焔魔の首領はかわいいらしい。
明日からどんどん更新していきたいと思います。お楽しみに。
〜第5章〜
「ゆう....ゆうと......裕翔!!」
「なハァッ!?な、何、どったの?」
「どったのじゃないでしょ!もうご飯できてるわよ!早く起きてらっしゃい。」
まぶたが重い。昨夜、俺とメリィと源さんで飲み明かした。今まぶたを閉じればもうそこは夢の中。
今にも落ちそうなまぶたを擦り、洗面所へ。蛇口を捻り水を被る。
「きもちぇぇぇ」
小窓から漏れる朝の光を浴びながら蹴伸びする。
さっぱりし、リビングへ。そこには、ダイニングテーブルを囲んで二人が座って待っていた。
「遅い」
「すんません」
呆れた顔でこちらを見る。カワイイ。
朝飯はいたって庶民的なメニューだった。三人で手を合わせて「いただきます」と朝の挨拶をし、飯を頬張る。
「やっぱりうめぇわメリィ」
「あら嬉しいわ」
すると隣に座っていた源さんが顔を近づけて、小声で言う。
「ゆーくん早くメリィを嫁にもらってよ〜。あ、大丈夫嫁として、期待は裏切らないし、おらもゆーくんなら大歓迎だから。」
「ちょっ、なな、何言ってんですか僕なんかじゃ全然っすよ」
「ん?どうしたの二人共。」
「な、ナンデモナイ」
「ナンデモ」
ふーんと疑惑の目を向ける彼女。
話を戻す。
「じゃ今日はどこから紹介して行きましょうかね。 うーん……あ」
「どこ行くん?」
「焔魔宮殿よ」
えんまきゅうでん?大層な名前だ。
「あー、もし行くなら焔魔組の奴らによろしくいっといてねぃん」
留守番を源さんに任し、早速出発する事になった。メリィの話によると、焔魔組が住まう焔魔宮殿は、人里離れた荒地にあるらしい。
「にしてもやっぱり綺麗だなここは。」
「それもそうね。大体この村の美化を嗜む妖怪多いからね。変わった趣味を持ったやつが妖怪には多いのよ。古参は古風だからね。」
天幻村。約千年の歴史を持つ不思議な力を持つ場所。幾度の戦乱を引き起こし、その度に平和を紡いだ始まりの場所。人や妖怪問わず全てを惹きつける不思議な力があり、そのため事件や襲撃が絶えないらしい。だがその度、どんな状況をもひっくり返し全ての者を導く鬼がいるらしい。
なんて事だ。俺の厨二心をとことんくすぐるじゃないか、え?
そんな事を話しながら、俺とメリィは人里離れた荒地までやってきた。歩きで。
人里離れたとか言うから普通に遠いのかと思ったが、案外そんなことはなかった。
少し霧がかかっていた。遠くに大きな城のようなシルエットが見える。あれが焔魔宮殿だろう。
シルエットに向かって歩けば歩くほど、霧が濃くなっていく。しばらくメリィの背中を追いかけ、歩いていると目の前に黒い大きな門が現れた。
「ここが焔魔宮殿よ。どうでかいでしょ?もしかしたらここらじゃ一番でかいんじゃない?」
「想像していたよりもすげぇな。てか、宮殿よりも館みたいだけど」
門の前まで行く。そしていざ門の前に立ってみると、遠くからみるよりも凄い迫力だった。
「おーい、客人が訪ねて来たんだから誰か来なさいよ!」
とメリィが叫ぶ。すると門の上から何やらひらひらと淡い光が。なんだUFOか!?それかこれが鬼火ってやつか⁉︎
「ナンダシキガミツカイ。ソレニ」
「中に入れてくれないかしら。彼を紹介したいの。」
「オイシソウナニンゲン。ヒトクチカジラセロ」
「ヒィィ く、喰われるぅ」
「あんたにそんなこと出来ないでしょ。良いから早くしなさい」
「チッ、ツイテコイ」
ひらひらと浮き、カタコトで話すその物体はUFOでも、鬼火でもなかった。そう、手持ちのランプが浮遊し、目と口が青白く浮き上がって、喋っていたのだ。
すると、門が一人でにゴゴゴゴと開き、通れるようになった。するとなんと、さっきまで宮殿の外を覆っていた霧が、宮殿の中には微塵もなかった。それどころか空は雲ひとつない快晴だった。
だが、これもこの世界じゃいまさら起きてもおかしくないなと思い、口に出さなかった。
大きな玄関ドアのよこには、カフェレストランのようなガーデンがあり、左には、宮殿の三階まである大きな大木の木漏れ日がいい感じにマッチしている。
鬼火が霊力的な何かで玄関ドアを開ける。ドキドキしながらいざ、本殿へ。
中は意外にも綺麗だった。廊下はピカピカ、歩くのがもったいないくらいだ。そんな廊下を歩いていると、幾つも部屋があるのが目に入った。
「この部屋はやっぱり妖怪達の部屋だったりするんだよな?」
「ソウダ。ニシテモ、オマエカワッテルナ。アッチカラキタニンゲンハダイタイオレラヨウカイヲミテバケモノアツカイスル。アッチノセカイノニンゲンハヨワイ。」
「俺も最初は驚いたさ。でも、あっちの世界よりか数倍面白いぜ?ちょっと変わってる、て言われるけど、俺もそんな変わった奴が好きなんだよな。」
「裕翔.....」
「ソウカ」
しばらく歩いていると、今度はどうやら大広間のドアと思わしき大きな扉に着いた。
「チョットマットケ」
鬼火がそういうと、また霊力的な何かでドアを開け、中に入っていった。
「なぁ、宮殿て言うぐらいだからお嬢様なんだよなぁ?」
「え、あー、まぁお嬢様って言うより、ボスみたいな、首領みたいな。でも彼女、吸血鬼の中では有名な一族のお嬢様だったらしかったわよ?」
「ふぇ〜ふーん」
「あ!鼻の下が伸びてるわよ。また、あなた変な妄想してるでしょ〜」
「すまんメリィ。男の性には歯向かえないんだ。」
「ふふっ何よそれ」
すると鬼火がドアの隙間から顔を出し、
「ナニイチャイチャシテンダ。キョカガデタ。ハイレ。」
「な、イチャイチャなんか」
「・・・」
「ちょっと裕翔!あなからも何か言ってよこいつに」
「いいんじゃないかな」
「なんでそうなるのよ!」
「痛い痛い。わかったから叩かないで。痛い。」
「ハァ…ハヤクシロ」
鬼火につられ中に入る。
するとそこは、まさに王室とも言える大きな空間が広がっていた。そして奥には、かつて王が座ったであろう赤と黒の王座にもったいないくらい可憐で、けれどどこか幼い風貌の少女が座っていた。
「どうもメリィ。久しぶり。話はきいてるわ。貴方があっちの世界からきた人間ね。」
「そうでございますお嬢様。私、斎内
裕翔と申します。まだまだ半端者の人間でございますが、何卒よろしくお願い致します。」
「あら、そんなに固くなくていいのよ?ここらの妖怪や人間は仲良いから。」
「いやはや、こんな可憐で、それでいてなんと可愛らしいお方だ。これは、服従するに値する器だな。うん」
横から殺気が伝わって来る。それに足、踏まれてつま先超痛いんですけど。
「あのう....メリィさん?さっきから足踏まれてる気がするんですがそれは…」
「うるさい!」
「痛い痛い痛い痛い」
「ふふっ二人は仲がいいわね。もしかしてそういうことかしら?」
「どういう事よ!?」
「自己紹介してなかったわね。私は吸血鬼一族の生き残りにして、焔魔組の首領、ジル・ドラヴァ・シャルルよ。長いからみんなからシャルって呼ばれてるわ。」
ジル・ドラヴァ・シャルル。まさに西洋のお嬢様っぽい名前に、そのままの風貌。貴族らしい金髪に少し黒が混じる横ポニテの可愛らしい髪型。12〜13歳の身長で、余計それらを際立たせる。服装は茶色のコートの前を開け、赤のドレスに黒の薔薇模様が施されている。
「みんなの所に連れて行ってあげて、鬼火」
「ショウチイタシマシタ。ツイテコイ」
ほんとに面白くなりそう。今から楽しみだ。
俺とメリィは待っている者達の所へ足を踏み出した。
つづく
時間がかかりましたがなんとか描ききれました。また、次回もお楽しみに。アディオス!




