三話 「初めての町での出会い」
三話目です
都会育ちだが野生の感が働いたか、運が良いのかそれとも只の偶然か30分も
歩けば街の防護壁が見えてきた。辿り着いた町は『始まりの町ピュアス』だ。
やはり、この世界は純一が遊んでいた『GE』にとても
似ている世界だと思う。
門を潜り町の中に入るジュン。向う先は冒険者ギルドだ。
「ここで登録を済ませないと何も始まらない。まずは仕事に就かないとな」
騎士や貴族と違って、冒険者はどんな技を使っても育てる事ができる。
剣士の装備で魔術師的な動きも可能だ。成長に少し時間は掛かるが、満遍なく
育てられるのが冒険者の特徴だ。その分『働かざる者食うべからず』
つまり、依頼達成しない限り収入は一切無い事が大きな欠点だと言える。
「まぁ~俺は天職持ちだから、後々楽なんだよな」
独り言を言いながら、ジュンは窓口で登録を済ませ、序に討伐クエストも受けた
これは戦利品をそのままカウントさせれば依頼達成になるからだ。
本来ならば、登録を済ませ討伐クエストを行なうと登録時に支給される
ギルドカードに自動カウントされるのだが、今回は逆だ。なので数に正確さが
出ない為目算で計算する事になった。何故なら一匹の討伐から複数の戦利品を
獲る事が希にあるからだ。
「うひゃ~やったね!凄ぇ~儲かった」
集計で大鼠は8匹で計2回の討伐(3匹x2回余2匹)、角兎は7匹は3回
(2匹x3回余1匹)で計算され、どちらも報奨金300£の5回で1500£
『鼠の小牙』10個で300£『鼠のモモ肉』8個で80£
『兎の角』7本で350£『兎の毛皮』10枚は200£
『兎の胸肉』と『兎のモモ肉』は共に5つで150£
『白兎の毛皮』1枚で1000£。全合計は驚きの3580£。これを全額
ギルドカードに振り込まれた一種のキャッシュカードも兼ねている。
屋台でもこのカードを提示すれば、支払いは勝手に行える古代魔法の一種だ。
「さて、此処まで予想以上の収入になったけど、装備を揃え直すか…いや待てよ
ゲームだと最初の仲間はNPCだけど、ここではどうすれば良いのだろう?
瞳の情報も集めないといけないし…」
冒険者ギルドで色々と情報収集をする事にした俺は、受付のお姉さんに色々と
質問をしていった。…そしてここでも現実を思い知らされる事になる。
ゲームの様にPC同士でチームを組むようにこの世界で簡単にチームを組んだら
酷い目に遭うらしい。騙し、喧嘩、仲間割れ、裏切りなど日常茶飯事。取り分の
言い争いから殺しに発展する事も屡と聞かされ、ゲッソリと萎える。
一日も早く血の契約か鉄の結束を結べとアドバイスを受けた。因みに鉄の結束
とは、冒険者を早々と辞め騎士団に入る事。血の契約とは奴隷を購入する事だ。
奴隷は互いの血を魔法で契約を結ぶ事。自分の命を掛けて主を守るのが奴隷の
役目で主人に絶対的な忠誠を誓い主はそれ以外を奴隷に与える事で互いの契約は
成立する。俺はゲンナリとしながらギルドを出る事にした。装備を揃える前に
奴隷商に向かう為だ。最後に受付のお姉さんが、最近新人冒険者や無職の者の
誘拐や殺人が多い。裏で奴隷にされ売られているだろう。警備隊が見回りを
しているけど、町の外へ出る時は十分注意をする様にと忠告してくれた。
忠告を受け真っ先に奴隷商を覗いた俺。ゲームでは存在しない職種だ。
初ログインした者が訪れる町だった此処も、そんな物騒な町なんだと知った俺
予算が許す限り奴隷を買う事を決めて覗いてみたものの正直テンパル事しか
出来なかった。
「うわ!マジ超怖ぇ~…あんな年寄りで護衛になるのかよ?…まだ子供じゃん」
リアル世界での奴隷の方々は、俺の想像を超えるモノだった。
有能な男達は、どれも強面の猛者ばかり。見てるだけでチビリそうになる。
聞けば大半が犯罪者だって言うから、そんな輩は怖くて寝れないと辞退する。
どうせ買うなら、綺麗で頼れる女性が傍に居て欲しいと思うジュン。
だが、若い女性の奴隷は非常に高価なモノだ。使い道が色々あるからだと
店主はスケベ笑いを俺に向けながら話して聞かせる。
結局ジュンの手持ちで買えそうなのは、ネコ娘か犬娘だ。本当に欲しかったのは
DEのお姉様だ。エルフと違い魔力は少ないが、暴力的な
外人スタイルは中身が健全な男子高校生のジュンに取って夢のシチュエーション
なのだが、5千£は今のジュンには高値の花である。そこで代用品が
オムツが取れたばかり?の二者選択なのだ。獣人は大人になるまでの成長が著しく
早く、ある時期から成長速度が遅くなり寿命も粗人と同じだと売り込む店主。
ネコ耳は斥候・遊撃手として、犬耳は索敵・前衛として素質がある。ネコ耳は
男性の買い手が多く犬耳は女性の買い手が多いと言われジュンは考え込んだ。
(あ~なんとなく理解したエロサイトで変な画像あったな…)
迷った結果、索敵要員として犬耳娘を買う事にする価格は2千£。一気に持ち金
半額だ。奴隷契約を交わし彼女に新しい名前を授ける『アデル』と名付けた。
名前を与えるのは主として最初の主従関係を結ぶ行為らしい。
アメリカン・コッカー・スパニエルを擬人化した感じの幼子。赤褐色の髪色に
肩下のミデュアム長さに軽くカールが掛かったヘアースタイル。目がクリッとした
可愛い顔立ちの娘だ。ジュンには妹が居無い。欲しいと思った。だがエロ小僧の
名を持つ彼はそんな事を公言すれば『変態・鬼畜兄』と呼ばれるのが関の山。
なので、グッと我慢してきたが
「あ~アデルが早く成長しないかな~」
とポツリ言葉を漏らす。
手持ち1500£少々になったが、アデルをこのままの格好にする訳にも行かず
武・防具屋を覗いた。ここでもジュンは現実を知らされた。古防具は意外と
安いのだ。理由は簡単。市場に氾濫しすぎているからだ。それは装着した者の
死んでいる数が多い事を示す。たとえ冒険者や騎士であろうが、気を許すと
簡単に死んでしまう世界。それがジュンが居る『GE』だ。
革の鎧にズボン。女性が身に着けるとチューブレストップとホットパンツに変る。
これが純一がGEにのめり込んだ要員の1つだ。
グローブとブーツ合わせて500£。同じ物を自分にも選んでみれば、
ドドンとボリュームたっぷりのボイン姿に変身する。
(あ~なんて素晴らしい世界だろう)
『嬢ちゃん達可愛いからマケてあげよう』
と店の爺が2人分で500£。
『今買えば!価格据え置きで、もう一着分セール』で買えた。
女性キャラ様々だ。アデルにはナイフと小型の盾。ジュンは刃渡り80センチの
バスターソードを合わせて500£。これも破格の価格と言える。
ここまで安いと逆に裏が有りそうで怖い。丁重にお礼を述べソソクサと店を
後にした。残るは今夜の宿だ。町を散策し宿屋を探す。さっきから痛い視線を
感じてる。武・防具屋を出てからずっとだ。
「ジュン姉様、さっきから視線を感じます。誰かが姉様を見ているようです」
アデルも視線に気付いた様だ。早速犬人族の力を拝ませて貰った。
「大丈夫だよ。ボクがちゃんとアデルを守ってあげるから安心しな」
「守るのは私の役目です。今から走って噛み付いてきましょうか!?」
千切れると思える程元気に尻尾を振りかざし笑顔を見せるアデルに慌てて留めに
入った俺。
「おいおい。血気盛んで元気は良いけど無理はダメだよ。俺に考えがある」
そう言ってアデルの手を引きながら食事処の店に入った。
小さな四つ角の影からコッソリ覗くと男2人が食事処の入り口を見張る様に
立っていた。俺達が入った店だ。店主に訳を話し裏口から抜け出した俺達は、
相手を確認する為大きく迂回、奴等の裏手に廻り込んでいた。
「くそ~1人は確かに武・防具屋に居た男だ。…なるほど、えらく安い価格で
売ったもんだと思ったけど、こんなカラクリが在ったのか…」
気付かれずその場を離れ急いで離れた宿屋を探しに走った。
奴等は客の買った品で新人かベテランかを見定めていた。ギルドの受付嬢が
言っていた誘拐に繋がるかもしれないと俺は思う。アデルは鼻が効くけれど
戦力にはまだ、成らない…早く次の手を考えないと…俺はそう考えながら宿を
探す為町を駆け巡った。
三話 「初めての町での出会い 完
如何でしたか?




