虹蛇卵
蛇って種類によっては縁起がいいとか言われてますよね。演技を担いで抜け殻をお守りにしたり、財布などもありますよね。今では都会で蛇をみかけなくなりました。なのでこの話の舞台も田舎になっています。田んぼや畑、小さな山などがたくさんあるので住みやすいのでしょうね。
虹蛇の卵は幸運を呼ぶって聞いたことがありますか?
虹蛇の卵ってなかなか見れないものらしいのです。木の上などの外敵から見えない場所に巣を作り、産み付けるらしいのです。1つしか産まないらしく、雨風で落ちたり、カラスなどに見つかったりして卵からかえるのが難しいらしいのです。かえってからも外敵に襲われたり人間に殺されたりしてしまって、本当に存在するのかさえわからないのです。
でももし上手く育ったのなら、その蛇は1軒の床下に寝床を作ります。寝床になった家は、大金持ちになったり、子宝に恵まれたり、幸運が続くらしいのです。
ただ、その家の家族が蛇を見てしまったり、探したりするといつの間にか寝床を変えてしまうそうです。
とある村で虹蛇の噂は語り継がれていたものの信じる人は少なかったそうです。
ある年の夏に大きな台風が来ました。その村は無傷だったそうです。周りの村は壊滅状態だったので。無傷だった村には虹蛇が守ってくれたのだと喜ばれました。先祖からの言い伝えもあったので大人たちは祠を作り、虹蛇様のお祭りも開催されました。
数年たったある祭りの日に大人たちが酒盛りをしていると、やんちゃな高校生4人が虹蛇を探そうと言い出したのです。見た人がいないので噂に過ぎないと思っていたので、探す人がいるとは思わなかったのです。
4人の高校生、和也、猛、芽衣子、沙也加は、親の目を盗んで探索に出かけました。村中をただ探すのは難しいという事である程度、目星をつけることとしました。沙也加には、多少の霊感があるようだったので、沙也加が言うところに行くこととなりました。
そこは沼の近くにある古い民家でした。4人は床下を外からのぞきました。何も見えません。いるわけないよねぇ~と口々に言いながら帰ろうと立ち上がった時、沙也加の目に光る何かが飛び込んできました。沙也加は一瞬めまいがしましたが、すぐに元に戻ったのでみんなで帰りました。
その日から沙也加はおかしくなりました。いきなり這い出したり、家族の目を盗んで生肉を食べたりしていました。しかし、周りの人たちは気づきません。誰かがいるときは普通だからです。
沙也加が20歳になった時、事件は起きました。沙也加が行方不明になり、3日後に帰ってきました。下半身が血だらけで両親の顔を見た瞬間、意識を失いました。両親は抱えて、下半身を綺麗に拭き、病院に連れて行きました。
そこでの診断は経産婦だということでした。しかし、産んだのは人間の子供よりもかなり小さいとの事でした。内診をしたときに医師は虹色のうろこを見つけました。このうろこは誰にも言わずに隠しました。
それからもこの村は災害にも負けない村で有名になりました。近年、少子化でこの村の住人もかなり減り、虹蛇の噂も年配の人しか知る人はなく、話はなくなるかと思われました。だが、村長が孫にこの話をしていて、医師から内緒でもらっていた虹色のうろこを大事そうに見せたそうです。
存在を知らせてしまったせいで虹蛇は他の村に行ってしまったのかこの年、台風で村は壊滅してしまったそうです。
沙也加は卵は宿したということで、ずっと幸運に恵まれ、104歳まで元気に生きたそうです。
この話はどうでしたか?実際にいるかどうかはわかりませんが、昔見た蛇は何もしなければ被害もないのです。スーッと通り過ぎてしまいます。しかしあの独特な異様さ、怖さもかねそなえています。もし見かけても突っついたり威嚇したりしないでくださいね。小さな蛇でも毒をもっていることもありますので。