十七話 「北の草原」
17話目です
午前中は快調な滑り出しで狩が進んだ。カリンとアインとマギーは一気に
レベルが2つも上がる。武器の連度も鰻登りだ。
「いい感じですね連携も皆の息が合うと言うかビシビシ決まる感じです」
嬉しそうにアデルが言えばアインとカリンも首を縦に振る。但しマギー1人が
重い雰囲気を醸し出す
「マギー。そう焦るな。慌てなくてもソロソロ貴女にも成変の時は訪れるさ
そう心配する必要はないよ」
「ですが、お姉様。私もアデルと同じ16と成りました。彼女と同じなら成変が
起こっても不思議は思います。なのになんの兆候も無いなんて…」
「私の時は、それこそ直前まで普通でしたよ。お蔭で夜中にお姉様にご心配を
掛けてしまったのです。マギーも必ず訪れるわ。何よりお姉様は思春期体の
私より幼児期体のマギーを好んで御出でなのですから、私からすれば勿体無い
話ですよ」
嫌々決して思春期体のアデルが嫌いなのでは無い。逆に強く抱きしめたい気分
只、中身が6歳児の幼子に欲情してしまったらと思うと…空恐ろしいと
感じるからだ。安全パイと思ってマギーを抱いて寝ているが、
アデルが嫉妬してるなら…今夜からアインを抱きしめて寝ようかと
真剣に考え出すボクである。
午後も午前と変わりなくガンガンと狩は続けられた。結果としてアデルが2つ
ボクが1つレベルが上がり残りの3人は朝からのトータルで7つもレベルが
上がった事になる。
そして深夜の事だった。カリンとボクが夜警に立っていると馬車の中が騒がしい
驚いて中を覗けばマギーが汗を流しながら苦しんでいる。その時が来たのかと
一応ボクは鑑定メガネで確かめる
「うん。特に食中りとか怪我や病気では無い様だね」
「でわ!?」
「うん。君と同じ成変だと…思う」
「アイン悪いけど鎮痛剤を湯に溶かしてきてくれるかな?アデルの時も、これで
落ち着いたんだ。カリン君はそのまま警備してて。今襲われるのは危険だ」
僕の指示で動く二人。アデルは強くマギーの手を握り締めてる。言い争い事の
多い二人だけど、やっぱり中の良い2人だとボクは感じた。
薬が効いたかマギーの汗が引く。暖めたタオルで体全体を拭いて上げると幾分
気分が良くなったか、顔に少し笑みが浮かんでいた。結局皆もマギーが
気になって、朝まで寝ずに夜を明かした。
馬車の外で眠気醒ましのお茶を啜っているとマギーの歓喜する声が響いた。
「きゃぁ~~お姉様!お姉様!私やりました~」
嬉しさ余ってマギーは一糸纏わぬ姿で馬車から飛び出す。
その姿は正に妖艶なキャットウーマン。アデルより胸は少し小さいけれど、
その分腰も細い。ボクが抱きしめれば折れてしまうと思える程だ。そしてパンと
張ったお尻はツンとしており、流れる様な長い足が皆の目を釘付けにした。
「…綺麗」
カリンが漏らした言葉である。
女豹と言う言葉が似合う身体に成変したマギー。皆から祝いの言葉を貰うと
少し照れた笑いを見せた。
昨日とは打って変わって元気なマギー。悩みも消えこの世の全てを謳歌する
勢いだが、逆に安心したボク等は眠気が襲ってきた。そんな時だった。
「お姉様!近くで女性の悲鳴が聞こえました」
「戦闘の音も聞こえます」
アデルとマギーが叫ぶ。僕らの眠気も一気に消し飛んだ。
「場所判る?」
「こっちです!付いて来て下さい」
いつもならアデルが真っ先に突っ走る所を今朝はマギーが一目散に駆け出した。
後を追う為にボク等も慌てて準備に取り掛かる。
BQセットと投げ捨ててアインとカリンは馬車を走らせ、ボクは魔導バイク
に跨った。先行するマギーとアデルは両者譲らずの速さで駆け走る。
「居ました!前方、距離約100M。どうやら山賊と幌馬車の様です」
マギーの目で捉えた様子を伝えてくる
「全部で16人。内女性が2人多分山賊は10人程です」
「その根拠は10人が特に臭いです」
アデルは認識しないと匂いで識別は出来ないが、匂いの強弱や違いは判る
山賊が風呂に入っているとは思えず、その数字は遠からずの数だとボクは思った
「よし!出来れば殺さず捉えて!アインとカリンは女性達の保護に!」
ボクはバイクのアクセルを吹かしながら土魔法の詠唱を始めた
マギーの矢が山賊と幌馬車の間に突き刺さる。一瞬馬車と山賊数人との間に
隙間が生まれると、すかさずその隙間に魔法で土壁を築く。よろめきと驚きを
見せる山賊達。ソコへアデルとマギーが斬り込みを掛けた。アインとカリンの
馬車はボク等より少し遅い。迷わずボクは幌馬車の方に突進を掛けた。
1人の男がボクに弓を向ける。矢が放たれるがソレを剣だ払いのけ飛びついた
ボクに意識を取られた山賊が横から剣で刺される。どうやら幌馬車にもまだ
闘える人間は居るようだ。となれば数での劣勢は免れる。
その内カリンが大盾で幌馬車のフォローに付くと形勢は一気に同等に持ち込める
ボクがレベル28カリンが15アインが17アデルが20マギーが17とも
成れば中級レベルのPT戦力。そう易々と力負けもしない。
『ヤァ!』とアデルが剣を横一文字に放てば『ハッ!』とマギーも負けずに
弓を撃つ。1人、2人と壁の向うで山賊達が戦意を失っていく。
10分ほどの死闘を繰り広げ、ついに山賊の撃退に成功した。
捉えるようにと云ったものの相手は死ぬ気の攻撃で、コチラも手を抜く事は
出来ない。結果として山賊は8人が死亡4人を生け捕りに成功。結果的に相手は
総勢12で襲って来た事に成る。迎えてコチラはボクを含むPTはかすり傷程度
襲われていた幌馬車は5人が死亡1人が重傷女性2人が軽傷の結果で終わる。
「大丈夫ですか?」
カリンの問いかけに助かった女性達は震えながらも首を縦に振る
「アイン重傷の人に回復薬を。アデルとマギーは周囲の警戒。カリン君は
そのまま彼女達に付いてて」
「お姉様は?」
「ボクは念の為にコイツラに寝ててもらうよ」
そう言って雷魔法で全員を感電さ意識を奪った。
「お姉様この方は危険です」
アインが重傷者の様態が悪化した事を報告する
「わ、私にお任せ下さい」
震えていや女性の1人がそう言うと何やら呪文を唱え始める。
深手で苦しむ男性が淡く暖かな光に包まれて行った。
「あぁ~ダメ!命の炎が弱まっていく。負けないで!負けないで下さい!」
僕が見た淡い光は回復魔法なのだろう。だが、彼女の魔法も虚しく深手の傷を
負った男性には届かなかった。
十七話 「北の草原」 完
如何でしたか?




