十四話 「女将の気遣い」
14話目になります
蓋を開ければメンバー紹介。試してみたい事も在ったし、カリンが大盾使い
だったので万々歳。攫われてた所為で特に手荷物も無いらしい、
そのまま、ヘルマンの店に向う事にした
「ほぉ~。次々と探し出す事が出来るの」
グルっとカリンを廻らせて、身体チェックを行うヘルマン。ほんの数日前まで
男達に拉致されていたカリンは、少々引き気味だが勇気を搾り出しヘルマンに
観察されていた。
「先日まで酷い目に遭った人だから優しくしてよ」
「馬鹿者!ワシがお主達に乱暴した事等無かろうが…娘よ少し肩の力を抜け!」
怒鳴りながらもテキパキと作業を終えるといつもの批評に入った。
「腕と足の筋肉が、まだまだ足りぬ。大盾を持っての守りとなれば、思う以上の
力と精神力が必要じゃ。どんな攻撃にも腰が引けん気合が尤も必要となる役だ
カリンとやら、お主耐えられるか?お主の肩にコヤツ等の命が懸かるのだぞ
自信は無くても良い。じゃが、気構えだけは持たねば育たぬ。良いか!?」
「はい。頑張ります。ジュン殿や皆を守護する立派な盾役になってみせます」
カリンの言葉を聞くと奥から装備一式取り出した。装着させれば、ボク等と
お揃いの鎧一式に大きな盾とハンマーを持つ女戦士が聳え立った。
「うわ~半身金属鎧なんですね。凄い」
「格好良い…」
「どこぞの騎士様…みたい」
「これが…ジュン殿が語っていた。装備の支給ですか、凄い!着ているだけで
力と自信が湧き上がる気がします」
前面を金属鎧と化したカリン。その姿に大満足の様子だが、ここはGE世界。
その分、背中がパックリ露出している。おまけに太股の内側も
ご丁寧に肌を顕わにするデザインだ。
「うん。流石ヘルマンさん。凄く良いですね。防御力+20と気力+20の
付与値も凄いです。これなら、安心して前を任せられます。
それに皆の中で一番エロっちい…かも」
ボクの台詞で背中の大胆なデザインに悲鳴を上げるカリン。
『眼福・眼福』ヘルマンお得意の台詞でカリンは赤面。
ボク等もお揃いの鎧姿を披露した。どれも中々エロっちいデザインで
何故かホッとするカリン。早速カリンの腕前を見る為に狩へ向かう
「前方、来ます。数1 赤大猪です」
アデルが警告。カリンがその声に合わせて大盾を構える。マギーも大きく弓を
撓らせて待ち構える。
「ブボォー」
雄叫びと共に土煙を上げコチラに突進してくる大きな赤い影
一段と大きい『赤大猪』だ。昨日に続き仲間を狩り続けるボク達に猪の方も
怒り心頭だったのだろう。気配を察知すると同時にコチラに襲い掛かる。
マギーの矢が少しズレ前足の付け根、人で言えば肩の所だろうか?ソコに深々と
刺さる。勢いが少し下がるが、それでも重量が有る分当たれば、跳ね飛ばされる
だろう。それをカリンが上手い具合に盾で勢いを殺し受け止める。
すかさず、ビビリながらアインのハルバートで後ろ足の骨を砕く。アデルも
同じく反対側の足の間接を峰打ちで外す。一声掛けて氷魔法で猪の頭ごと
氷結し傷を押えた狩を行なっていく。
「これで赤大猪は8頭目ですね」
カウントしていたのはアイン。まだまだ精神的には弱腰だけど、タイミングは
巧く成っている。カリンの大盾も思いのほか有効的でボクは安心して魔法を
仕掛ける事が出来た。気になのは、さっきから微妙にマギーの矢がズレる事だ。
それでも狩は順調。成果はカリンが奴隷でなくてもボクの『加護』が受けれて
いる事が判った事だろう。後はPT以外チームでもその『加護』が通じるかだ。
女将の弁当は4つしかない。カリンが加入するとは思って居なかったからだ。
そこで、皆で分け合いながら足りない分は『角兎のモモ肉』を加えて昼食とした
「美味しい!こんな美味しいお弁当初めてです。それに、お姉様の『魔法の鞄』
も凄いですね。容量もそんなに大きいのは初めて見ますし、勝手に解体まで
してくれるなんて…聞いた事が在りませんよ」
カリンは女将の弁当に満足し、ボクのインベントリを魔法の鞄と勝手に認識して
居る。そして皆と同じくボクをお姉様と呼んでいた。
ボクの方が彼女より年下だけど、カリン曰く『お姉様』を隊長とかリーダーって
役職と思えば、何の違和感も無いらしく今後メンバー間でその呼び名を広める
事にする。つまりジュン姉さま、アデル姉さまって事だ。
今はボクだけお姉様。後は名前で呼び合って行た。
その後も狩りを続ける事半日。結果的にボクとアデルが武器レベルで1つ。
アインとマギーがレベルで5つカリンは7つも上がった。体力的にも最低150
は越え鎧の付与魔法のお蔭で防御も30を越える。数値だけ見れば駆け出し処か中堅に
近い能力だろう。
「よし。戦利品をヘルマンさんトコに運んだら帰ろうか」
ヘルマンの店に戦利品を買い取ってもらい、その足で風流に帰ると女将が
いつもの様にボク等を迎えてくれた。
「お帰りなさいませ。…あら?ジュン様、その方は?」
一歩前に出たカリン。自己紹介を済ませ皆と部屋に入っていく。
ボクは1人女将に玄関横で説教を受けていた。
「…事情は判りました。あの子も辛い経験をされたんですね。ジュン様と
出会えて、この先道も開けるでしょう。…ですが、仮に行く前に一言声を
お掛け下さいまし。先日も申しましたでしょ!女の子は色々と物入りなんです。
あ~ぁ!あの娘の胸のサイズ…在る物でサイズ合うかしら…」
「あ~ねぇ!トミさん。アデルさん達はお風呂ですか?」
「はい。皆さん揃って露天風呂に今行かれました」
丁度、廊下を通り掛かった女中のトミさんが、女将に呼び止められる。
「なら、ちょっと覗いてサイズ測ってきます。ジュン様は汗を軽く流すだけに
して下さいね。後でタップリお風呂で話し聞かせて頂きますから」
「トミさん!後任せるわね。私お風呂覗いて買い物に行ってきますから」
ボクを置いて忙しく駆け巡る女将。正直彼女の存在は有難い。アデルやマギーは
子供だし、アインは少し内気だし。当然ボクは…ガサツで気が廻らない男子生徒
本当の意味でボク等のお姉さんなのは女将だと、今更ながら実感するボクだった。
十四話 「女将の気遣い」 完
現時点でのメンバー特性
人族ジュン ♀♂ 基本LV27 職業LV15
体力『700/700』 魔力 『700/700』
剣LV12 旋棒LV07
火属性魔法LV15 水属性魔法LV15 風属性魔法LV12
土属性魔法LV09
固有スキル『話術』『転職』『天性の瞳』
犬人族アデル(思春期体) ♀ 基本LV18 職業LV18
体力『1100/1100』
剣LV16
固有スキル『野生の嗅覚』『野生のカン』
習得スキル『忠義の心』
猫人族マギー(幼児体) ♀ 基本LV09 職業LV07
体力『200/200』
弓LV06 短刀LV02
固有スキル 『隠密』『ネコパンチ』
習得スキル『忠義の心』
DE族アイン ♀ 基本LV09 職業LV07
体力『250/250』 魔力『150/150』
槍LV06
付与魔法『毒』『痺れ』
固有スキル『誘惑』『剣舞』
習得スキル『忠義の心』
人族カリン ♀ 基本LV07 職業LV07
体力『150/150』 魔力『150/150』
盾LV06 打撃LV07
魔法 習得なし
固有スキル『なし』
習得スキル『奮い立つ心』




