「佐久間恒一・第二波症例カルテ(お美々による院外処置記録)」
◆【お美々個人観察メモ】
観察対象:佐久間 恒一(20)
※正式カルテには絶対に載せません。
※お美々の個人的な備忘録です。
▼1)基本プロフィールと印象
・相馬原駐屯地所属の若い隊員さん。
・表向きは礼儀正しいが、二人きりの時だけ妙に距離が近い。
・第二波特有と思われる“軽快持続型”の症状を呈している可能性が高い。
・とにかく元気。こちらが追いつけない。
医療的には興味深く、
個人的には……困るくらい元気。
▼2)排液反応について(病院提出不可)
※医療的に必要な観察です(念押し)
1回目:
開始直後から反応が立ち上がり、通常基準より高め。
ただし異常値ではなく、第二波症例としては“典型的”。
本人コメント「まだ余裕ありますよ」
私の心の声「余裕の基準が違うのでは?」
2回目:
回復が早すぎる。
波形が“跳ね返る”ように上昇し、眠気も疲労もゼロ。
本人「全然大丈夫です」
医療者の私は「全然」の定義を医学辞典で探したくなる。
3回目:
通常なら緩やかになるところ、むしろ反応が整いすぎている。
私が波形ログに矢印を三つ書いてしまう程度には不自然。
本人「まだ続けられます」
私「続けなくて大丈夫です。私は大丈夫じゃないです。」
番外:
医療行為外の反応ログについては記載不能。
ただし反応の“連続性”と“識別困難性”は第二波の特徴と一致。
本人いわく「全部区別ないですね」。
……そんな感想ある?
▼3)身体反応・生活面の観察
・疲労消失傾向が明らか。
・睡眠時間が短くても活動能力が落ちない。
・心理的昂揚と回復曲線が完全一致。
・第二波特有の“相手との同調性”が強く見られる。
・食欲や睡眠パターンにも乱れなし。
総評:元気すぎる。元気が怖い。
▼4)特記事項(ほんとうに提出できません)
・あいか先輩の名前を出すと、なぜか反応が一段階上がる。
本人談「Gって、すごいですよね」
私は返す言葉に困りました。
胸の話を医療相談みたいに言わないでほしい。
・唯先輩の前では妙に猫をかぶる。
たぶん唯先輩が“強い”のを本能で察している。
・私への距離感の切り替えが早すぎる。
第二波の性質なのか、本人の性格なのか判別困難。
・一時的に“起点反応”が立ち上がる瞬間がある。
医療的には興味深いけれど、現場では扱いづらい。
▼5)お美々の個人的まとめ
佐久間恒一は、
軽症域のまま回復が整いすぎている典型的な第二波症例。
疲れない。
落ち込まない。
反応が一定。
こちらの体感とも妙に噛み合ってしまう。
医療者としては“要観察”。
人としては……“要自制”。
▼6)追加メモ(完全に個人的な悩み)
正直に書きます。
私ひとりでは限界かもしれません。
別に弱音ではなく、医学的な感想です。
この“同調する回復力”に、こちらが引っ張られすぎる。
一緒に対応するなら、
やっぱり あいか先輩 が安心。
あの人なら佐久間くんの勢いすら受け止めてしまいそう。
“任せる”なら、
冷静で分析的な 芽瑠さん。
データを見ながらブレーキをかけてくれるはず。
唯先輩は……違う。
あの人は合理的すぎて、こういうケースでは逆に危険。
佐久間くんの“機嫌”を考えるなら、
やっぱり あいか先輩 なんだろうな。
胸の話であんなに嬉しそうにしていたし。
でも本音を言うと、
私は私で、もう少し頑張りたい。
医療者としても、気持ちとしても。




