忘れていたもの。
いやー今回が何気一番シリアスかな?わからんけど。
シリアス大好きですけど、難しいんですよね。色々と。
〜26章〜
「え、今なんて…」
「でね、これはオレらの、この村の為でもあるんだ。あいつのその能力は強大だから、今一番争いがないこの状態を、『運命』を変えられる可能性もある。だから、帰って貰う。
えっーと、その方法なんだけど、あいつがこっちに来た時、元の世界で、『この村と同じ位置に存在する街の境界線』に落ちて、その何かしらの衝撃でこっちに飛ばされて来たのかもしれないから、同じように、ね」
「そうじゃなくて‼︎」
オレの説明を打ち消すように、声を荒げる。
その叫びに、一同凍りつく。
今にもはち切れそうな想いを必死にこらえ、腹の底から声を絞り出す。
「何でッ、そんなこと言えるの⁉︎今まで私達に付き合ってくれたのにッ、ちゃんと別れを告げずッ‼︎そんなッ…裏切るような、追い出すようなこと…」
すると、一気に表情を変え、張り詰めた空気の中、今思っている事を全力で言う。
「時に人間は、妖怪は、世界は、"残酷"だ。例え誰が行きても、死んでも、関係ない!それが『運命』だ‼︎」
「ッ…そんなの」
「…この世に生きてれば必ず『出会い』がある。ならば必然的に『別れ』も存在する。永遠に続くものなんてない。お前も気付いてただろ?もうすぐ『別れ』がくることを」
「私は……」
「今一番大切なのは、あいつにとって最も親しく、大切な人であるお前が、あいつの為に何が出来るのかを考えるべきじゃないのか?」
「私はッ……」
今にも壊れそうな彼女の前まで歩き、小刻みに震える金色の頭に手を置き、
「お前は…どうしたい?」
と聞くと、彼女は一瞬目を見開いた後、涙を流しながらいつもの笑顔で、
「 」
と言った。
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あー、あー、こちら斎内、斎内。今、人里に潜入中。
! 目前に団子屋発見!突撃する!
「こんにちは、団子屋のおばちゃん。みたらし3個」
「ああ、いらっしゃい。あれ、今日は彼女さんと一緒じゃないんだね。」
と、団子を袋に入れながら聞いて来た。それに俺は笑って返す。
「はは。まぁちょっと訳ありで」
「あら。あんまり彼女さん泣かしたりしたらだめよ?」
「はは。大丈夫ですよ。もう」
(あと、こういう時は、その大切な人の傍にいることが、一番だと思うな、僕は)
「…絶対泣かしたりはしないから」
そのあと、沈みゆく夕焼けを眺め、一人緩やかな山の坂道で黄昏ていた。
そこから見る里の様子は、どこか暖かく、それでいてどこか強く、必死に生きている人達の命の意思で満ち溢れていた。
俺の第二の故郷、天幻村。ここは俺の忘れていたことを思い出させてくれた、大切な場所。多分一生、忘れることはないだろう。
だからこそ、元いた世界に戻らなければならない。
今まで世話になった、これからも世話になっていくであろう人達の顔が頭の中でどんどんと思い出されていく。
その顔は、笑っていた。ムカつくくらい俺が好きなその笑っている顔が、心臓に染みていく。
「あいつらに…会いてぇな…」
気がつくと、茜色に染まる空を見上げ、涙を流していた。
「あれ、おかしいな…涙がとまん、ねぇ、」
厄介な事に次々と目から溢れ落ちるそいつらは、いくら拭っても拭っても止まる事なく落ちていく。
助けを求めるように夕日を見つめる。だが、この瞳に映る光景は、暖かく、優しく、抱きしめるように身体中に染み込んでいった。
涙で視界がぼやけてきた所で、もう涙を拭う気力も無くなり、ただそこでうずくまって全て出し切るまで、一人その暖かみを抱いて泣いていた。
すっかり涙は枯れ果てて、今頃役目を終えたようにもう沈みかけの夕日を眺めていた。
生暖かい風が頬を撫でる。
「ありがとう。涙をくれてありがとう」
と一言夕闇につぶやき、妖怪たちが待つ神社へ歩き出す。
そうだ。これこそが俺が忘れていたものだった。
もう泣かない、泣かせない。俺が好きな笑顔を守る。この暖かみを忘れないために。
つづく
あ、メリィの「」は仕様です。悪しからず。あれ、このままじゃ春休み中に終わっ…おっと!これ以上はネタバレになっちゃうぜ‼︎オーダー‼︎早く締めてー!
次回もお楽しみに、アディオス。




