六話 「反撃」
6話目になりました
徐々にブックマークが増えていく喜びを噛み締めております
アデルと共に町の近くで狩りを続けて5日目。その間不定期に町や外で適度に
魔法遮断箱の蓋を開けては閉める事を繰り返す。その都度俺達は物陰に隠れて
相手の顔を人数を把握した
「お姉様、奴等の匂いしかと頭に記憶しました。これで見失う事は有りません。
数は全部で7人です。得物は剣が2人槍が2人大剣が2人弓が1人ですね
今のお姉様と私となら…問題ないでしょう」
と、アデルが言う。そう俺達はこの5日間で更に連ベルを上げる事に成功する
ジュンは基本LV25以上体力・魔力共に400を越え、アデルは基本LV15
に体力は210と剣LVは15まで成長していた。
オマケに狩った魔物達の戦利品で資金は有に5万近く溜まったが、その殆どは
装備品と宿代で消えていた。
高級宿屋『風流』は1月分の宿泊代で3か月分泊る事になっている。
これは、手に入れた魔物の肉を納めた結果だ。
俺のインベントリに一旦収めた肉は最高の血抜きと品質を持つ。風流に食材を
納める業者が俺を紹介してくれと頼み込んで来たと言うから驚いた。
女将の計らいで、表ざたに成らなかった代わりのお礼にと全部の肉を風流に
渡した事が、長期滞在に繋がった。
つまりこの数日で俺達二人は冒険者ランクは低いままだが、中身は中堅冒険者
並みの力を付けている。弱点は対人戦だけだが、最悪新たに買った装備品
『リミット・リング』が俺達を守ってくれるだろう。どんな攻撃にも体力の5%
は残る即死防止のチート的アイテムだ。1個2万£もする高価な品だがアデルも
俺もこんな所で死ぬ訳にもいかない。命がお金で買えるのなら迷わず掛ける事に
していた。
「よし!じゃ~ソロソロ仕掛けようか」
俺達は揃って町の冒険者ギルドへ向った。そこで以前話をした受付嬢と話をする
「あら!えっと…「ジュンです」そうそう!ジュンちゃん久し振り」
「お久し振りです」
「登録日以来来ないから、お姉さんもしかしたら貴方も誘拐されたのかなって
心配してたのよ。無事で良かったわ。…所で隣の可愛い子は?」
「はい。ご忠告を受けて私の護衛を任せている娘です。アデル挨拶しなさい」
「初めまして。お姉様の護衛役を務めます。奴隷のアデルです」
「あら~本当に可愛いわね。それに犬人族を最初に仲間にするなんて…
ジュンちゃん結構優秀ね。お姉さんのポイント高いわよ。それで今日は
何か依頼でも受けるの?」
「ハイ。コレを」
「えっ!…ジュンちゃん…本気なの?」
受付のお姉さんは俺が差し出した依頼書を見て固まった。そう俺とアデルは
懸賞金5万£と達成金3万£の誘拐犯逮捕の依頼を受けると提示したのだ。
ここは冒険者ギルド2階の一室だ。部屋に居るのは、俺とアデル。
そして受付嬢ことケリー嬢とその上司ケビンGMの4人だ。
「ジュンとやら、お主本当に犯人の目星が付いて居るのか?」
「はい。私は此処へ初めて訪れて以来事有る毎に或る人物達に付狙われています
その輩は、この箱に入っている装備品『マーク』の付与魔法を付けた仲間達
既にコチラは的の数と得物・人相・匂いを把握済みです。
後は最後の罠を仕掛ければ終わりです」
俺の言葉に渋い返事をするGM。どうあっても自分達で犯人を追い詰める
と云う俺達の姿勢が不安らしい。
「ねぇジュンちゃん。相手は今まで何人も誘拐してる奴等なの。とても危険な
相手よ本当に2人で倒せると思ってるの?」
「私達はこの数日間、奴等から隠れる為『討伐依頼』を受けず只管『魔物狩り』
に専念しました。ある意味此の為に報奨金とギルドポイントを棄てて
来たんです。情報提供だけでは割りに合いません」
「ならば!GCを今から提示せよ。ワシの権限で依頼達成と認めてやる。
ポイントも報奨金も出そう。そ奴等が犯人ならば、絶対逃す訳にはイカン
のじゃ!悪い様にはせぬ。此処は言う事を聞いておけ」
「それならば…このアデルにも私と同じだけのポイントを与えて下さい。
この子は先程登録したばかりですが、私と共に狩りをしてきたのです。
私達は2人で1つのPTですから」
「むむっ…仕方が無い…その条件飲もう。ケリー判定機を持って来い」
俺の押しでGMを説き伏せた。普通では考えらない譲歩だろう。それだけギルド
も切羽詰っていると言う事だ。だが、俺はアイツ等を許す気には成らない
5分ほどでケリーさんが戻ってきた。手には判定機を持参している。
判定機とはGCに自動で記録された討伐記録を読み取る機械だ。これで乱戦時
でも誰が最後に仕留めたかが判別できる古代魔法のシロモノなのだ。
「じゃ~ジュンちゃんのGC貸して。これで調べてあげる」
そう言って俺のGCを機械に掛け判定するケリー嬢。集計結果の数字を見て
彼女は驚いた。
「うそ!凄い」
角兎100匹 硬皮猪200頭 大赤猪50頭 灰色大爪熊3頭
これがこの5日間の成果の全てだ。
「何!間違いは無いのか?機械が壊れているのではないか?」
GMケビンもこの数字には驚く他無い。これ等の獲物は新人が倒せない
魔物では無い。但しこの数が尋常ではないのだ。熟練の冒険者でもこの5日間で
倒すには無理があるだろう。魔物は強い。強い分殺気や相手の動きを読み取る
力も強いのだ。つまりコチラの数が多かったり、ツワモノならば、殺気を感じ
森の奥へ隠れるのだ。狩りたくても狩れない…これが現実なのだ。
だからこの数字にギルド職員の2人が驚いていたのだ。
「なんで?どうしてこんな膨大な数を倒せ否、気付かれずに見つけられるの?」
「アデルのお蔭です」「否!お姉様の剣と魔法のお力が在ればこそです」
「…うむ要は…2人の力が揃っての事か、お主が直談判した意味が判った
確かにアデルは幼いが秘めた力は大きい様じゃ。そしてジュンお主もじゃ」
GMの台詞に笑って誤魔化す俺とアデル
「して、お主の狙いは何じゃ?ワシ等にその力を見せ何を企む?」
「討伐の参加を」
「な、何!しかしお主達では…」
「GM待って下さい。2人の集計結果から共にGRはGから一気にEに跳ね
上がっています。PTランクも同じくEです。それも僅かに足りないだけで
直にでもDに昇格しそうです」
「…確かに灰色大爪熊を倒せる2人ならDランカーでも不思議ではないな…
よいか!決して2人だけでは挑ませぬぞ。あくまでも参加だ。それも後方待機
それ以外は無理だ」
「ですが、相手をどう罠に掛けるつもりですか?この鎧は私が所有するもの
奴等の目的は私なのです。エサは私以外居無いでしょ」
「むむむ・・・」
町の西側歩いて15分ほどの森の中に少し開けた場所が在る。
そこで、久し振りに革の鎧を纏ったジュンとアデルの姿があった。
「お姉様」
アデルの小さな掛け声の後1人の男が複数の男を従えて二人の前に姿を現す
「おやおやお嬢さん達、お久し振りですね」
声を掛けてきたのは東の武・防具屋の店主自らだ。
「貴方は店主殿…」
「覚えておいでとは光栄ですな。幾つになっても綺麗な女性に顔を
覚えられるのは、嬉しいものですよ。…所でこの数日見掛けませんでしたが
どちらに御出ででしたか?」
「店主殿にお安く譲って頂いた防具に報いる為森に篭っておりました」
「ほぉ~左様で…の割には…鎧は傷が少なく綺麗ですね」
「ええ。サーチを掛けられた鎧等着てたら夜中に襲われかねませんからね」
俺の言葉に店主の顔色が変る
「フン。やはり気付いて居ったか。…これはどう理由かな?
売られる前に教えてもらえるかな?」
「お前が、お前達が新人冒険者の誘拐犯だな!店で防具を買う際に初心者か
否かを確かめて、付与付き防具を安く売り、後は人気の無いトコに居るのを
確認したら大勢で襲う。そんなトコロですか!?」
パチパチと手を叩き俺の推理を賞賛する店主。しかし男の顔に笑顔は無い。
「貴女は器量も良く、頭も切れる…中々の上玉ですね。売ってしまうのが
勿体無い位ですよ。…だが、そこまで知られたならご希望通り狩ってやるよ
手前ぇ等!殺さず必ず生け捕れよ!コイツは高値で売れる商品だ。掛れ!」
店主の号令と共に襲い掛かる野郎共。ジュン達と誘拐犯の戦いが始まった。
六話 「反撃」 完
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次回はSS1本と本編1本を投稿予定しています
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