表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

第2話 召喚書を持ってきてもらってから考えよう。

 え? わからないと言ったか? 嘘やろ?

 俺になにか特別ななにかがあるという訳ではないのに俺を頼っているのか?それだとしたら何の力もない俺にこの国を救ってくれなんて馬鹿げた話だ。


「俺は普通の人間だぞ? この国を救えるほどの力なんてないし、俺1人じゃ出来ることなんてほぼ無いと思うが……」


 無謀な戦いに投じるつもりなど毛頭ない。いざとなれば敵側に寝返ることだってありえる。だって死にたくないもん。


「そうなんですか!? ……あの召喚書には召喚された者にはなにか特別な大きな力があるって書いてあったはずなのに……」

「召喚書?」

「は、はい、国を救ってもらうために、この国を救えるほどの特別な力がある方にお願いしたかったので、いろんな書物を漁って、その中で召喚された者が強い能力を持ってることが書かれた物を探しました。……まあ、ほとんどは動物などを召喚する物ばかりで召喚を維持するのに魔力を与え続けなければならなかったり、今の私たちの状況じゃとても厳しいものばかりだったんですけれどね」


 なかなか選択肢が少ない中の妥協的なものだったらしい。俺が召喚されたのは実は結構失敗だったんじゃないのだろうか……? 不安になってきたな。とりあえず、その書物になにか情報が隠されてるかも知れない。


「すみません、その召喚書持ってきてもらえますか? なにかほかに情報がないか確かめたいんです」

「は、はい! 分かりました! 実はところどころ読めない字が多くて……すぐに持ってきますね!」


 そう言って目の前にいた女性は駆け足で取りに行った。

というかほぼ読めないのにその召喚実戦したのか……なかなかギャンブラーだな。まあそのくらい切羽詰ってたのかな。

 何かと不安になる状況だな。情報が少なすぎる。

 どういった状況でも情報がものを言いそうだしな、とりあえず召喚書を持ってきてもらってから考えるか。

 そんなことを考えながら俺は近くにあった木箱に座る。この部屋にあるものといえばこれくらいだった。殺風景過ぎて、何の部屋だか全くわからない。物置なのに物がないだけかもしれないけど。


「…………ガタッ」


 入り口付近で物音がした。それは扉を少し開けた時になる反動だったようだ。

 さっき召喚書を取りに行った彼女が帰ってきたのかな?と思ったがどうやら違うらしい。そう言えばまだ名前教えてもらってない。


「誰だ?」


 そう言うと扉がまた「ガタッ」と言う。

 すると少女が顔半分を覗かせていた。


「………………あの」


 そう言ってビクビクしながらこっちを見ている。その少女のことはよく見えない。とりあえず少し顔覗かせている位置から見てまだ10歳くらいの子供のようだ。


「わ、わたくし、この国の姫であるアリエッタと申します……、その、勝手に召喚をしてしまい、無理やり協力させるようなことをお願いして申し訳ありません……」


 顔を少し覗かせているだけでも分かるくらい震えているのがわかった。

あれだけ怖がっていてもきちんと謝ろうとしてくれるなんて、めっちゃ偉い子だなぁ。

 俺はなるべく怖がらせないように声をかける。


「いや、いいよ。そりゃあちょっと困るけど、そっちも切羽詰った状況だったんだろう? ならどんな手でも使って助かる道を選ぶのはしょうがないことだ」


 俺がが相手の立場になったと想定して考えた。

そうして相当危険な状態だったんだろうと考え、しっかり優しい言葉を投げかけたつもりだ。

まあ俺はあんまり言葉遣いうまくないから本当に相手を怖がらせないか不安だけど。

 すると、その少女、アリエッタは震えが少し収まったように見えた。

どうやら警戒を取ることは出来たみたいだ。良かった……。


「あ、ありがとうございます、そう言って理解していただけるのはとても助かります。……召喚を命令したのはわたくしです。だから、ケジメとしてきちんと私が言うべきですよね。怖いからと言って隠れて言ってたらあなたがいい思いがするわけないですよね」


 アリエッタは決意したのか、半開きだったドアを開け放った。


「わたくしたちを救って下さい! お願い致します!」


 アリエッタはケモミミが生えていた。衣装は和服のように見える。そんなアリエッタはさっきの女性とは違い、目はタレ目で可愛らしいという言葉が似合いそうな女の子だった。

アリエッタの必死のお願いを見て、聞いて、俺は衝撃と感動と、胸の奥でなにか熱いものが「ドクンッ」と波打っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ