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人命怪々劇  作者: 伊庭 トラの助
第2幕
24/32

誇るべき『友』との時間。

はい。今回は少し長いですね。朝から書いてますので。暇なんですよね(全然


〜24章〜


「うぇ〜い裕翔、うぇ〜いい」

「うぇ〜い」


と松明天狗の飛烏が拳を突き出し、それに俺も反応する。


「あら裕翔。久しぶりね」

「ああ、ジル様。お久しぶり。」

「相変わらず元気そうね。色々」

「ハハハ。色々⁉︎」


二人で和気藹々と話していると、背後から複数人の声が聞こえてきた。


「ゆうーと!久しぶり〜」

「おージュナ〜。久しぶり」

「お久しぶりでございます裕翔様。」

「あ、いやはやみなさんお揃いで」


やはり声の主は焔魔組のみなさんだった。

しばらく焔魔組のみなさんと騒いでいると、今度は先程よりも騒がしい連中が愉快活発に

歩いてきた。


「よっすー。八代一家のみなさ…」


八代一家が焔魔組の目の前に来ると、賑やかに和んでいた空気が一気に凍りつく。まるで北極に普段着で放り出されたようだ。

そしてその場の空気を醸し出している一人の少女が、失くした物を見つけた時のように、互いに口元を三日月の形に変え、満面の笑みを浮かべていた。

その笑みは出会えたという喜びより、ただ純粋に相手を殺すという『殺気』、それは非常に狂気に満ちていた。

それは吸血鬼なんてものではない。そう、これは…『悪魔』だ。純粋な悪魔。


その小さな悪魔がゆったりと菊糾丸の方に近づいていく。不敵な笑みを浮かべながら。

だが菊糾丸の方はちっともその殺気に押されることなくじっと眼を細めこちらを見据えていた。


「やっと見つけた…。ずっと探してたんだよ…?さぁ、続きしよう?菊糾丸‼︎」


次の瞬間、地面から何か黒い物体が這いずりまわり、四方八方からゾクゾクとジュナの足元へ入っていく。

これは…


「さぁ‼︎」


と気を吐いたジュナの右腕には墨を滲ませたような黒いもやが纏わりついていた。慌てて自分の影を見ると、やはり自分の影からも少しずつ吸い取られているようだ。

彼女の影がどんどん大きくなって真っ黒になっていく。それに伴いこの張り詰めた空気もさらに過激さを増していく。冷や汗ヤベェ。

すると、菊糾丸は「ハァー」とため息を漏らし、少々気怠そうに言い放つ。


「まったく、ちみは時と場所と場合というものを知らないのかね。TPOだよT.P.O」

「ん?」


と首を90度に傾ける。いや絶対に知らんやろ。


「先に言っておくけど、今回はジュナちぃとはやらないよ。だって今そういうことしていい場所じゃないし」


ときっぱり断るが、それでも小さな悪魔は引き下がらない。


「?何言って…」

「やらないよ」

「……」


しばしの沈黙。俺は、みんなの方を見る。すると何故か、両グループ集まってこれまた和気藹々としているではないか!

きっとこんな事はいつも日常茶飯事なのだろう。


「…じゃあわたしから行ってあげる‼︎」


そう言うと、やおら脚を折り曲げ、菊糾丸に向け跳躍する。その跳躍は、小さな体からは想像もできないほど、力強く正確だった。一蹴りで菊糾丸の真正面へ。気がつけばその影を纏った右腕は、かぎ爪のように鋭く尖っていた。


「ッ‼︎」


その腕を菊糾丸に振りかざす。

それを菊糾丸は軽々しく避け、懐から何やら灰色の物体を取り出し、ジュナの着地点に放り投げる。


「チッ、避けッ⁈」


案の定菊糾丸が投げた灰色の物体、いや、こんにゃくを踏んでしまい、ズルっと体制を崩し前へ。

次の瞬間だった。


ゴッッ


「「「「あ」」」」


全員が二人の方を凝視する。

そう、その鈍い音と共に、思いっきりおでこを地面にぶつけ、そのまま地面に伏したままになってしまった。

そして全員が「あーあ」と思ったであろうこの時、地面に突っ伏していた彼女は、ゆっくりと起き上がり、弱々しい声を吐いた。


「ねぇ。…なんでよりにもよってこんにゃくなの?」

「ジュ、ジュナ様…」


その声には既に心がこもっていなかった。

そして顔を上げ、おでこから血を流しながら言った。


「いいセンスだ」


(ジュナ様ーー⁉︎)


慌てて呉葉と夜重さんが心配し、彼女に駆け寄って行く。


「うわぁぁ先生血が止まりましぇん‼︎」

「と、とりあえず中へ!」


と、ジュナの手を引っ張り神社に入って行った。


「おま、そのこんにゃく、何処から…」

「ん?台所の冷蔵庫からだけど?」

「え?じゃあ僕があげた灰色のトラップは⁉︎」


すると、菊糾丸は右手で顔を覆い、


「HAHAHAHA、すり替えておいたのさ‼︎」

「なんてことを!!」


某有名蜘蛛男のように嘲笑う。

はぁ。中々しんどかった。と一人安堵していると、焔魔組の首領、ジル様がゆったりと彼らに向け歩み寄って行く。

そして、彼女が菊糾丸の前まで来ると、何をするのかと思いきや、以外にも大人の対応だった。


「久しぶりね。菊糾丸、徹人君。いつも家の妹が世話になってるようね。ありがとう」


と、右手を差し出す。それに菊糾丸は少し驚きながらも、気楽に握手を交わした。


「あはは。そんなことないよ?逆に世話になってるくらいだもん。」

「…そう。ねぇ、あなたにとって、ジュナは何?」

「……」


真剣な眼差しで問いかける。だが菊糾丸はそんな素振りは一つも見せず、少し照れながら答えた。


「あはは。まぁ…大切な『友達』かな」

「『友達』…」

「だとしたら中々危なっかしいけどね。あ、でもあいつああ見えて結構優しいんだよ?この間なんか一緒に森の中探検したし」


その迷いの欠けらもない真っ直ぐな眼差しを見て満足したのか、神社の方を向き、何処か寂しそうに言い残す。


「いつか…全てが変わってしまっても、あなただけは変わらないであの子を…支えてやってね。 …じゃ」


そう言い残し、神社の方へ歩いて行った。


「はぁ、やっと静かになったな」


と、全身の力を抜く。すると、そんな俺を心配したのか、徹人が話しかけてきた。


「大丈夫?まぁ慣れたらなんてことないけど、最初は疲れるから。僕も子供の頃そんな感じだったし。」


しばらく話した後、喉が渇いたので、神社の中に戻る事にした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーー「で、こんなに機嫌悪いのか」


中で一息ついた後、後から着いた悠士や地底の連中に一通り話した。

ジュナは、あの後焔魔女子二人に緊急オペ(小並)を受け、おでこにバッテンのケアテープを貼られ、とっても不快そうにムスッとした表情。


「ハハ、まぁよかったじゃん大した怪我がなくて。君の"数少ない"友人がな。」

「何それ喧嘩売ってるの?買うよ?」

「おうやるか⁉︎」


と悠士とジュナが立ち上がり、何処かのカンフー映画のようなポーズをとる。

すると、後ろからよく聞いたことのある声が聞こえてきた。


「もー、すぐ張り合わない!」


その声の主はやはりMy anjelだった。


「すまん、すまん。でみんなは?」

「一応、知ってる範囲では連絡入ってるけど。今向かってるとこだって。」

「おう、じゃあそろそろ準備始めるか」


悠士がそう言うとみんな個人個人で動き始めた。

俺も何か手伝いに行こうとすると、悠士が手招きをしてきた。

なんだろうと思い行ってみると、それは何やら忠告のような、アドバイスのような。

「今からいろんな妖怪だか人間だか来るけど、そんな緊張しなくていいからな。特に古参の妖怪とか大妖怪だかは、挨拶ぐらいして、後は言われたことをやるぐらいかな。まぁ変な奴が多いけど、簡単に人は殺さない

から、頑張れ。」

だって。うん。余計緊張するわ‼︎

でも逆に「あー、もういいや」と吹っ切れたので、プラマイゼロか。


その後、外に出ていたメリィの所に行き、昼下がりの青空を見上げ、ながら喋っていた。


「祭、楽しみだね」

「そうだな。俺も色々頑張らなくちゃな」


すると、少しの間をとってから、メリィが優しく問いかけて来た。


「ねぇ、裕翔」

「ん?」

「…この村に来て良かった?」


俺は目を瞑り、これまでこの村で過ごした4ヶ月を振り返る。

そして目を開き、満を持して答えた。


「ここは紛れもなく俺の『第二の故郷』だよ。本当に良かった。みんなに会えて。あ、でも一番はやっぱりメリィに会えたことかな。あれ、もしやこれって『運命』ってやつか⁉︎なんちって」


と言い終える、返事がない、彼女は顔を赤らめているようだ、怒られる、幸せ。


これ、いつものパターンですねわかります。


もうすぐ祭が始まる。

いつか来る『その時』まで、これを後何回出来るだろうか。

過ぎて行った『出会い』の奇跡と、いつか必ずやって来る必然の『別れ』。


澄み渡る青一色の空に対し、俺の心情は、複雑に、大きく揺れ動いていた。




つづく


NON STYLE面白スギィィ。

井上よ早く帰ってこい‼︎。

オラ、待ってんかんな‼︎

では次回も?お楽しみに?アディーオス。

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