妖怪達と最悪の肝試し
いやぁまさかビビりな自分がホラー話にハマるとは。
てな訳で、そんな感じ。↓
〜29章〜
ーー「今のこの時代…色々な輩が多い。妖怪、人間、動物、神、そして‼︎今やその存在が確認され、霊力を使えるようになることをいいことに人々に悪さをする亡霊‼︎そんな低級な輩は、今すぐこのギュラバーン・ドラヴァ・シャルルが…」
「はいじゃあ好きなペアー組んで〜」
「って、貴様らぁぁ‼︎」
「あれ、ギュラドラまだいたの?」
「居たわ‼︎なんか我の扱い酷くない⁉︎」
「まぁお前の提案だしな。皆で肝試し行こうなんて、思いつかなったわ」
そう、今皆さんと居るのは不気味な山道の前でございます。
ここで肝試しをするようだ。
「よーしじゃあルール説明しまーす。はい、今回行くのは、死骨山道というガチででると噂される心霊スポットで、大昔ここに大きな村があった。だがそこで神のように崇められていた大妖怪が、時代が進むにつれ敬う気持ちを無くして行った人間達を襲った。結局大人数を犠牲にし、沈めたが、その大妖怪に無惨に殺された人間達の怨霊が今も出るらしい。
全く不本意な話だ。そこでだ。君たちには、二人組のペアを組んでもらい、その大妖怪が祀られてる祠を参拝してきてほしい。ただ途中にお地蔵さんがいるので、おまんじゅう持ってきてると思う、それをお供えしてきてほしい。前のペアが戻ってきたら次のペアが、という風に入れ替わりでやろうと思う。」
現在のメンバーは、俺、メリィ、悠士、ギュラ公、ジュナ、菊糾丸、徹人、遙、邪魅の11人だ。
あ、今気づいたんだけど11人じゃね⁉︎奇数じゃね⁉︎
「た、確かこう言う所って奇数で来てはだめだとか…」
「よし、四谷を呼ぼう‼︎」
即座に反応して、歩き出すギュラ公の首袖を掴む悠士。
「だめだ。お前はそう言って一人帰るのは知ってる。昔からそうだ。」
そんなこんなで、まず最初は徹人、菊糾丸ペアが行く事になった。
「おう、菊、大丈夫か?ちびるとかやめろよな。」
「な、こ、このぐらい全然、よ余裕」
「はぁ、じゃあ速攻で行ってくる。」
「おう、いってら〜。気をつけて」
と、これから出発する精兵に敬礼し、明るく見送った。
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で、今回何がやばいって、仕込みとか一切関係なしにマジで何が起きるか分からんということ。
さっき行った徹人&菊糾丸ペアは多分大丈夫だ。毎回同じような境遇であの城へ帰っているから。
その次の、遙&邪魅ペア。これは…中々面白そうだな、主に邪魅。あいつ普段人間にちょっかいばっかり出してるくせにこういう時だけビビる習性があるからなぁ。
ま、そこは遙がカバーしてくれるだろう。なんだかんだ言ってもあいつらが一番相性がいいから。
そして、今回のメインディッシュ。裕翔&メリィペア。あいつら今色々心情グチャグチャ
だからどうなるか。このように精神が安定していない奴は、そういうのに憑かれやすい傾向がある。
しかも二人共人間だし、まぁメリィが式神使いだからまだマシだが。
他の妖怪共にも一応来るか聞いたが、案の定来るはずもなかった。今頃屋台にでも言って遊び呆けているのだろう。
あ、例によってギュラドラは一人で、ね。
「さて、どうなるか…」
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ーー「な、なんだ肝試しと言ってもただ夜道を歩いて参拝するだけのただの散歩にしかならんじゃないか、なぁ徹?」
「その散歩が危険なんだけど。そんでがっちり脇に入ってくるのはなんなの?」
「ババババカ、ここここうしていれば、ほ、ほらあったかいじゃん⁉︎」
「はぁ…(かわいいなこいつ)」
真っ暗な山道を歩いていくと、道の片隅に小さなお地蔵さまが見えた。
「あ、これか。」
早速お地蔵さまにまんじゅうを供え、日々の感謝を込め、合掌した。
しばらく、合掌した後、出発しようと立ち上がりお地蔵さまの顔を見ると、元からそうなのか、はたまた僕らの恩が届いたのか、そのお地蔵さまの顔は、優しく微笑んでいた。
「おい、菊。行くぞ」
「う、うん」
また、暗い山道を歩いて行く。しかも、山の奥に行くにつれ、足場がどんどん不安定になって行く。
「わっ!」
慌てて声のする方を見ると、どうやらそこだけ浮き出ていた木の根に足が引っかかったようだ。
「菊!大丈夫か?」
「うん、何とも」
「全く頑丈だな、いつも」
「へへっ」
と会話を交わしながら手を差し伸べ、彼女を引き上げる。
パタパタと土を払い、鼻を鳴らしたのを視認した後、彼女の手を引き肝試し続行した。
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10分程して、菊徹ペアが何も変わらずに帰って来た。
どうだったと聞いてみると、二人は特に何の変化もなく、雰囲気が怖かったと説明したので、次の遙邪魅ペアは心なしか安心した様子だ。
「よし、じゃあま、行って来る。邪魅、頼むぞ。」
「うぅ〜…」
今にも泣き出しそうだ。行く前はピンピンしてたくせにいざ行くとなればこのザマである。
ま、俺はそのギャップが好きだから、いつも行動を共にしているわけだが。
祠に続く山道を何気なく歩いていると、隣で震えながら寄り添って来る邪魅が泣きそうになっていたので、ちょっかいを出してみる。
「邪魅、あんまりくっつくなうっとうしい」
「け、けけど…」
「怖いんダルォ?実は」
「べ別に怖くなんか…」
「じゃあ…」
と発現したと次の瞬間、寄り添う邪魅を振り払い、全力猛ダッシュで走り出す。
俺のその奇想天外な行動にも驚き、そして何より今自分が一人でその空間にいるということに恐怖を感じているのだろう、目に涙を溜め、走り出した俺の背中を見て思いっきり名を叫ぶ。
「よぉぉぉぉうっ⁉︎」
「ったく…怖いなら正直に言えばいいのに。無駄な意地張るからだよ。」
「ぐずっ…ごべん…」
そんなこんなで歩いていると、邪魅が何かに気づき指差した。
「あれ…」
「あれは、いやあれがお地蔵さんか」
そのお地蔵さんに近づきまんじゅうを添え軽く手を合わせる。
さりげなくお地蔵さんの顔をみる。
その顔は当たり前っちゃ当たり前だが、笑っていなかった。
笑っていても、いなくても、こんなところにお地蔵さんがあること自体不気味だ。
しばらくお地蔵さんの顔を見ていると、邪魅が早く行こうと急かすので、その場を去った。
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15分後、異様に疲れている遙と、今にも泣きそうになっている邪魅が戻ってきた。
まあこれも案の定、容易に想像できること。
きっと邪魅がビビりまくって中々進まなかったのだろう。
問題は、次の裕翔とメリィの二人。やばい、嫌な予感がする。
だが、雰囲気を壊すわけにはいかん、だまって見送ろう。
ただ『もしも』の場合、すぐに飛んでいかないと、何かあってから困るので、彼に一つの鈴を手渡した。
「裕翔」
「ん?」
「…もし何かあったら思いっきりオレの名前を呼べよな」
「お、おう。じゃ行くかメリィ」
「う、うん」
そう言って二人肩を並べ、宵闇に消えていった。
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ーー「こえぇな。不気味だぁ」
「さすがに、気が滅入るわね」
夜の山道。その場を二人で歩く。普通、夏の夜は虫達がさざめくパレードになるが、今歩いているこの山道は、虫どころか草の音、風の音さえもなく、まるで修学旅行の初夜、みんな実は起きているが見回りに来た先生にバレないように寝たふりする時のあの静けさのようだ。
聞こえるのは、二人の歩く足音、二人の吐息、声。
こういう場合は静かな方が不気味なのだ。
隣の彼女はがっちりと左腕を掴んで、思いっきり辺りを警戒している。
「ああ、このお地蔵さんだ。おまんじゅう…」
「にしてもボロボロね。このお地蔵さん。」
「そうだな。まぁ誰も手入れできないだろ、こんなところで」
そのお地蔵さんの体は何かはわからないが黒いシミのようななにかがまとわりついていた。
特に顔の周り、真っ黒に黒ずんでいた。
それがとてつもなく怖かった。不気味なので、早くその場を去ろうとする。
だが今気づいた。この地蔵の周りだけ空気が違うことに。
そして、心なしか体が重いことに。
冷や汗が肌を滴り落ちる。焦りで体が熱い。だが肌に纏わりついてくるこの空気により、自分でも体の状態をうまく説明できない程に焦っていた。
すると、俺の異変に気づいたのか、覗き込む
ように顔色を拝見して来た。
「大丈夫…?」
「あ、ああ大丈夫大丈夫行こう」
心配するメリィを装いに、若干不安感を覚えつつそれでも前へ進む。
奥へ進むたびに、その冷たい変な空気がさらに深刻になって行く。
進むたび、心の蔵が、バクバクと激しく脈打つ。
進むたび、左腕の裾を掴む彼女の握力がどんどん強くなって行く。
進むたび、もう二度と後には戻れなくなるんじゃないかという不安感がして仕方なかった。
それにこの雰囲気、この視線、色々な『ヤバい』ものがこちらを見ているような気がしてならない。
「は、早く終わらそう、こんな肝試し」
「うん…」
その後、その恐怖の中無言を貫き、ただ目の前の暗闇に向け歩き続ける。
ーー立ち止まるな、歩き続けろ。
ただ自分にそう言い聞かせて。
しばらく歩いていると、薄暗い暗闇の中、何か大きな黒い物体がそこにあった。
これが…
「祠だ…」
そうそれは祠というよりはもはや神社と呼ぶべき代物だった。
よし、これを参拝して後は帰るだけだ。何か起きるはずがない。起きて欲しくない。
と、思った瞬間だった。
隣のメリィの様子がおかしい。ここにくる前は恐怖に怯えながらも何とかついてこれていた。だが今の彼女は明らかに様子が違う。体は小刻みに震え、手を左胸に押し付け、どんどん容態が不安定になって行く。
「メリィ?」
そう一声かけた瞬間、彼女は小さな呻きをあげ、その場にうずくまる。
「メリィ?」
「うぅぅ…」
「メリィ‼︎」
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彼らが行ってからもう15分経った。おかしい。あんなにビビっていた邪魅でさえ、遙と行って15分前に帰って来たのだ。
オレは深呼吸し、感覚を研ぎ澄まし目を瞑る。
「悠士…?」
話しかけて来た徹人に手でストップをかける。
チャリン…
ーー‼︎
「今の音!」
「やっぱりだ‼︎」
「な、何だどうしたんだ⁉︎」
「悠士…やっぱりそれって…」
「これは……弱い人間の中に土足で踏み込み脅し、我が物にしようとする悪霊絡みのーー」
「『事件』だ‼︎‼︎」
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ーー「うぅ……こ、ここ…どこだ?」
目を開けるとそこは、薄暗くてよくわからないが、真四角の部屋。床は冷たい板。
確かここに来た時もこんな感じだったな。
一つ違うのは床があること、自分がちゃんと地に足を着け、今この空間に存在しているということ。
この事実がある限りこの状況から抜け出すことは出来ない。
辺りを見渡すと、部屋の脇隅に何かが横たわっていた。
のろのろと近づいてみると、視認距離にその物体が映る。それは紛れも無い彼女だった。
「メリィ…」
呼んでみても返事が無い。
生きているか確かめるべく彼女を仰向けにして、胸に耳を当てる。
ゆっくりで今にも消えそうだが、確かに一回一回着々と波打っている。大丈夫そうだ。
彼女の安否を確認した後、俺はこの状況について深く考える。
ここはどこだ?
何が起きた?
なぜ俺らなんだ?
誰が何をした?
何をされた?
何のため?
いくら考えても浮かび上がるのは疑問ばかりで嫌になる。
しかも、その嫌な疑問の全てが『最悪』のこの状況にリンクする。
そんなことを考えながら辺りを見回していると、外から入る一線の光があることに気がついた。
どうやらそれはこの部屋の襖の隙間から入る光のようだ。
俺はその光に近づき、その隙間から外を覗いてみる。
だが俺は今この目に映っているものに対し、愕然としてしまった。
それもそうだ、我が目の前に映るものは、人型の形をした黒いなにか。モヤのような、影のような、そんな得体の知れないなにか。
これが俗に言うーー、
「『霊』か…。」
はっと自分の失態に気づく。
その俺のボヤキに気づいたのかこちらに振り向く黒い物体。
その黒い物体には、顔が…半分無かった。
頭部の上半分だけが見事に食いちぎられたようにでこぼこになっていた。
それが何故か痛ましかった。悲しくもあった。
しかしどうやら同情する時間など必要ないようだ。
その影がこちらに向かって来ることに気がついた。
ーーヤバい来る!逃げろ‼︎
と体中が叫んでいる。
「え…嘘だろ…?」
だが、脳がそう思った時にはもう遅かった。
(体が…動かない⁉︎)
時既に遅し。俺の体は動きたくても動けない、金縛りのような、いや『ような』じゃない!
これは正真正銘の…『金縛り』だ。
どんどん近づいて来る。それと同時にこちらの容態が着々と急変していく。
息がつまり呼吸が出来ない。
心臓の音だけが正常に機能しているように感じる。
そんなことを考えている間にその影は、襖の前まで来ていた。
ここでようやく体が動いた。だが今度は恐怖で腰が抜けその場で尻もちをつく。
すると、その影が霊力的な何かで襖をパーンと開き、その姿があらわになる。
終わった…。
と思い目を瞑り死を覚悟する。
その時だ。
その影の後ろの外の方からなにかが走ってくる音が聞こえた。
俺は途端に目を見開いて凝視する。
そいつは見慣れた天パの少年 徹人だった。
徹人は小さな小石をその影に投げつける。
影が後ろを向いたと同時に徹人が俺に向かって叫ぶ。
「裕翔‼︎」
「徹人⁉︎」
「目ェ瞑れェェ‼︎」
反射的に目を瞑った瞬間、瞼越しにも伝わる閃光の光が発生し、思わず地面に伏した。
「ウッ…‼︎うぅ…何?何が」
目を開けると、先程閃光が発生した場所に何故か菊糾丸の姿があった。
しかし彼女の体もまた、異様な姿になっていた。
片足をつき手を前でクロスしたその姿勢で、体が薄っすら白く発光していた。
それを見て事を理解した。きっとさっきの閃光は、この菊糾丸によるものだと。
横を見ると、影は片隅に小さくうずくまり、呻き声を上げていた。
「大丈夫?裕翔兄」
「ああ、俺は大丈夫。でも…」
隅にまだ横たわったままのメリィを、二人に目線で伝える。
徹人が彼女の元に行き、口元に手を出し、呼吸を確認する。
「大丈夫だ。気絶してるだけだ」
はぁと一息。なんだろう体の重りが取れたような気がする。
「休んでる暇はないぞ。早くここから出ないと。行こう。」
と、メリィを担ぎ、部屋から出る。
影は小さくまとまってスライムのような姿になっていた。
どうやらさっきの菊糾丸の発光により、体が大分持っていかれたらしい。
しかし、このままでもどうする事も出来ないのでほっておくにした。
俺らが部屋ーー祠から出ると、さっきまでいた部屋の中から急に嫌な雰囲気が。
そーっと振り向くと、目を疑った。
祠の屋根の上に、黒いウネウネした小さな物体がどんどん集まって、形が曖昧な異形を成したモノに生成されていく。
黒い足のようなものが6本ほど生え、そして体の先端には、大きな人の口があった。
そのあまりにも異様な姿に対する不快感が逃げるという判断を鈍らす。
その大きな口のバケモノは、のそのそと近づいてくる。
誰もその場から動ける者はいなかった。
恐怖で体が動かない。
目の前まで来て、俺らを吟味した後、口を大きく開け、俺らをーー
「何やってる早よ逃げろ‼︎」
誰かの声が轟き、バケモノの顔?にオレンジ色のマグマのような小さな弾が直撃する。
慌てて声のする方を見ると、我らがヒーロー悠士が立っていた。
「早く逃げろ!こいつはオレが何とかする」
再び歩き出す。そうした方がよさそうだ。
俺らは通り過ぎて行く悠士に全てを託しながら暗闇へ入っていった。
あいつの顔は笑っていた。
「さぁ行くぞバケモノ‼︎オレに剣難を受けたいか?」
グゴォォォと低い唸り声と共にバケモノの体から気持ちの悪い触手が伸びてくる。
オレはそれを空中にジャンプし、指笛を思っきし吹く。
すると、左手の方向から我が愛刀が飛んでくる。それを空中でキャッチし、鞘からその黒
い刃に月光を写す。
「行くぞ黒光…!『バケモノ狩り』だ…‼︎」
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「ハッハッハッいやぁまさかこんなおおごとになるとは思わなんだ。」
「笑い事じゃないよ、全く」
結局あれから一難去って、今は旅館に戻って来ている。
あのバケモノは悠士と、助けに来たジュナの二人が沈めてくれたようだ。
「てか、結局何だったの?あのバケモノ」
と、ジュナが聞く。
悠士は腕を組み長々と話した。
「ああ、あいつは祟り神的なモノだったのだろう。そんで、最初にいた黒い人型の奴は多分その祟り神が封印されているのを守っていた霊だろう。でなぜ君たち二人を拉致ったというと、これも多分だが、あそこら辺の森は
普通の人が行くと必ずと言っていいほど行方が分からなくなるらしい。これはあいつがわざとその人間の精神的な部分を追い込み、あの祠に誘った。そんで迷い込んだ人間を、生きたままその祟り神に奉公していた。
だからまぁ、あのまま裕翔が黒い人型に殺られていて、生贄としてバケモノに喰われる前に気づけてよかったよ。」
というのを聞いて改めてよかったと心の底から思った。
「そんで…万里。」
「何かしら?」
「非常に言いにくいんだけど…」
そう言っていつからか持っていた鐔のない刀を前に出し、鞘を抜くと…
「黒光、折れたんだけど」
その刀の半分くらいパックリなくなっていた。
すると、一同驚愕の表情。
日照が顔を引きつりながら、
「し、知らないわよ私」
と言い放つ。
「なーんで折るかねあんた…」
華輪が呆れながら物をいう。
すると、彼はそこに少し弁解をする。
「オレが折ったんじゃなくて、折れたんだよ!あのバケモノの攻撃を黒光で受け止めたら、パキッと。まぁでも親父からのお下がりみたいなもんで、もう暦500年ぐらいだから流石にこいつも限界か」
その刀を寂しそうに見る様子から、相当それに思い入れがあるのだろう。
そして、大層な名刀なのだろう。
「え〜、嫌だよ"アイツ"の所行くの。」
と日照。
「でも、仕方ないだろ?折れたからには」
と秘抄。
「華輪ついて行ってよ」
とまたも日照。
「は?何で私が。万里、あんたしかいないわよ"アイツ"とまともに話せるの」
と華輪。
「……」
と思いっきり無視する万里。
「無視すんなゴラァ‼︎」
とキレながらの華輪。
5人の女達が言い争っていると、悠士が声を張り上げ5人に言う。
「あーもう、分かった。オレ一人で行くわ」
その発言に全員黙って快諾した様子。
どうやらこの名刀 黒光を造った有名な鍛冶屋に行くらしい。祭の後。
その後、皆でワイワイ夜飯を食べ、それぞれの部屋に着くや否や皆一瞬にして静かに眠ってしまった。
俺も布団の中に入ると、体中の疲れがドッと出て来て、一瞬で寝落ちした。
祭まで後2日、時計の針は狂う事もなく、ただ『その時』に向け、進み続けていた。
朝、朝食で昨日の夜の事を話していた。
「あの道、怖かったわ。特にあの地蔵。」
「そう?僕と菊が行った時、優しい顔してたぜ?」
「え?俺らなんか地蔵の顔が異様に黒くなってて不気味だったんだが…」
えー、マジか、こえーみたいな事を話していると、隣から悠士が歩いてきたので、一応聞いてみる。
「悠士、昨日のお地蔵さん見た?」
「ああ、昨日の?」
「うん。なんか変わってた?」
「あー、あの地蔵…」
「首から上、無かったけど?」
『『『『『え?』』』』
つづく
今回視点がコロコロ変わるので分かりづらいかも。
あ、ちな自分、日本刀大好きです。
次回もお気をつけてお楽しみください、アディオス…




