露天は男のロマンだなぁ。
はぁー、久しぶりのコメディです。そして今回はおそらく自分の中でも一番長いんじゃないかな?
〜27章〜
と言うわけで、戻ってきました雛森神社へ。
戻ってくるなり何かみなさんハッチャケまくってますますけどナニコレ。いや、この光景撮っておきたかったわ。絶対ナニコレ珍◯景に出せば必ず「ナニコレ〜」ってなるよ、うん。今やってないけど。
「え〜、どうなってんのこの状況」
「あ〜、君が裕翔くんか〜。ここらの里の人間とは違いやはり奇抜だな」
「こらアンタ。初対面での第一声がそれかい。全く三蔵法師のくせに礼儀を知らないね」
と緋色の法衣を羽織り手首に数珠、首にも数珠を掛け、黒のオールバックに顎髭を生やした30台ぐらいの少々いかついおっさんと、それを注意している小麦色と黒茶のロングに赤と柑子色の半袖の着物を着ており、そして何より悠士より細いが、耳上に角が生えている。鬼か。がたいはいかついおっさんの一回り小さいが、それでも俺や悠士よりも身長が
高く、しっかりしている。さすが鬼だな。
すると、その鬼女がこっちを向いてニヤッと微笑む。
「ごめんね、こんなおっさんで。私は般若 秘抄。覚えにくいと思うから何とでも。で、こっちはーー」
その声を遮ぎるようにそのおっさんが名乗ってきた。
「ワシぁ、四大訳経家のぉ、般若 三蔵と言うもんだ。まぁこっちの秘抄に世話してもらっててな。よろしくな、裕翔くん」
「ああ、よろしくお願いします。秘抄さん、三蔵さん。」
すると、三蔵さんが酔っ払った勢いで秘抄さんに寄りかかる。
「おい秘抄〜今日ぐらいいいじゃないか〜えぇ?」
「ああ〜、近寄るな酔っ払らい法師。酒臭いし、そのヒゲチクチクするんだよ痛いなぁ」
「そんなこと言うなよ〜。昔はよくくっついてたってのによ〜」
「そんなことない…ってさりげなく何処触ってんだい‼︎」
「ぐべぇあっっ‼︎」
惚けた顔に鬼渾身の平手打ちが炸裂する。
その姿は仲睦まじい夫婦そのものだった。非常に楽しそうだ。
で、肝心の悠士君はと言うと。
「おーい悠士。起きろー。」
部屋の奥で腕を組み座りながら寝ている所を肩を揺らしながら起こそうとすると、後ろから彼に対する注意事項が聞こえてきた。
「その1、鬼が寝ている時は無理に起こすな。
その2、鬼は自分に忠実で、途中で止められるのを嫌う傾向があるので、していることの邪魔をするな。」
「それ早く言ってくんない⁉︎」
ヤベェ、その2までいっちゃってるよこれ。
そんなことをしていると、悠士から不穏な音が。
「ううん……!」
「その3、鬼は戦闘種族な為、常に身体は緊張している。そのため…」
といいかけた瞬間だった。
「あああ痛い痛い痛い痛い痛い、右!右足の腿裏‼︎ああイダイイダイ」
「えええええエエエ?何々どったのこれ⁉︎」
急にその場に右足を抱え、もがくように転げ回る。
「よく身体がつる」
「まじっで⁉︎」
「そのため、死にたくないのなら、その場にいる者は素早く痛みを緩和すること。」
「エエエ⁉︎と、とりあえず緩和しなければ…!殺される‼︎」
転げ回る悠士の身体をうつ伏せにし、完全自分感覚マッサージをする。
そのマッサージをしていると、大分マシになったのか、次第に声が消えていき、終いにスースーと寝音を立てながら眠ってしまった。
俺は彼の太ももから手を離し、静かに息を吐いた。
「た、助かった…」
すると、その騒ぎを嗅ぎつけたのか、安堵する俺の傍に、遙がやってきた。
「お、君なかなかいい腕してるな。悠士のこむら返りを鎮めるとは。」
「い、いや適当にっすよ。適当に」
と言い隣の遙を見ると、彼の顔は驚きの表情に変わっていた。
「適当に…⁉︎だとしたら尚更信じられない…」
「そ、そんなにスカ?」
「うん。だいたい鬼がこむら返りになると、激痛が走るんだ。その激痛を完全に緩和出来るのは腕のいい医者か、同族かしかいない。人間や妖怪が緩和するには複数人は必要だ。」
マジで⁉︎俺ってばそんな能力持ってたの⁉︎もうマッサージ専門になろうかしら。
なんて自惚れしていると、遙がもう一つ付け足してきた。
「それに、悠士の場合、完全ランダムにこむら返るから、常に気をつけないと。そして、鬼と言う種族は、かなり我儘な性格でね。このように完全に緩和しないと、寝起きがかなり悪くなる、機嫌がね。これは、一種の鬼の特性かな。まぁ悠士や他の四人は大分変わっていてね。
「変わってる?」
「そう。彼を含む後四人は、どれも同年代でね、昔からある風習やしきたり、ルールなどに一切縛られず、感受性に優れ、戦闘能力も水準よりも高く、そのため周りに影響を与え安く、頭も切れる。この時代に生まれたこの五人の事を『革命の申し子たち』なんて呼ぶ。
悠士は『生力の申し子』
飛烏は『敏捷の申し子』
だね。あと三人は…」
「いねぇよ」
声がする方を向くと、悠士が寝起きで気怠そうに会話を遮った。
「あの吸血鬼以外は、もうこの世にいねぇよ」
「…」
「すまないね。こんな話題で起こしてしまって」
「いいよ。別に真実いってるわけだしな」
俺は少し悪いと思いながらも、彼らのことについて聞くことにした。
悠士は縁側の空に映る月を見つめながらしみじみと語っていった。
「オレと飛鳥とあと三人は、偶然にも同じ出身、同じ寺子屋で育ってな。いつもその五人で遊んでたんだ。それぞれ皆種族が違うのに何故か家族のように思ってた。一人は鬼、一人は天狗、一人は河童、一人は人妖、一人は吸血鬼。けど、ある時からみんな家庭の事情やなんやらでバラバラになった。それからだな、みんな変わっていったのは。次にみんなと会ったのは、50歳くらいの時。それぞれ種族のしきたりに習い、オレはこの村の英雄の息子として、守護大名達の長に、飛烏は着々と力をつけて、鼻高天狗の仮面をつけ大天狗に、河童も、吸血鬼も。でも、あと一人、昔からオレが好きだった、一人の少々は……もうそれは人間でも、妖怪でもなく、化け物になっていた。……裕翔、人形神って知ってるか?」
「人形神…」
「人形神はな、願いを叶えたい人々や妖怪達の欲の塊でな。それはなんでも欲しい物をくれる代わり、一度憑かれれば後は地獄に堕ちようが、天国に行こうが一生離れることはない。そして、必ず最悪な事が起きる。
そんな最悪の呪物だ。オレの好きだった人は……それに憑かれた。そして今から34年前
、オレの目の前で死んで行った。悲しそうな、辛そうな顔だった。でも…」
「……」
「最期の最期に笑ってくれたからそれでいい。」
と笑顔を見せながら語った。
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「はぁー。キモチィィ。癒されるわ〜」
てな訳で、今僕たちは温泉に来ています。そして、ここは無数の星たちが輝く闇を見上げながら露天風呂でその効力を堪能していた。
「久しぶりだ〜。ここに来たのは」
しばらくすると、露天風呂の戸を開け入って来たその八代一家の四人、地底の大人と子供、焔魔の一匹狼などなど、妖怪や人の男共が続々と入って来た。
「なぁ〜。祭とかの前じゃねえとこうしてみんなと入りにくるわけないしな。」
と敬がゆっくりと湯船に入る。
そう、ここは天幻村でも有数の温泉地。今から1時間ほど前、遊びまくっていた子供たちがいきなり「温泉行こう」とか言い出したもんで、みんなで行くことにした。
あ、それと露天風呂なんで、おそらく世の男共は破廉恥する為にこれに登ったり覗いたりしたであろう、男湯と女湯を隔てる一枚の竹製の柵、あります。
「にしても、あの子、なかなか変わってるわね」
「裕翔君の事?」
隣で浴場の淵に腰掛けて夜風に当たっている日照が、暑そうに返して来た。
「そう。彼、さっきのジュナちゃんの能力を目の当たりにても、腰抜かさなかったし、まず、平然に別世界の住人と過ごしてるのよ?私だったら真っ直ぐ男の方に助けを求めて盾にするわね」
「あんたの男利用理論はどうでもいいわよ…」
しばらく、彼女と駄弁っていると、さっきまで居なかったはずのその人物が、私たちの前に立って居た。
「久しぶりね。あんた達」
と言いながら鋭い眼光で睨むその姿は私たちがよく知る人物だった。
「あら、今更来たのね。珍しい」
「違うわよ。私はただ一人でここに浸かりに来たのよ。祭の前だから誰も居ないと思えば、とんだ誤算だったわ。」
「それは残念ね」
すると、日照が横から目を細くし、ニヤつきながら彼女を煽るように聞く。
「どうせ、あんたの愛弟子がきてるからついてきただけなんじゃないの?」
というその煽りに全く動じることなく、逆に聞き返した。
「あ?いや、あんたの方があの鬼の事、狙ってることモロバレなんだけど」
「は?何ほざいてんのあんた」
「何?必死ね。隠そうと」
と、二人の間に火鉢が飛び散る。今にも殴りかかりそうな勢いだ。
そこで、二人の間に割り込むように入ってきたのは、これまた大物妖怪の般若 秘抄だった。
「はいはい、お二人さん落ち着いて。久しぶりというのにいきなりそんな僻みあってどうすんだい」
「チッ」
秘抄に促され、二人とも舌打ちしながら湯船に浸かる。
そう彼女は松旭斎 華輪。普段は翡翠色のショートに同じ色の瞳。白と赤のチェックの襟がついた長袖に、腰に赤の上着を括っている。
彼女も相当な妖怪。悠君の父と同年代であり、彼を好いていた経歴もあり、私とは何かと縁があった。
真っ直ぐな性格の者を好むが、少し試したり、踏みにじったりすることがあるため、少し捻くれている。私が言えないのだけど。
そして、隣の男風呂からくる何かを感じ、声を漏らす。
「嫌な予感がするわね…」
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みんな湯船に浸かりそれぞれ喋っていた。
俺は隣に浸かっていた彗と話していた。
「で、師匠がさ。今すぐ熊狩ってこいとか言いだして、『はぁ?』て思わず声に出しちゃってね。殴られたよ」
「はは、そいつは無理な相談だーー」
と、次の瞬間だった。
「ハッハッハッ。久しいな愚族ども」
見上げれば、風呂の照明の上に乗ってこちらを見下ろしている何者かが居た。
和気藹々としていた男湯に、嘲笑うように見下ろすそいつは、銀髪、鋭く出ている八重歯、黒いマントにヴァンパイア衣装を着ており、俺にもそれが何か一瞬で分かった。
「そう、我がかの有名な吸血鬼一族の王子、
ギュラバーン・ドラヴァ・シャルルである‼︎
」
「……」
と、気高く名乗り出るが、誰一人として彼の相手をする者が居なく、非常に気の毒である。
「貴様らぁぁぁ……」
拳を握り締め、怒りを鎮めながら舞い降りてくる。
「貴様ら、我が来たのだぞ⁉︎来てやったのだぞ⁉︎なんだその反応は‼︎」
「あ、居たの?」
「居たわ‼︎」
「相変わらず坊ちゃんだな、ギュラ『の助』くん」
「プッチン」
その呼び方に不満があるのか、分かりやすく口で表してくれた。
「あ?なんだとこの外道?」
「あれ、お気に召さなかったのかな?ギュラ『坊っちゃま』」
そんなこんなで二人とも一歩も引かず殴り合いの喧嘩になる。
一発一発確実に素早くパンチを放つ悠士も悠士だが、それを軽々しく、避けるギュラ公もなかなかの身のこなしだ。
気がつけば皆、彼らの戦いに見入って居いた。
すかさず悠士が右フックを出すと、顔面に当たるすんでのところで、ガードする。
「グッ…」
ガードして致命傷は避けたが、その反動で体が後方に吹き飛ぶ。凄まじいパワーだ、さすが鬼。
体制を崩し、膝をつく。しかし、そこへ悠士の追撃が入る。間一髪、また後方へジャンプし避けた、次の瞬間だった。
「ハハハハハ、悠士、貴様の攻撃なぞ当たらーー グブッッ‼︎‼︎」
そう避けながら放った瞬間、皆目を疑った。
そう、あまりにも一瞬だった為、理解が追いつかなかったが、一つ分かったことがある。
そう、男湯と女湯を隔てる一枚の竹製の柵が、粉々に粉砕されていたのである。
「「「「「「え?」」」」」」
つづく
やっぱり長かった。うん。分かってた。
次回もお楽しみに、アディオス❕




