2度目の世界で君は僕を殺さない
刃が胸を貫いた瞬間、世界が音を失った。
雨のような血のしぶきが視界を染め、冷たい空気が肺を満たす。
リアムは、何が起きたのか分からなかった。
あの夜から、全てが壊れた。
母は心労がたたり病で死んだ。
その時もリアムは涙を流せなかった。
心のどこかがすでに死んでいた。
そして今。
この胸に突き立つ刃を見下ろす。
白い服の影が揺れていた。
少女だ。
まだ十代そこそこの、細い腕。
泣いているようにも、怒っているようにも見える。
リアムは何も分からなかった。
なぜ殺されるのか。
誰なのか。
どうして、そんな顔をしているのか。
けれど、彼女の震える手を見て思った。
——きっと俺は、誰かの大事な人を殺したんだ。
胸から血があふれ、地面を染める。
空が明るい。
夜明けだ。
「……ごめんなさい。」
その一言だけを残して、リアムは目を閉じた。
空の端に、朝焼けが滲んでいた。
それは血の色よりも鮮やかで、
まるで、神がこの世を赦すような光だった。
——もしやり直せるなら。
——もう二度と、誰も殺したくない。
光が視界を覆う。
痛みが消えていく。
音も、風も、世界も、すべてが遠のいていった。
1.血に沈む夜
2025/10/13 00:45
2.再生の朝
2025/10/13 01:48
3.少年の決意
2025/10/13 01:52
4.2度目の朝
2025/10/13 02:35
5.セレナ視点の朝
2025/10/13 02:39
6.認識合わせ。母と罪と決意。
2025/10/13 02:44
7.路地裏と過去への決別
2025/10/15 16:16