ハンキーのプレゼン 魔力と科学【前編その2】
「これまで3度の封印で、その度に封印魔法を強力なものに進化させました」
「皮肉にも、封印魔法が強力になったために地球を弱らせたのです」
「ややもすると、それすらも魔王の目的かもしれません」
「どうやって確認したんだね?」
研究者や教職員で組織されるアカデミックギルド長が話を遮った。
「まさか視認したわけではあるまい?汚染された魔力など聞いたことがない」
「その質問はアーカギルド長から頂けると思っておりました。そのまさかです。視認できるのです」
「何だと?」
言うが早いか、ハンキーは帽子から小瓶を取り出した。
「・・・・・う・・・・・これは・・・・」
然しものギルド長も黙り込むしかなかった。
瓶の中で蠢く白煙は異様な魔力を放ち、腐臭が漂いそうなほど汚らわしかった。
ここにいるものは全員が相当の魔法使いだ。
その全員が、全身から汗が吹き出すような緊張に襲われた。
「魔王を封印した残り香のようなものです」
やはり魔力に対して造詣が深いアカデミックギルド長が最も狼狽している。正しい反応だ。
「どこでこんなもの・・・・?」
「レインバン山脈の魔王封印地に行けば簡単に手に入ります。尤も一般人に入れる場所ではありませんが」
「成程、流石にレインバンはワシでも無理だ」
「すまない、話を続けてくれ」
これで一番の問題であり、強力な味方になる人物を懐柔できただろう。
「皆様が聡明な方で助かります」
「次に、魔力が減少している中で魔王を討伐する手段ですが」
「電気魔法です」
「電気・・・・?」
「正確には電気魔法ではなく、電気を科学で作り出します」
どよめき、というよりも呆れたような溜息交じりの声が起こる。
しかしアークギルド長とジョージは厳しい表情を崩していない。
「疑うお気持ちはわかります。まずはこちらをご覧ください」
ハンキーはエレキギターとアンプを机に載せると、帽子から取り出したハンマーで力一杯殴りつけた。