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人命怪々劇  作者: 伊庭 トラの助
第1幕
21/32

ただ一つだけ。

いや〜今回で1幕ラストです。長かった。自分も彼女が…ホピィィィ(切実)

〜第21章〜


「はぁー疲れた。」

「お疲れー。」


トウモロコシ畑の作業を終え、八代一家の城に戻って来た。


しばらく休憩し、夜飯を食べ終わり、本題に入る。


「さて、そろそろ」

「えー、もう帰るの?」

「うん、これ以上メリィに迷惑かけたくないんだ」

「じゃ僕が送るよ。」

「おう、ありがとう」


下準備を終わらし、玄関で靴を履き、八代一家のみなさんに感謝を伝えた。


「じゃみなさん本当にお世話になりました。また今度。」

「裕翔兄、バイバイー。」

「またトウモロコシ食べに来てくレッす」

「じゃあね。あんま彼女を困らせたらダメだよ?」


みんな快く送ってくれた。八代一家は焔魔組と違い上下関係がなく、それぞれ仲が良い。良い家族だ。羨ましいよ本当。


八代城を出て、徹人に連れられ、深い闇の森へ。

改めて、夜の森は不気味でひんやりしている。なぜ八代一家のみんなは妖怪に襲われないかと言うと、彼らが嫌う鈴を身につけており、鈴には魔を払う効果があるらしい。俺も一個身につけようかしら。


「あー、暗すぎてなんも見えん。徹人」

「大丈夫、僕には全部見えてるから」

「ん?どっこと?」


普通に疑問を投げかける。

すると、月の光が照らし少し明るい広地に出ると、徹人はこっちを見て、大きく目を見開いた。


「それは…フクロウの」


そう彼の眼は、白目が山吹色に、茶色の瞳は黒く澄んだ瞳に変わっていた。

普段フクロウの眼は、人間の10〜100倍の

感度を持ち、素早い動体視力、暗視などを持ち合わせていると言う。

昼は眼をつぶっていることから、彼がいつも眠たがっているのも分かる。


「便利だな。」

「まぁね。暗視はもちろん、千里眼、透視、温度変化とかもみんなはこの能力を『超眼力』て呼んでる。」

「確か、菊糾丸も『超記憶』だったよな?」

「そう、この村の道や場所、名前、過去のことから何まで全部。だから一緒に過ごすのは辛かった〜最初。トラウマとか」

「あー、それ辛いな」



そんなこんなで道に出た。


「ここまで来れば大丈夫かな。このまま歩いてけばいづれ着くから。じゃあ。」

「本当ありがとな」


そう言うと彼は満足して背を向けて歩き出した。


「あと、こういう時は、その大切な人の傍にいることが、一番だと思うな、僕は」


帰り際に一言放った彼はそのまま夜の闇に消えて行った。


今自分が彼女にしてあげれること…


俺はそんなことを思いながら夜の空を見上げ歩いていた。


そんな俺の思いを閉ざすように、高く伸びた木々達が月の光を覆い隠した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その夜、金髪の式神使いは、なぜだか足が外を目指し、歩いていた。


訳もなくただただ無意識に夜道を行くその少女の背中を押すように優しい風が吹いていた。

見上げれば光り輝く星達、ゆったりと浮かぶ丸い月。普段と何も変わらない景色のはずなのに、なぜかとても幻想的に見えた。


一人歩く夜道の角を曲がると、奥の木々の陰から何かが歩いてきていることに気が付いた。

すると、身体が勝手にそっちの方へ動き出した。

どんどん互いの距離が近づいていく。

そして、その人とすれ違う瞬間だった。


「メリィ…?」

「…え?」


そこにいたのは、自分が待ち焦がれ、今の今まで考えていた黒髪の青年が、月の光に照らされその姿を現したのだ。


「メリィ…」

「…裕翔っ!」

「おわっ、ちょ…」


瞬く間に身体は彼の胸の中に飛び込んだ。自分が自分じゃなくったように、思考と行動が合致しない。


「裕翔…やっと…会え…た」


自然と嗚咽が漏れでた。溢れてくる想いが涙となって止まらない。

すると、彼もその両の腕で優しく包み込んでくれた。


「ごめん、やっぱり俺は最低な男だ。みんなに迷惑かけた上、こんな天使を泣かせしまうなんて」

「違う…私が…あの時あなたを置いて…先に行ってしまった…から」

「でも現に俺は戻って来たぜ?なんせ、自称 持ち前と気合の男 だからな」

「ふふっ…何よそれ」



なんて言ってることは偉そうだが、内心恥ずかしさとパニックで心臓がエクスプロージョンしそうだ。


けどそんな俺の事より、今自分のせいで泣いている彼女のガラスのハートに安心を与えなければならない。


「大丈夫、もうどこにも行かないから。君が安心するまでずっと」


そう言って泣きじゃくる彼女の頭を撫で、強くも優しくただ互いに抱き合っていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



いつまでそうしていたのだろうか。


優しく揺れる木々達の声に後押しされ、淡い光を放つ空の星達に見守られながら、二人肩を並べ歩いていた。


「なぁ…メリィ?」

「何?」

「まだ言ってなかったな」

「?」


まだよくわかっていない彼女に向かって最大の笑顔を見せ、


「『ただいま』。」



そう、俺が帰るべき場所は、生きてても、死んでいてもただ一つ。



「 …『おかえり』。」




此処にしかないのだから。

はい1幕はこれで終わりです。2幕から少しづつ物語が明かされていくのでお楽しみください。

次回もお楽しみに。アディオス!

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