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スケルトンは人間に戻りたい。  作者: すいがら。
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やっと外。



 初めて出会ったその六人組は、街で偉い人たちが話していた例の戦乙女隊(ヴァルキリーズ)らしい。

 その中でも一番隊と名乗った。

 彼女らは少女にいち早く近づいて、魔法だろうか、何か淡い光を発しながら手当をし始めた。



「…この子をどうするつもりかしら?」



 一番背の高い、右の額から細長い角が上向きに生えている、がたいの良い女性が険しい表情で問うてくる。

 その手には使い込まれた大斧が握られている。



 質問されたところで会話する術を持たない俺は、いつかの三人組と対峙した時のように両手を挙げて無害をアピールする。

 そうやってにらみ合いが数秒続き、どうしようかと動かない現状に頭を悩ませ始めた頃。



「…こ、このほねさんは、私を助けてくれました」



 少女の言葉が状況を動かしてくれた。

 それに答えたのは猫のような、犬のような、耳が印象的な幅広の短剣を構えた人懐っこそうな女性。

 その顔も俺への警戒心から強張っている。


「…でも、きみ傷だらけじゃん

 ウチらが絶対に助けるから、嘘はつかなくていいぞ?」

「これは、…デーモンにつけられたんです

 殺されそうなところを助けてくれて、ここまで運んでくれたんです、本当です」


 少し言葉に裏を感じつつも、少女は俺を庇ってくれるようだ。

 デーモン、と言われた六人組は険しい表情を更に険しくさせたように見えた。


「…その話が本当だとするとして、デーモンより強いスケルトンが目の前に居ることになるんだけど?」


 眼鏡を掛けた、他の人に比べて軽装な少女へ治癒の魔法のようなものを掛けていた女性が頭痛を抑えるようにしかめっ面で告げた。

 他の五人も似たような考えであるらしく、既に警戒されていたのにさらにその色を濃くさせる。


「目的がわからない以上、安心できない

 助けてくれたのは感謝するが、人に危害を加えない証拠には届かない」

「でも…私たちが動くきっかけの報告でも人を助けるような行動を取ってるわ」

「…せめてコミュニケーションが取れれば変わるんだが」


 こそこそと相談している六人組の会話内容はしっかり把握できており、俺自身も会話ができないもどかしさをどうすることもできないために、黙って手を挙げたまま流れに身を任せることにした。


「あのぅ、書くものありませんか?」

「ん?あるよ?」


 そんな六人組に向かって場違いな言葉を投げかける少女の行動に、疑問を抱きつつも相談を優先したらしい猫耳の少女は片手間にノートとペンを取り出して少女へ渡した。

 何をするのかと気にしているのは俺だけ。

 他の六人組は俺への対処をどうするべきかと相談に集中している様子。



 そんな少女は、俺に視線を向けてちょいちょいと、手を振る。

 どうにもこっちに来てと言わんばかりのジェスチャーに、勝手に動いては警戒されるとはわかっていながらも、少女のお願いを優先した。


「…動くな!」

「大丈夫です!」


 俺の行動を注意深く観察していただろう、武士のような雰囲気の硬い女性が叫ぶが、それを少女が押しとどめる。

 ちらりとその女性に頭蓋を向けつつ、申し訳程度にぺこりと頭を下げて少女の元へ。



 少女は手にしたノートとペンを俺に差し出した。

 六人組は少女の行動にはてなを浮かべて様子を伺っている。


「ほねさん、文字はわかる?」


 そう言われて少女のやりたいことを理解した。

 とはいえ、俺は日本産まれ日本育ちの異世界人である。

 低い、とても低い確率でこのダンジョンが地球のどこかにあるとしても俺の文字を解読する人間がいるとは思えない。



 …いや、本当にそうだろうか。

 少なくとも彼女らの話している言葉がわかるという異常事態から考えたら文字も通じると考えたほうが自然か?


『痛いところはない?』

「…ふふ、ほねさんとお姉さんたちのお陰で楽だよ

 ありがとう」


 ダメ元で受け取ったノートに記した文字はちゃんと通じたらしい。

 ずっと放置されていた少女の様態を気にする文字をしっかり認識した少女は初めて微笑んだ。


「…驚いた」


 俺がコミュニケーション手段を手に入れて、事情を根掘り葉掘り聞かれ、気づいたらこうなってた元人間であることを何とか理解してもらった後、少女の怪我をちゃんとした人に見せようと一緒に外に出ることにした。


 軽装の女性が纏っていたローブを借りて、外に出た時に騒ぎにならないよう全身を覆う。


 それを確認したリーダーらしい、線の細い綺麗な女性が一言。


「最後に、私の腕を切り落としなさい」

「ファスカ!?何言ってんの?!」


 俺も何を言ってるのか理解に苦しむ。

 だがその中の何人かは何も言わずに彼女の意図を理解した様子。


 何か彼女の能力か何かがあるのだろうか?

 世界が違うと常識も違うだろうし、言われたとおりにしておくか?

 けど、数人は慌てて止めているのを見るに普通じゃないお願いだということは推測できる。


「ほら、早く切り落としなさい

 そしたら外に出してあげるわ」

「さっきからなに言ってるの!おかしくなっちゃったの!?」


 わーわーと騒ぐ彼女らを無視して、俺に差し出す剣を手に取った。

 初めて剣を握ったが、なんとなくしっくりくる。

 武骨で綺麗な、機能性重視したようなその剣に見惚れながら、綺麗な白の細腕を差し出す彼女を確認すれば、額に汗を確認できた。

 表面上は涼しい顔をしているが、若干身体が強張っているのを見て、どういう意図があるかわからず、思案する。


 …わからん。

 けど、人の腕切り落としてまで外に出たいかといわれると、否である。

 少女も六人組に任せればあとは安心だし、強いて言うなら一人ぼっちに戻るだけ。


 少し寂しさはあっても、命の危険はないわけだし。


『この子を頼みます』


 そう書いたノートと受け取った剣、ローブを渡して、踵を返す。


「ちょっと待って」


 言われて振り返ると、剣を鞘に戻した彼女が腕まくりを戻してほっとした表情を浮かべている。


「教えてほしいんだけど、どうして切らなかったの?

 切れば外に出られたのに?」

『そこまでして外に出る理由がない

 この子が安全ならそれでいい』

「…ここまで看過されてたらお手上げだけど

 まあ、最低限ね、どう?」

「ふん、どうせ最初っからこうなるってわかっていたんだろう?」

「…半々よ」


 何の話をしているのか。

 ぼんやりと話を聞いていると、どうやらひと段落着いたらしい。


「じゃ、これ着て着いてきてください」


 再度渡されたローブを疑問符で埋め尽くした頭蓋で見つめる。


「あなたはスケルトン

 私たちがダンジョンからモンスターを出すんだから、保証はいるでしょ?

 絶対に人を傷付けない保証

 …だからぎりぎり及第点

 あなたの優先順位は少なくとも外に出るよりも人を害することを拒んだ

 私たちはこれからあなたの見届け人になる

 私たちの顔に泥を塗らないでよね?」



 俺が外に出たいがために彼女の腕を斬りつけていたら危険だと判断されたわけか。

 いや、無茶しすぎだろう。

 俺が危険なモンスターだったら、まあ、呑気に会話しているだけでも十分危険か。



「ってことよ

 無茶してごめんねみんな

 私は強さはともかく、危険性は低いと判断する」

「…反対しても連れてく癖に」

「はー、びっくりした!行動がいきなりすぎるよ!

 ウチは賛成!」

「危険と判断したら叩き切る」


 物騒な声もあったが、おおむね賛成らしい。

 俺が本当に外に出ることが決まった瞬間だった。


「よかったね、ほねさん!」


 にこりと笑顔で俺を見上げる少女の頭を撫でながら、俺は魔法陣へ向かった。




***




 ダンジョンの外。

 


 時刻は夕方で、日が落ち始めている。

 屋台が繁盛しているのを見るに夕飯時らしい。



 いろんな人種が、いろんな種類の食べ物飲み物を楽しそうに笑顔で摂っているのを見ると、この街は潤っているのかもしれない。


「ちょっとこの部屋で待っててくれる?」

『わかりました』


 魔法陣から出た先は、同じく魔法陣が地面に書かれた一室で、そこから少し移動して人気のない部屋に。

 戦乙女隊(ヴァルキリーズ)の隊長である、ファスカさんがそう言って出ていったのを見送って、他の六人が俺と同じ部屋に居座る。



 未だ俺への警戒は解けないようで、五人は武器を外さず、注意深くこちらを伺っている様子。

 逆に少女は俺に対してまったく警戒している様子はなく、ニコニコと近づいて会話を楽しみ始めた。


「ほねさんはお名前はないの?」

『覚えてない』


 人間だったころの名前はあっても、今のスケルトンな俺が人間の名前を使うのはなんか変な感じがしたし、説明が面倒で異世界人だなんて言ったら話がこじれそうだったため、記憶がないという体でストーリーを作ることにした。

 人間だった記憶は薄く、気づいたらスケルトンになっていた。

 そういうぼんやりとしたやり取りを続ける。


「…じゃあ、ケルト

 どう?ケルトって名前考えたの」

『いいとおもう』


 スケルトンのケルト。

 そうやって俺の名前が決まった。


「どうして助けてくれたの?」

『人を助けるのに理由なんてない』


 そんな格好をつけた返事をしながら、この少女への特別な感情については隠す。

 何故か強い感情を抱く理由は自分自身で説明がつかないのだから、言って混乱させるくらいなら胸の内に留めておきたかった。



 しばらく、少女との会話をしていて、彼女が孤児であるらしいことを知った。

 児童養護施設のような、しっかり教育を受ける機関がこの街にはあるらしく、お小遣い稼ぎにポーターをやっていたのだとか。

 俺の推測はあっていたらしい。



 どうしてあんな場所で一人だったのか問いただせば、口をつぐんだ。

 きっと何か問題があるのだろう。

 本人の言いたくないことを無理に言わせるのもよくないと、雑談を続ける。


「ケルトは、これからどうなるんだろう?」

「そいつの身柄は私たち戦乙女隊(ヴァルキリーズ)で預かることになる」

「ウチら専用のクラン施設あるから、そこに軟禁になるね」


 クラン施設という聞きなれない名前を聞いてみれば、戦乙女隊(ヴァルキリーズ)で共同生活をしている建物があるらしい。

 俺がモンスターだから監視もかねて身近に置いておくのは理解できた。

 だけど、戦乙女隊(ヴァルキリーズ)なんて名前のチームであることからして女性の住まいなのではないかという懸念があった。


『俺、男』

「…それは、問題だな」


 今日一番の硬い表情をして言いよどむ武士な女性。

 他の女性もあまりいい感情を持っていないだろう、無言の時間が続いた。


「…何この空気?」

「ファスカ、…問題発生だ」


 丁度帰ってきたらしい、出ていくときにはなかった荷物を持っている。

 説明すると、ファスカと呼ばれた女性が呆れたような顔でため息を一つ。


「男も何も、そもそも人間じゃないのに?

 そんな気にする?

 あ、君はこれで全身隠すようにね」

「お前は男について理解が浅すぎる!」


 ファスカさんはどうやら気にしない様子で、他の五人に詰められている。

 しばらくその様子を見ながら、ファスカさんが買ってきたのだろう、全身を覆うローブに顔を覆う仮面や肘まで覆うグローブ、ロングブーツなんかを全身を隠すように身に着ける。

 すっかり真っ黒に染まった不審者の完成である。


 そりゃモンスターが街中で発見されたら大騒ぎだろうし、ばれないようにするのは大事なことなんだろうけど、より怪しくなってる気がするのは俺だけじゃないだろう。

 仮面なんて真っ白でのっぺりとした、どこで買ったのか不思議なもので、全身の黒と対比されてホラーテイストである。マジックアイテムらしく穴も起伏も何もないがしっかり外が見えるように設計されているとのこと。


「…あんたに任せた私も悪かったけどね

 もうちょっとマシな見た目にできなかったのかしら?」

「え?かっこいいじゃない?」


 ファスカさんは所々抜けているところがあるらしい。

 他の五人に呆れられながら、滾々と説教され始めた。


「大変だね」


 こくりと、頷いて少女とその様子を眺めながら、少し窮屈になった骨の身体を確認する。

 うん、完全に不審者だけど、骨が見えないようによく工夫されている。

 


 貰った以上は大事にしたいし、わざわざ用意してくれたことに文句を言うつもりもないが、この格好で他人を怖がらせては本末転倒である。

 議論の末、仮面に笑顔のマークを足したり、ローブを派手な赤のスーツに変えたり、それに合わせてネクタイやシャツを金色にしたり、後頭部を隠すために頭蓋骨と同化する白の長髪ウィッグに白のシルクハットを用意したりとやりたい放題である。



 グローブとロングブーツは色を白に変えて、まるで今からショーでも始めるかのよう。

 小一時間ほどかけて完成したのは恐怖を拭うことを優先し過ぎたせいで目立ちすぎるショーマンであった。



 六人組はどうしてこうなったとばかりに顔をしかめているが、少女には受けが良かったようで。


「わぁ!物語の王子様みたい!」


 と、若干ずれた感性で楽しそうにしていた。

 こんな派手な王子様がいるものか。


「…ま、まぁさっきよりはマシね」

「ウチら全員男嫌い過ぎてメンズのファッションセンス皆無」

「う、うるさいわね!あんた!文句あんの?!」


 何故か飛んできた怒りの言葉に首をフルフルと振って無抵抗を貫いた。

 この空間で少女だけが気に入ったらしい恰好のまま話は進んでいく。


「で、あなた、ケルトさんは男性とのことらしいですけど」


 頷く。


「流石に男を住まわせるのは賛成できんぞ」

「じゃあどうすんのよ」

「…仕方ない、他のクランに」

「やだ!任務失敗したとかなんとか難癖付けてくるって絶対!」


 彼女らには彼女らなりの問題があるらしい。

 やあやあと言い争う様を少女と二人で眺めながら、そういえば名前を聞いてなかったと文字に起こす。


『名前は?』

「ルルノリア、ルルって呼んでほしい」


 呼ぶも何も言葉を発せないんだけど。


『ルルは、帰らなくて大丈夫?施設の人に心配されない?』

「…帰りたくない」


 どうやら施設にルルの何かがあるらしい。

 暗い表情で否定する少女を見て、一つ提案してみる。


『ルルの施設』

「養護施設ね、確かに受け入れには応じてくれるでしょうけど…」

「何かあった時に対応できない」

『なら、夜はダンジョンに戻る』


 それが一番丸い、と議論が収束し始める。

 が、それに異議を唱える一人。


「ケルトは私と一緒に帰ります!」


 フルフルと、勇気を出したのか、震える身体で大きく宣言する少女。

 それに何やら思案顔でファスカさんが問いかける。


「ルルちゃんは、…その傷ダンジョンでついたやつじゃないよね?

 施設で何があったか、言いたくなければ言わなくていい

 けど、ケルトは、その…モンスターだから、危ないかもしれないんだよ?」


 優しく、言葉を選びながら告げるファスカさんの言葉に俺の感じていた違和感を言語化された。

 虐待でもいじめでも受けていたのだろうか。

 推定でしかわからないが、押し黙った少女の様子から全くの的外れではないだろうことはくみ取れた。


「じゃあ私も一緒にダンジョンで過ごす!」

「それは許可できない」


 にべもなく、ぴしゃりと言い切られた少女はうるんだ瞳で顔を伏せる。

 その様子にざわざわと心が揺れる。


『少女を保護してください

 それができないならダンジョンに連れ帰ります』

「…何を言っている?」


 剣呑な表情で呟く武士な女性はその手を腰の刀に添えている。

 そんな脅しは俺には通用しない。

 この子の安全が確保できないのであれば、少し考えがある。



 右手のグローブを外して、指を飛ばす。

 一瞬で彼女の額にピタリとくっついた指に、冷や汗を垂らしながら動けずにいる女性。

 他の五人も危険と判断したのだろう、各々が武器を構えたまま動けないでいた。



 あとはゆっくり残りの五人へ同じように、指の骨を額に突きつける。



 残った左腕を操ってノートに書き起こす。


『危害を加えるつもりはない

 要求はただ一つ、この子の安全のみ』


 そのノートをファスカさんへ向けて突き出す。

 複雑そうな表情で、ノートを読み終わった彼女はため息を一つ。


「あなたみたいな危険なモンスターを放っておくほうがこわい

 どういうわけかこの子があなたにとって重要なことはわかった」

「…おい、もしかしてモンスターの言いなりになる気か?

 一瞬でも人間に敵対したんだ、ここで処分するべきだ」

「…ツクヨもわかってるくせに

 私たち六人がかりでも返り討ちに遭う

 はぁ、思ったより厄介な案件引き受けちゃったのね」


 ツクヨと呼ばれた武士のような硬い印象の女性は悔しそうに刀を収めた。


「ルルちゃん、だっけ?

 これからよろしく」

「へ?」

「ファスカ?方針決まってないのに勝手に進めないで?」

「私たちのクランには住まわせられないって結論は出たでしょ?

 なら、流石にこんな女の子に任せるつもりもないし、私と彼で施設に泊まる」


 呆れた顔でジト目を向ける五人と、あたふたと状況についていけていない少女。

 当の本人はケロッとした顔で、行きましょと先導する始末。


『この世界には契約魔法みたいなものはないのか?

 俺が悪さをしないように縛るような魔法』


 力技に出た俺が言うことではないが、もっと方法はあるはずだろう。

 一人で暴走しているファスカさんに向けて書きなぐったノートを突き付ける。


「…あなた、よくわからないこと言うのね

 一番近いのは隷属の魔法だろうけど、違法だし

 他は本人であることの確認と改竄や不正の防止程度の効力」

『その隷属魔法を使ってくれ

 人間のルールはモンスターには適用されないだろ?』


 鳩が豆鉄砲を食ったような顔でノートと俺の頭蓋骨を行ったり来たりしている。

 ちょっと面白い。


『ただし、その相手はルルにお願いする

 内容は任せるが、最低限人に危害を加えないとかで』

「…どういう風に解釈したかわからないけど

 隷属の魔法はあなたの思っているような使い勝手のいいもんじゃない

 対象者の命を握るだけの魔法よ」

『ならそれでもいい』


 またも変な顔で固まるファスカさん。

 意味わかってるのかとばかりに詰め寄って説明される。


「あなた本当は言葉の意味通じてないんじゃないの?

 ばかなの?」

『人外が表に出ようってのが土台無理な話

 納得してもらうためにもセーフティはいるでしょ?』


 結局その場では結論は出ず、正体を隠したまま施設のお世話になることになった。

 ファスカさん一人じゃ心配だということでもう一人、がたいの良い角の生えた女性が着いてくるらしい。

 三人で施設へ向かう途中に屋台で適当な串焼き肉を買って食べていたが、どうやら俺自身は食欲はないらしい。


 また一つ人外である証明をされたような気がして少し落ち込む。

 まあ、笑顔で肉を頬張るルルちゃんの様子にその気持ちも紛れていった。



 そうやって俺は初めての夜を過ごした。

 ちなみに睡眠欲もなく、動かないように気を付けるのが大変だった。



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