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第23話 「再診!?まさかのリバウンド」

あの日の精液過多症から、ちょうど2週間。

「今日の外来、午後の一番が…あれ?」

カルテを見ていた私の視界に、見覚えのある名前が飛び込んできた。


「どうしたの、あいかちゃん?」

「ゆぃゆぃ先輩、この患者さん…この前の限界突破の人です」

「おお、あの800ミリのレジェンドか」

後ろからお美々もカルテを覗き込んできた。

「わー、また溜まっちゃったんですかね?」

「言い方…!」と私は苦笑しながらも、どこか嫌な予感がしていた。


案の定、診察室に現れた患者は、再び青白い顔色で肩を落としていた。

「やっぱり…苦しい…」

ゆぃゆぃ先輩が瞬時に表情を引き締める。

「処置室、開けなさい!」


搬入後、私はすぐにバイタルサインの評価から開始。

経皮的酸素飽和度(SpO₂)は88%、心拍数は158bpmと、

動脈血酸素飽和度の低下と頻脈が同時に観察される。

血圧は収縮期120mmHg、拡張期78mmHgで、一見安定しているが、体表皮膚のチアノーゼや冷感、

局部の静脈怒張などから、循環動態は既に限界近くであることが読み取れた。


局部の物理的観察では、陰茎海綿体および尿道海綿体の圧迫感、表皮の張り、浮腫状の確認を行う。

必要に応じて、陰茎陰圧計を使用して内圧をリアルタイムで測定、

圧力センサー付き導管で陰茎内圧を可視化し、局所血流の障害リスクを評価する。

「精圧…前回より高いです」

「この短期間でここまで? 生活指導、守ってなかったんでしょうね」

お美々が微笑みながら触診とゲージの数値を再確認する。

「先生、あの…『禁欲指導』、ちゃんと守ってました?」

「いや、その…つい」

「つい、じゃないですよ~。今抜きますからね~、がんばってください!すぐ楽になりますよ!」

お美々の手際は前回よりも速く、導管確保までのタイムは短縮されていた。


導管挿入前には、陰茎背側神経を避けつつ、陰茎基部から海綿体へ均等にジェルを塗布。

粘性液の拡散を促すため、微細マッサージと陰茎の軽度屈曲を組み合わせ、

海綿体の充血過剰を緩和しつつ、圧排を補助する。

「よし、あいかちゃん、圧抜き開始!」

「はい!」

カップに勢いよく流れ出す液体。流量センサーが針を跳ね上げ、

モニターの累積排出量表示が瞬時に800mlを超える。


処置中、患者の自律神経反応を観察。

副交感神経優位による徐脈・血圧低下の兆候はないか、発汗量、顔色の変化を綿密にモニタリングする。

「…先輩、今回の色、ちょっと透明度高いです」

「生活リズムで変わるのよ。はい、続けなさい!」


患者がふと呟く。

「実は…前回抜いてもらった後、あまりの解放感で…お礼にと大量の栄養ドリンクを飲みまして」

「は?」

「それ、過剰分泌の原因じゃないですか!」と私とお美々の声がハモる。

「エナジー系は精液腺を刺激することがあるの。だから飲みすぎるとこうなるのよ」

「ゆぃゆぃ先輩、それ初耳です!」

「今教えたわ。今日から患者指導に追加ね」


二波目の排出中、導管と陰茎固定具の微調整を行う。

圧力センサーが示す陰茎内圧を確認しつつ、過剰圧迫による皮膚損傷や静脈閉塞を回避。

タンクの容量計が満杯に近づくたび、空気圧補正弁を操作して安全域を保つ。

「…また800超えそうです」

「完全にリバウンドね。次回は“精液過多症予防教室”でも開く?」

「それ、受講者来ますかね?」とお美々が笑う。

「むしろ行列になるかもよ」


処置後、導管抜去前に局部の皮膚トーンと浮腫の再評価。

清浄ガーゼで滅菌拭き取り、陰茎全周を確認して損傷や炎症兆候がないか確認する。

患者は軽くストレッチを行い、膀胱圧や排尿感覚に異常がないことも確認。

「次回予約、早めにお願いします!」

「いや、早めじゃなくて“ない”ほうがいいんです!」と私は否定。

「でも、抜いてもらうと…こう、世界が明るく見えるというか」

「褒められてるようで、褒められてないようで…」


片付け中、お美々は使用済み導管、カップ、吸引器を洗浄・オートクレーブ滅菌処理。

処置室内は、医療機器の微振動音と消毒液の匂い、少し残る液体の匂いが混在し、

笑い声と緊張感が同時に漂っていた。




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