表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/149

第62話 次の行き先は

 地底の湖に水滴が落ちる。波紋はゆっくり広がり、遮るものがないまま、やがて新しい波紋にかき消された。繰り返される動き、しかし波紋を起こす水滴が生まれる場所は存在しない。





 ジルは自城の広間で溜め息をついた。隣の部屋に寝かせたルリアージェが目覚めるまで、まだ時間がある。円卓を囲む他の魔性達も複雑そうな顔で、中央に置かれた地図を見つめていた。


「次はどうする?」


「リアが関わっていない国はツガシエとジュリくらいかしら」


「いっそサークレラに戻るという手は」


 ジルの呟きに、ライラとリシュアが口を開く。だがどちらも余り好ましくないと考えているのか、声色は暗い。そう、9カ国のうちリュジアンが消えて8か国になったこの大陸で、ルリアージェを連れて行ける場所の選定を行っていたのだ。


 テラレス、ウガリス、シグラは指名手配されている。アスターレンは国が崩壊寸前まで追い込まれたせいで、彼女を受付けない可能性が高かった。タイカにこのまま残るか、他国へ移動するか。彼らは本気で悩んでいた。


 彼と彼女らの思考の中心は『いかにルリアージェに快適に過ごしてもらうか』であって、各国の思惑や事情など考慮しない。ただルリアージェに危害を加える可能性がある国や、彼女が不快な思いをしそうな国を外した結果……ほぼ選択肢が残されなかっただけ。


「いっそここに留まるというのは……」


「安全だけど、それじゃリアが退屈だろう」


 他人と関わることが好きなルリアージェの性格を考えると、この城に閉じ込めるのは気が引ける。きっと彼女は我慢して頷くだろうと想像できるから、余計に選びたくなかった。


 基本的に魔性の思考は自分と主人、以外は排除される。どうでもいいのだ。


「リアが好きなものか〜。先日の水晶は評判良かったな」


「でも、宝飾品は興味示さないわよ?」


「魔法陣はお好きでしたね」


 思い思いにリアの好きそうなものを探っていく。魔方陣や魔術に関する知識には貪欲だが、自分を着飾る物にあまり興味を示さないのだ。


「いっそ、迷宮巡りはいかがでしょう?」


 リオネルの提案に、一斉に反応した。


「「「「それだ(わ)」」」」


 迷宮は大きな魔物や魔性の痕跡が残る地だ。テラレス王宮も魔の森や幻妖の森も含まれる。これらの場所は人族に伝承しか残っていないから、彼女の好奇心も満たせるだろう。


「リアが起きたら聞いてみましょうね」


 相談事が一段落し、魔性たちはのんびりと主人の目覚めを待った。

いつもお読みいただき、ありがとうございます(o´-ω-)o)ペコッ

感想やコメント、評価をいただけると飛び上がって喜びます!

☆・゜:*(人´ω`*)。。☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ