第一話 至ってノーマル
火曜日
今日も僕は至って普通に高校へ来た。
「おはよう、忌座実くん!」
いつも通り、僕に朝の挨拶をしてくれる彼女は、春原光さん。
いつも皆に笑顔を振りまく、素直で謙虚で優しい子だ。
「おはよう、春原さん」
「最近、少し暑いよね…
練習も、けっこう大変だよ…」
春原さんは、一年にしてテニス部でとても活躍している。
先輩や顧問からも実力を認められているものの、本人は試合に出ることはどうでもいいらしい。
「ホント、春原さんはすごいよね。
大変だなんて言いながら、誰よりも長く練習してさ」
「いやいや、そんなことないよ!
私なんて、なんとなく入っただけだし…
認められてるといえばそうかもしれないけど、趣味みたいなものだし、試合に出るほどでは…」
「君がやりたいようにやればいいさ
君はもっと自信を持っていいはずさ
謙虚なところも素敵だけど。」
「そ、そんな…
ありがとう」
僕の周りには、素晴らしい人がたくさんいる。
そういう人たちを、僕は、とても…とっても尊敬する。
普通の人間は、素晴らしい人間をより輝かせるために生きるべきなんだ。
自分が輝く?
ドブネズミか?ゴミか!?
くだらない!醜い!おこがましい!
僕は、そんなクズとは違う!
普通に、普通に生きるんだ。
自分の使命を果たす。