始まりの合図
岐阜を舞台に物語を書いてみました
時刻は人が眠りについている丑三つ時。
辺りにはちらほらと街灯の明かりがあるものの、その場所は月の光のみが照らされ、全体的に薄暗い雰囲気が漂っていた。
ここ、加納城址公園のちょうど中心に、街灯とは違う、ゆらゆらと揺らめく火の光が六つ。
蝋燭によって灯された六つの火の光は、綺麗な円を描き、その下にはなにやら怪しげな魔方陣が描かれていた。
そんな怪しげな魔方陣の前に人影が一つ。
「やっと準備ができた・・・」
六つの火の光によって淡く照らされた人影は、黒のローブに身を包み、この薄暗い雰囲気と相まって、得体の知れない不気味さを演出していた。
しかし、不気味さとは裏腹に、その人物が呟いた一言は、達成感のようなものが込められている。
すると、黒ローブの人物は魔法陣に向かって手をかざし、
「ℛ℘ЭKℛℤфℂИлЭKℛℛ℘ЭK」
この世の言語とは思えない言葉を口にすると、描かれた魔方陣が白く発光し始め、そう思ったら、白く光る魔方陣の上に、青白く輝く光の玉が出現する。
薄暗かった公園内は、光の玉によって明るく照らされ、光の玉が一瞬の煌めきを放ったその瞬間、まるで打ち上げ花火かのように光の玉が上空へと打ち出された。
上空へとある程度昇った光の玉は一旦停止、直後五つに分かれ、ばらばらの方向へと散らばる。
散らばる光の玉を眺めながら、黒のローブの人物はまたぽつりと呟く。
「ようやく私達の夢が叶うよ・・・」
その言葉はどこか哀愁が漂っていた・・・・