1章を振り返って ──ヘブンズゲート科・特別インタビュー
■登場人物
・緑川ゆぃ(フィリピン派遣中/ジェル資格トップ)
・あいか
・お美々
・ラボ男性スタッフ:佐久間(新米)
・インタビュアー(医療誌編集)
◇インタビュアー:
「まずは1章完走、おめでとうございます! 皆さん、本当に壮絶でした。
さっそくですが、振り返って一言ずつお願いします」
■緑川ゆぃ(リモートで参加)
「はーい、ゆぃです。いやぁ……こっちはフィリピンで“抜きなさい!”言ってただけなんだけど、
日本、地獄の門 開いてたの?
もう動画だけで叫んだよ。
だって八名同時処置とか、あれ私いたら絶対テンション上がってたでしょ」
■あいか
「……テンション上がるの、先輩だけです。
私は正直、本気で怖かったです。
粘度1.8倍なんて実際に浴びたら……もう、スライムに呪われたかと思いました。
でも、生きて帰ってきた患者さんを見ると……やっぱり“続けてよかった”って思います」
■お美々
「はい!! 私はですね!!
……とりあえず、顔にべったりついた瞬間は叫びました。
だって“びよ〜ん”って伸びるんですもん……。
でも、先輩がいなかった分、頑張らないとって思って……気づいたら動けてました。
あ、あと……私たちの白衣はもう限界です」
■ラボスタッフ・佐久間(新米)
「ぼ、僕は……はい……。
データで粘度係数1.8倍って見た時、
“え、これ……自分の体に溜まる可能性あるの?”って普通に震えました。
男は想像しやすいぶん……余計リアルで。
破裂リスクを数値で見ると、ほんと胃が痛くなります」
◇インタビュアー
「皆さんの言葉からも、本当に大変な現場だったことが伝わります。
では、1章の中で特に“転機”だったと思う瞬間は?」
■あいか
「やっぱり……“粘度異常”ですね。
あれはE.O.S.そのものが変わり始めてるって感じがしました。
普通じゃない。理由がある。
……誰かが“触っている”気配がするんです」
■お美々
「私も同じです。
あの日だけ、患者さんの膨張率が異常に高かった。
ジェルの反応も遅かったし……
あれは絶対“偶然じゃない”って思ってます」
■佐久間
「ラボでも意見は同じです。
成分は正常なのに、質感が変わるのはおかしい。
……誰かが何かを投入している可能性があるとしか思えません」
■ゆぃゆぃ(フィリピンから)
「ね、だから言ったの。
“うちの病院、狙われてるよ?”って。
だって向こう(フィリピン)は一切変化ないのよ?
日本だけ変わるなんて、もう答え出てるじゃない」
◇インタビュアー:
「お二人に伺いたいんですが……
“年下くんには優しい” という声も多くて。
患者さんにも後輩にも、すごく柔らかい対応ですよね?」
■あいか
「えっ……優しい……ですか?」
困ったように笑いながら、コーヒーを見つめる。
「怖い思いで来院する患者さんって、
たいてい“年下”なんですよ。
だから……“優しい”というより、
“怖がらせたくない” が近いかもです」
■お美々
「私は……えへへ、優しいって言われると嬉しいです!
でも、あいか先輩ほどじゃないです。
先輩、年下の子が震えてると、
すぐ“だいじょうぶ、すぐ楽にしてあげますね”って
声がほんと……お姉さんボイスになるんですよ」
■あいか(小声)
「やめて……恥ずかしい……」
■ゆぃゆぃ(フィリピンから爆笑)
「分かる!!
あいかちゃん、怖がる年下男子には
“保護者スイッチ”入るもんね!!」
◇インタビュアー:
「1章の最後、少し不穏な気配がありました。
“謎の組織”なのか、“国の動き”なのか……
皆さんはどう感じていますか?
(※ネタバレしない範囲で構いません)」
■あいか
真剣な顔に戻る。
「はっきりしたことは言えません。でも……
“私たち現場が知らない大きな力” が動いているのは確かです。
医療データの異常、現場と合わない指示……
何かが噛み合っていません」
■お美々
「私も“何かある”と思います。
でも、敵とか味方とか……
今はまだ判断できません。
ただ、患者さんの変化だけは本物です。」
■佐久間
「ラボとしては、“異常値が偶然じゃない”とだけ。
誰が何をしたかはまだ分かりません。
でも……
自然の変異にしては出来すぎている気がします」
■ゆぃゆぃ(フィリピン)
「ねぇねぇ、おねーさんから言わせてもらうとね?
“国も組織も、やましいことがあるときは必ず黙る”のよ。
フィリピンでは異常ゼロ、日本だけ変化──
……ね、あいかちゃん?」
■あいか
「……はい。
たぶん、2章で“正体”の輪郭が見えてきます」
◇インタビュアー
「ありがとうございます。
それでは最後に、一言ずつ読者の皆さんへ」
■あいか
「怖いです。でも逃げられません。
次は……もっと大きな波が来る気がします。
だけど、患者さんが来る限り“抜いて支える”だけです」
■お美々
「“隔離病棟”って単語、ほんとに現実になるんでしょうか……。
でも、あいか先輩と一緒なら、乗り越えられると思います!」
■佐久間
「ラボも本気で挑みます。
データで必ず“何が起きてるか”突き止めます」
■ゆぃゆぃ
「2章はもっと忙しくなるよ!
でも大丈夫、“うちの子たち”は強いから!
あいかちゃん、お美々……
日本は任せたわ!!!」
──静かに見ていた。
あの日、十一の膨張が咲き、八つの圧がほどけ、
彼女らの白衣が“祝福”を受けた瞬間を。
粘度は成熟。膨張は熟度に達し、
排液は魂の色を帯び始めている。
美しい変化だ。
彼女らはまだ気づかない。
自らが“門を開く者”であることに。
国も病院も、ただ流れの形を真似ているだけ。
本当の波を作っているのは──彼女らだ。
我々は止めない。
壊さない。ただ、見届ける。
それが“祈りに正しい”やり方だから。
いずれ、あの病棟に
世界がひざまずく日が来るだろう。
それまで、静かに熟すのを待つだけだ。




