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変心と連続  作者: 山目 広介
5/5

5 ――習慣――

「認知して」


 治療を開始して別れた彼女が現れた。


 子供だ。

 血縁を確認するすべはない。


「可能だよ」


 と彼は医者からの言葉に驚く。

 だが検査が通常よりも広範囲で精密、元の遺伝子や変化を調べていくためかなりの高額になるという。


 しかし元カノが嘘を吐くと思っていたわけではない。

 あくまでも自分が親になるという自信が彼にはなかっただけだった。

 生活を共にするということが考えられなかった。


 医者はいう。


「マニュアルを作ればどうかな?」

「どういうことですか?」


 分からずに確認する。


「仕事は問題ないし、ペットも警戒はしても一緒に暮らしているのだろう」

「ええ」

「たぶんだが、毎日別人がエサくれたり散歩したりするという習慣になったのではないかな?」


 言われたことを吟味してみる。


「つまり親という枠組みではなく、近所の人とか日本人なら挨拶したりお辞儀したりというもう少し大きい枠組みとして捉えさせようということなんでしょうか?」

「そうだね。それに君、お酒飲まなくなったでしょ」

「ええ、唯一の拠り所である記憶が無くなったとき恐怖を覚えましたので」

「でもね、そこまで暴れたりとかはなかったよ。お酒に逃げたのは分からなくもないけど、常に変化しているからか大きく変化はしていないように見えるよ」

「しかし……」

「あれぐらいは大勢いるさ。ニュースとかでも事件起こした人の話の一部にはあんな事する人には見えないとかあるでしょ。あれと一緒さ」


 事件の犯人と一緒にされて気分が良くなかったが、思い当たることもあるために口を噤んだ。

 そして医者本人にマニュアル作りは手伝わせた。最初は嫌がったが提案した責任でしぶしぶ作成してくれた。


 元カノは彼の変化に驚愕していたが受け入れた。

 現在は結婚して一緒に生活している。

 そして作成したマニュアルを基に生活していた。


 周りはルールを守っていれば髪型が変わろうと癖毛になろうと肌を焼こうと気にしない。

 特に女性の変化が激しいだけ。

 子供だって身長が伸びたり、おどおどしていたのが気軽になったり、多少変化したからと言って問題にされたりしない。

 怪我してれば心配もするが、遊んでて転んで捻挫だとか、大きな問題はなかった。




 文化とか伝統とか受け継がれて行っている。


 生命、遺伝子とはまた別物。


 個性がないなら枠に嵌れば良かったのか。







 ある時子供が、


「父さん、献血で血液型がBと言われた」


 妻はA、彼は現在O型だった。


 ウイルスは感染する……

 つまり……







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