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はなやかな恋を君に届けるから  作者: 氷ノ 光莉
3/3

真実

「花鈴……大きくなったのね。ママ嬉しいわ」


ママはにっこり太陽みたいに笑った


そのあと、大変なことになることも知らずに……


「あれれぇ?こんなところにぃ、いきてるひとがいるぅ」


だれ!?

「イケナイねぇ、だってここはぁ、後の世界だもんねぇ。生きてる人がぁ、来ちゃいけないんだよねぇ、ねぇ?そうでしょぉ?」


「あ、な、、、た、!」


ママがポロッとそう言った。

ママは知ってるのかなこの人のこと。

「………て。……にげて!花鈴!」


「え!?」


私はママに言われた通り走った。

あの男の人が悪い人なんだなってことは伝わった。

「もっと、もっと早くッ!、、、っ!」


ふと振り返ると男の人はいつのまにかママがいる牢屋の中に入っていて、男の人は自分の手でママの口を塞いでいた。

私は全速力でママのところに戻る。

「ちょっと!離して!この、この…………」


ママは全力で男の人の手を口から剥がしたらこうさけんだ。


「死神ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」


……………し、しに、がみ………?


思考が追いつかない。

え?

死神?

そうだ、“後の世界”があることから思考が追いついてないんだ。

「ハハハァー。あの娘ぇ、お母さんを助けに来たのかなぁ?馬鹿だねぇ。馬鹿すぎるねぇ」


ど、どうしよう。

足がガクガクと震える。

身体が動かない。

「今日はラッキーだなぁ!君ぃ、結構可愛いしぃ、食べ甲斐があるぅ!やったぁ!」


怖い

怖い

怖い


そんなことしか頭に浮かばない。

ど、どうしよう

死神…は私の方にどんどん私に近づいてくる。

や、ヤダ

来ないで。

声に出してるつもりが声に出てない。

助けて

誰か

ひ、氷雨くんっ………。

「遅れて、ごめんね」


……………っ!

「大丈夫?怪我してない?こんな所紹介しちゃって、ごめんね。ーーーーーー天音さん」


「ひ、氷雨くんっ!」


目の前には氷雨くんが立っていた。

「そうだよ。天音さん。大丈夫?」


「氷雨くん、氷雨くん、氷雨くんっ!!」


嬉しくて、

安心して、

でもまだ怖くて、

そういう思いが涙に変わる。

私は氷雨くんに抱きついてしまった。

「っ!あ、天音さん!?」


顔を見なくても声のトーンで氷雨くんが驚いてることがわかる。

抱きついてしまったことを自覚し、バッ!っと離れる。

「ご、ごめんね!」


氷雨くんの方を向いて言ったら氷雨くんは少し笑っていた。

ドキッ

少し胸が鳴ったのが分かった。

「ねぇねぇ、ボクぅ、話してたんだけどぉ!っていうか誰ぇ?生きてるよねぇ?でも」


死神は少し言葉を詰まらせ、

「ーーーーーー人間じゃあないねぇ」


と呟いた。

人間じゃない?

この死神何言ってるの?

氷雨くんは人間だよ。

とその時、

「あれぇ?俺が分からない?茜……神様から聞いてない?」


氷雨くんが死神に言った

「神様ぁ?聞いてないねぇ」


「そう。じゃあ特別に教えてあげるよ。俺は、」


氷雨くんは、ニヤッ。と笑って

「ーーーーーー神様の子供」


と言った。

神様の子供?

え?

「ひ、氷雨くん?」


私はぼーぜんとして氷雨くんに言う。

「天音さん、今まで隠しててごめんね。後で全部説明するから。今は後ろに下がってて」


「…………う、うん」


と言って私は氷雨くんの後ろに隠れる。

「ねぇ、どういうことぉ?神様の子供ぉ?なんの力も無いのにぃ、地位が高いだけだろぉ!」


「そうだね。俺は地位が高いよ。それに、力もあるよ。あの神様だよ。力をくれないわけ無いじゃん」


「な、なんだとぉ」


「見せてあげようか?力」


「じ、上等ダァ」


「神様。どうか、俺、鈴井 氷雨に力をお貸し下さい。聖霊を通して、力をお貸し下さい」


氷雨くんがそう言うと、氷雨くんの周りに青い光が一つ浮いていた。

「な、なんだぁ?」


「氷の聖霊だよ」


「氷の聖霊だとぉ?」


「そうだよ。聖霊様、あの死神を倒して下さい」


氷雨くんがこ、氷の聖霊…にそう命じると氷雨くんと聖霊は死神に近寄った。

氷雨くんは死神の身体に触れ、目を閉じて、「粉雪」と言った。

「……………っ!?」


すると、死神の上に真っ黒な雲ができて、雪が降ってきた。雪はだんだん死神の上に積もっていき、気づいたら死神の身体全身をカチコチに凍らさせてしまった。

その後、パキンッ!と粉々に割れた。

「なっ!し、死神が粉々に……」


私が目を丸くしていると、

「もう死んでるから大丈夫だよ」


氷雨くんは俯いたまま私に言った。

「それに、早く出よう。ここは危険だ」


バッと顔を上げ、私の手を掴み走り出した。

「ちょっ!氷雨くん!?」


全速力で出口に向かう。

やっと入ってきたドアが見えてきた。

もうすぐっ!

ドアから私たちは外に出た。

「はぁはぁはぁ」


い、息切れ。

「ご、ごめん…はぁ……」


氷雨くんも息切れしてるみたい。

「だ、だい、じょうぶ」


はぁ、はぁ……はぁ。

大分、息が整ったら、

「……………………………………………………」


沈黙が続いてしまった。

すると、氷雨くんが口を開いて、

「ーーーーーーーーーー説明、するね」


と言った。

「う、うん」


「あのね。俺たちは神の子で、人間が悪いことしないように、見張らないといけないんだ」


「お、俺、たち?」


「そう。風兎も、俺たち一族全員」


「………」


「それでね、昔は神様一人でやってたんだけど、大変になっちゃって、俺たちにこの仕事を託したんだ。でも、『神の子なのに力がないって言うのも』って言って力をくれた。それがさっきの氷の聖霊だよ。全員が氷の聖霊ってわけじゃなくて、風兎だったら風の聖霊。みたいに、みんなちがうんだ」


「すみません……よく分かりません……」


頭をフル回転させてるのに理解が難しい。

「え、えーっと、まず、俺たちは人間が人生を、真っ当に生きるように、サポートする役なんだ。そこまで…わかる?」


「えっ?でも真っ当に生きられてない人いるよね?」


だってニュースとかで殺人事件とか、自殺とか、いじめとか、色々あるし……。

「えっと、それは、その人の人生っていうのかな、それは、その人の運命ってこと。殺人したら、刑務所に入る運命。自殺したなら、遺書を書いて屋上から飛び降りる運命。事故にあったなら、家族に囲まれて死ぬ運命」


「そんな……」


私は悲しかった。

神様の子供とか言うからそういう事件をなくしてくれるのかと思ってしまったのに、それがその人の、“運命”だなん

て…。

「だから、俺たちがいないとその人の運命は果たされず、もし、自殺しようとして、他の人に助けられて、その人に恋をする運命だったら?もし自殺しなかったらその人は助けた人に恋に落ちなくなってしまう。そしたら、その人は運命の出会いを無くしてしまうかもしれない。」


「だから俺たちが必要なんだ。」


「…………………分か、った?」

氷雨くんは私の顔を除いてそう言った。


「まあ、大体は」


「今まで黙っててごめん」


「謝らないで。後、助けに来てくれてありがとう」


私は優しく笑った。

「じゃあさ、なんで、他の神様の子供?なのに、氷雨くんと一緒にいないの?」


私はふとそう思って氷雨くんに聞いた。

「あー、それは、皆んな散り散りにいるからだよ。俺と風兎は日本。アメリカには鈴井 草璽(すずい そうじ)鈴井 瑛水(すずい えみ)。ドイツには鈴井 亜星(すずい あせい)鈴井 惺月(すずい しづく)。イタリアには鈴井 火星也(すずい かせや)鈴井 花澄(すずい かすみ)。フランスにはと鈴井 日土美(すずい ひとみ)鈴井 舞砂紀(すずい まさき)


なるほど!散り散りにいた方がやりやすいもんね。

「こ、こんなにも」


思わず口にしてしまった。

多すぎでしょッ!

「俺を抜いて11人いると思うよ」


「従兄弟が11人!?」


「ハハハ」


ハハハじゃないよっ!!

スマホをふと見ると、気がついたらもう9時だった。

「も、もう9時……」


空は真っ暗。

急に怖くなってきた。

「ワンッ!ワンッ!」


「ひぇぇぇ!!」


犬が吠えただけなのに、私は裏返った声を出してしまった。

「……………ぷっ、あはははっ!」


少し間があって、氷雨くんが笑い出した。

「犬っ、犬が吠えただけなのにッ!〜〜〜〜っ!」


「う、うるさいなぁっ!き、急に怖くなってきちゃったんだもんっ!」


「あはは、ごめん、ごめん」


「………可愛いなぁって思って」


氷雨くんがその言葉を呟いた時、私は微かに心臓が跳ねた。

「もう帰ろうか。大分遅くなっちゃったし」


「うん!」

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