんだろう。道の真ん中に屋台が立ちふさがり、絶対誰も買わなさそうな変な分厚い本を売り出している。おじいさんが店先でチラシを膝に広げてうとうとしている。仮設の屋台みたいのは他にもあって道を狭めんとしているのがなんとなく分かる。

 ていうかこの店、こんな大量の本置いてたらもう立ち退きする気ないでしょって感じの店だ。さらには周りの建物の形も即席で継ぎ接ぎされているように乱雑だ。そもそもこのレベルの増築は違法な気さえする。

 「ふう、一度落ち着きを取り戻そう…。かろうじて青空を見上げる権利はあるんだから。」


 でもやっぱり、どこもかしこも長年使ってきたのだろう使用感が出てる。街の人もいきいきしてるし、見た目に沿わない安心感が私を歓迎してくれる。


 あと…ここまできて特に気にすることではないと思うが道には迷った。さっきの本屋を目印に辺りを散策するつもりだったが、どこを見回しても見たことのない景色。その本屋はもう記憶の中にしかない。

 もはや生きたこの街が私の思い通りにならないよう形を変えているようだ。

 「碁盤の目状になってるくせに、なんでこうもうまくいかないんだ。」

 一度立ち止まって考えた。行く前にネットで調べたときには駅を出れば観光客向けの情報案内だか地図だかがあるらしかったし、おすすめの店も全く見つからない。

 「もうだめかも、私ってばなんでこんなすぐ迷うんだか。」


 ちょっと現地の誰かに聞いてみよう。ある雑貨屋は若い男の人と女の人が二人で営んでいた。近くのことやこの街のことを話した。とりあえず二人はお店においてある品物の話しかしないので様通の字と変わった彫り込みのされた赤鉛筆を買ってあげた。

 「これいいでしょぉ、お友だちの分も買ったほうがいいよ、絶対。」

 レジのところの奥の壁に近辺のと思われる地図が貼ってあった。雑貨屋も描き入れてあったが、その外にある建物については全く違う。やっぱり変だ。私の中で急に違和感と不安が深い穴を掘る。二人によると先週の地図を貼りっぱなしにしてあるのだとか言っていたがよく分からず、私は拙く包装された赤鉛筆を握って店を出た。


 今、私は特に孤独を感じつつある。この街の人達の話を聞いていて思った。多分、みんな嘘をついてる気がする。というより誰も、この街のことをちゃんと知らない、知ることができないんだ。街ってこんなすぐに変容するものなの?

「やばい…疲れた。これからどうしよう…来週には帰るつもりだったんだけど。」

 この街の風は家を出たときより冷たかった。内側には響かないのだが。


 今日は、私の足が動く限り、眼の前の景色はめまぐるしく変わり続けた。日が傾いてくると、さして広くもない道は直ちにたくさんの大きな建物の影に覆われていった。

 適当に宿を選んで、ベッドに身を預けた。窓の外を見てみると、私の部屋は道の真ん中の真上だった。柱の一本もなく、向かいの建物と橋渡しのようにして造ったみたいだ。

 少し冷や汗を見たが、高いところから眺めるこの街はきれいだと思った。それは、私が住んでいる世界であるとは思えない妖しい雰囲気を醸し出していた。視界に入る夜の闇と絶妙な街の明かりの密度は、ぼんやりとしてこの街を象徴するような夜をまっすぐ私の目に映し出した。

 そう、ただきれいな景色は、今日の電車で座り続けては歩きっぱなしだった私の身体を静かにほぐし、そばがらの枕はその世界に私を誘った。


 ちなみに昨晩の食事は宿の人達が出してくれました。下の階の食堂に集まって、みんなで食べるんです。

・白いごはん(ちょっと麦とかも入ってた)

・味噌っぽい味付けの煮魚(遠い国から持ってきたとか言う)

・特に美味しかったトマトとか入ってたサラダ(見たことない野菜っぽかったけど屋上で十分育つらしい)

・おいもとごぼうとを中華っぽくピリ辛に味付けされたやつ(作り置きなので朝も出るらしい)

・漬物(これも毎食出る)

 現地人っぽい人も結構いました。一応私でも人と話せはするので団らんを楽しめました…。いや、私がただただこの街の話に驚かされ続けてただけかもですけど。

 でも、この旅が何か、私の想像していたものと変わった感じがしました。とにかく実際にはさっきの感じほどはうまく眠れない夜でした。


 「まずね、毎朝配られるから地図を探しな。どこにだってある。毎日毎日誰かの生活が消え、どんどん建物は太っては、どこからか生えてくる。生きた街を歩くのはあんたにゃ大変だろうがうまくやるんだよ。」

 私はなんだか戸惑っていて、うまく受け入れられなかったが、朝ごはんのもそもそしたパンとおいもの相性を気にしていた。

 「それから、いろんなやつがいる。頼れる店には必ず同じ数だけ偽物がある。」

 そういっておばさんは私に今日の地図を手渡した。安心して良いのだろうか、今日の私はどうなるのだろうか。

 「また来まーす!」

 元気にあいさつをして快く宿を出た。とりあえず地図をもとに街を探検するのだ。

 ああ、なんか友だちと一緒に来ればよかったかも。この街のことを理解し始めると少し寂しくなる。

 いや、朝は寂しいなんてだめだ。この通り私が行きたかった街を自由に探検する権利を与えられているのだから、存分に楽しまなくては。ああほら、日が昇ってきたぞ。もうそろそろ街の通りにも温かい光が差す!朝冷えて、朝日とわれと走り出す。見知れぬこの世は、友かかたきか…。はああ、行こう。


 「えーではまず。地図に沿って上に2つ、右に3つ行くとこの前の雑貨屋が…。」

 朝から人がたくさん歩いている。立ちふさがってる屋台とかがないと良いんだけど。

 そもそも一区画というのは一定だがかなり大きいのだ。また、ある程度の人混みの中では色々なものが五感に触れる。あそこのつきあたりかな。

 「ないんだ。いやいきなり間違うなよこのぽんこつ!…うん、じゃあさらに上に2つ行くと別の宿が…」

 「はい、ないですね。」

 私は持っている地図を少しにらんだが、つぶしたり捨てたりはしないと思い返した。目の前の建物の一階は暗くて静かな店だった。

 それより何この置き物かわいいじゃん。この鳥ってどこかで見たことある。小さいくせしてかしこまった顔の…黒っぽい……これ昨日うちの前にいたやつかな。しかも赤バージョンもいるんだ。こっちに会いたかったな。

 「すいませーん。」

 店からは誰も出てこない。店先はストーブがあって温かいが、明かりは奥の方しか点いていないようだ。

 「これなんていうんですかー?」

 ちょっと声のトーンが下がってしまった。やっぱり誰も出ない。代わりにその黒っぽい鳥の置き物がやっぱり私を見ている。その時、がやがやと騒がしかった後ろから隙間を縫うように私に向かって小さな声が届いた。

 「それ、多分エシャクヒメドリだよ。」

 えっ、だれ?振り返って舞った私の肩掛けカバンをかわしたのは、そこまで年の離れていない少女だった。目の高さが同じだったので、普通より早く目が合う。彼女の澄んだ瞳は淡い灰色がにじんだ色をしていた。

 「え、へえ…そうなんだ。この鳥見たことあった気がして。」

 「何色だった?」

 「黒っぽかったかな…」

  彼女が間髪入れずに質問してきて、代わりに薄い麻の布のような声で教えてくれた。

 「この鳥。大事なことを伝えたいとき、気に入っている人にはちょっとお辞儀をして教えるの…。黒い鳥は変化を、赤い鳥は大切な何かの終わりを告げる。知ってる人って少ないけど、信じれば当たるもの…。」

 彼女も今日の地図を持っていて、使い古された小さな肩掛けカバンも持っていた。カバンだけでない、他に身につけているものも年季が入っているのが分かる。

 「あなた、観光と思ってこの街に来たのでしょう。」

 「うん。この街ってちょっと難しいよね…。」

 「私も昔あなたと同じようにこの街に来たの。」

 彼女は結構自分のリズムで話す。素朴って言葉をあてたいんだけど、ちょっと違う。魅力的というには少し重荷で、か弱いのではなく繊細で、ふわりと揺れずにそこに在る。その位置は定まらないけど、定まらないほうがきれいだ。きっと…。

 「ねえ、聞いてるの?」

 「…あっ」

 私ったら何考えてんだか、初めて会った人の前で…。

 「あなたのその地図、向きが違うのにまだ気づいてない…。でも、そんな旅もいいと思う。」

 「えっ?…。そうなの!これこっち向きに見るんだ。」

 「ふうん。」

 彼女の顔が少し綻んだ。年は違わないけど、きっと先輩様なんだ。彼女は視線を街の奥の方に投げかけた。なんとなく、その瞳に何が写っているのか気になる…。

 「それよりさ、お昼ごはん食べた?…ん?」

 彼女はびっくりしたようにこっちを見た。

 「は、いや、まだ。でも、もういなくなろうとしてた。一度別れたら、会わなくて良いから。」

 「そんなこと言わないでさ、せっかくあなたが先輩なんだから。」

 どうしたんだろう。じゃあ、えっと…わたしは…歩いてけば良いのかな。

 私が彼女をかわして歩き出すと、彼女もついて来ているようだった。音は聞こえないけど…多分。

 「…。」

 うん、振り返ったらいるし。とりあえずちょっと地図見て食べ物ないか探そ。

 「ねえ…地図の向きそっちじゃないよ…。」

 うわ、喋った。あいや、こっちが緊張してどうすんじゃい。

 「ありがとう。」


 ふむふむ…。パン屋があるらしい。これは、楽しみだ。あ、彼女も隣から目的地を気にしてるっぽいな。えっと、確か赤鉛筆が削ってあったはず…。

 私は昨日買った赤鉛筆で目的地に丸をつけて見せてあげると、彼女はゆっくりと笑顔になった。2日目にして、結構楽しい旅の予感だ…。

 いくつか角を曲がって、そこにたどり着いた。めっちゃいい匂いだー。でもね、一応話しておきたいんだけど、さっきの鳥ってこの街ではマスコットなのかわかんないけど、自然にどこにでも置いてあるんだよ。実際に街ではまだ見たことないのに。

 私の歩みがふいに遅くなると、彼女が走っていった。無邪気にパンを眺めている。会ったときは静かだったけど、こういうとこあるのいいな…とか思いながら、私もパン屋の扉を押した。  


つづく。

まさにこの長さの物語を書いたのが初めてなので、文や情報の付け足し方が完全に初心者のままなんです。だから同じ話なのに後編に行くにつれて熟れてきてるんじゃないかって感じもしちゃいます。

ていうか作品のタグの選び方が全然わからないので、すごく見つかりにくい(?)ことになってるのでしょうか。一期一会ということで、続きも…。


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