断罪中に転生しました、なんとかごまかして処刑だけは免れたいと思います。
「イザベラ・ワトキンス!マリーに対しひどいいじめと嫌がらせを行った貴様とはもう婚約破棄だ!そして私はここにいるマリー・グンターを婚約者とする!」
今わたしは婚約破棄中、そして王子にこの言葉をぶつけられる一秒前に、なぜか一秒前に転生した。
せめてさあ1日前なら逃げられただろうし、どんなに遅くとも学園のパーティホールに入る前とかならさあ…。
しかもこの話知ってる、最終的に私というか侯爵令嬢は処刑なんだよね、そこまでのいじめしたのか?って聞かれたらみみっちいのしかしてないのよ、教科書破る、ドレスに泥水かけるとかね、まあいじめはよくないですけど!
あ、でも階段から突き落としたのは良くないけど、突き落とすつもりはなかったみたいで、イザベラは風魔法で彼女がケガしないようにしてたな。
「イザベラ!何か言ったらどうだ!そして彼女に謝れ!」
ああ…面倒、でもこういう時は認めちゃうのが楽よね……。
よし、前世の私は演劇部だし、セリフ忘れてよくいらんアドリブ入れて怒られた事多々ありだけど、それ今やらないでいつやるの?
私は顔を引き締めてマリー様を見つめた。
「マリー様申し訳ございませんでした、私が行った数々の嫌がらせで大変心を傷つけ、怖い思いをされたでしょう」
「ふん、大方嫉妬にかられたんだろう、最悪な女だ」
おまえが言うな浮気野郎、確かにイザベラは嫉妬にかられてやってたけど、今の私は殿下に対する恋愛感情ひとつもねえし。
「いいえ、嫉妬ではございません、お二人の為でございます」
「人の教科書をビリビリにするのが何故私達二人の為なのだ!」
「話すと長くなりますが……確かに私は小さい頃に殿下と婚約できて天にも昇る気持ちでした、この方と結婚するのだと…しかし学園に入り、殿下とマリー様のお二人を見た時、私は殿下を愛していないと気がついたのです。
私が殿下と婚約できて嬉しかったのは、小さい頃に読んだ本の中の王子様に恋をしていたのだと…そしてお二人はその本の内容と同じ関係でした、王子と平民の少女との恋…二人は数々の苦難を乗り越え結ばれる……何て素敵な物語……その物語のような光景が自分の目の前に…誰が邪魔できるというのでしょう!もう尊いとしか言いようがない!
お二人の逢瀬の場所がわかった私はいつもお二人を見つめていましたが、ある日気がついたんです。
マリー様が教科書を持ち歩いている時は絶対に殿下に見せないように布でくるんでいると、気になった私はマリー様のクラスが移動教室の時に気分が悪いフリをして教室に忍びこみました、そしてわかったのがマリー様は古い教科書を使っていたのです。
ああ……確かに好きな人に古い教科書を使ってるのは見せたくない……殿下も殿下でマリー様の顔しか見てなくて気がつかない!どうしたら殿下から彼女に教科書をプレゼントさせる事ができるか……そうだ、破ろう。
数日後、ちゃんと殿下から教科書がプレゼントされてホッとしました。
そう後はドレスの件ですが、学園の創立記念日の際、彼女はドレスは着ていました、しかし素材は綿、それで学園に入れば笑い者になる、私は御者に頼み歩道ギリギリで走らせ泥水をかけました、彼女が来なければきっと殿下は心配して彼女のもとへ駆け付けドレスをプレゼントすると、予想通り殿下はマリー様にドレスをプレゼントし、彼女と遅れて会場に入ってきました、あのときは喜びを隠すのが大変で扇子で隠しながら唇を噛みました」
「階段から突き落とした件はどう言い訳するつもりだ」
「…その件につきましては、本当に申し訳ございません、突き落とすつもりはなかったのです。
こうなったら二人をくっつけたい、そうずっと思っていましたが私は侯爵令嬢、父に話した所でお叱りを受けるだけ、何も変わらない。
婚約をなくすには私がマリー様に嫌がらせしてる現場を他の貴族達に見てもらう事でした。
本当はすこし突き飛ばすだけのはずでしたが…突き落とす事になってしまいました……」
殿下はまだ納得してない顔をしてる…、やっぱ処刑免れない?どうせなら国外追放してもらって自由に生きたい。
「あ、あのイザベラ様は私が階段から落ちる時に風魔法をかけて怪我をしないようにしてくれましたよね?」
「ええ……怪我がなくて本当に良かった…」
私はやわらかーい笑顔を浮かべ殿下とマリー様に向けました。
「婚約破棄了承致しました、殿下、マリー様おめでとうございます」
そう言い私は会場を後にした。
この後?もちろんイザベラの父親に大激怒されましたがこっちもキレ返して家出して今風魔法を操る弓使いとして冒険者やってます。
私をマリー様の教育係にしようと国のお偉いさんが探してるみたいだけど、自由を謳歌させていただきまーす。