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一話  「その名はエロ小僧」

一話目です

山倉純一17歳。恋に恋する花の高校生男子。友人との会話はゲーム・アニメ・

アイドルネタばかり。そう彼もご多分に漏れず、思春期真っ盛りの健全な

男子生徒である。当面の目的は彼女を作る事だが、一向に出来る気配が無い。

その要因は大きく分けると3つだ。1つは身体的欠陥。欠かさず煮干と嫌いな

牛乳を飲み続けたが、成長は著しく悪く純一の身長は155センチと非常に低い。

二つ目は自他共に認める『H小僧』なのだ。平気で女子生徒の前でエロサイトの

話やらスカート捲りを楽しんでいた…要は子供なのだ。3つ目は廃人ゲーマーだ。

そんな純一にクラスの女子が付けたあだ名が『エロ小僧』。

三種の神器を兼ね備えた彼に思春期乙女が靡く事等、天地が転んでも起きる事は

無かった。


彼が愛してやまないゲームがMMORPG『グリッド・アース』群雄割拠が

陣地を広げ統一を目指す普通のゲームである。


「何故?お前はあんなゲームに没頭するんだ?」

と尋ねる友人が居た。

「あのゲームほど、女性キャラの装備で萌えるモノは他には無い」


まさにエロ小僧本領発揮と言える言動だろう。


こんな幼浸みた事ばかりする純一も、一途に思う女子は居る。同じクラスの

『橘 瞳』だ。学校のマドンナ的存在。純一とは月とスッポン、高嶺の花である。

以外にも2人の間には只らぬ関係はが在る。遡る事12年前、同じ町内に

橘家が越して来た頃からの付き合いだ。母親同士が馬が合い、それぞれの子供も

同じ年齢と来れば、自然と親の都合で子供同士が一緒に居る時間は増えていく。


今でこそ『可憐』『守ってあげたい』『姫』などとお淑やかな女子の名を欲しい

侭に周囲から呼ばれている橘瞳だが、幼い頃は手が付けられない程の

『お転婆娘』だった。自分からママゴトを誘えば30分も経たずに木登りへと

変わり、蛇や蛙を平気で掴むワンパク娘。その癖重度の人見知りで純一意外と

遊ぶのを嫌っていた。

小学生の低学年まではその関係が続いたが、4年生時に進級して以来突如

橘瞳は純一に近付く事が無くなり、彼もまた自分から近付く事は無かった。

中学に進み尚更2人の距離は離れる。学業は少し純一が劣るけれど、中二の

夏休み前、偶然知った瞳の希望高校。それから猛勉強を始めた純一は、見事

瞳と同じ高校に合格する。


中学卒号式当日。瞳から純一に『受験頑張ったね』の一言を告げられて以来今日

二人は言葉を交わしては居無いが、校内で瞳と不意に目が合うが二人はそれでも

言葉を発しない。

そんなある日の休日の事である。

山倉純一は本屋へと向って走っていた。今日はゲーム雑誌の発売日。

特集は近々大型アップデートする『グリッド・アース』だ。純一は一刻でも早く

知りたいと近道の公園を抜け本屋へと掛ける。

左端大きな木が立つ一角は穴場的空間で表通りに抜ける道として全力でソコを

目指して走っていたのに…人影に気付き足を止めた。立っていたのは橘瞳である。

もう一つの影は、1つ上の先輩『木村拓海』学校一のイケメン男子として

同校女子からだけでなく近隣の女子生徒からも人気が高い男。その2人が何やら

話し合いをしていた。


「あれは…瞳。そして木村先輩じゃん」


2人が付き合っていると『もっぱらの噂』だが、その現場を見た者は居無い。

ここで自分が第一発見者になったのかと後悔する純一である。


「あぁ~マジかよ。超ムカつく」


独り言を言う自分に気付いていない純一は黙って2人を見詰るしか出来なかった。

離れるに離れられないモヤモヤとする純一。


「すみません。先輩は素敵な方と思いますが、私…お付き合いは出来ません」

橘瞳が突然木村にそう告げながら深々と頭を下げる。


ニヤニヤと笑っていた木村の表情が固まる

「え?ごめん聞き取れなかった。もう一度返事を聞かせてくれる?」


「ごめんなさい。私好きな人が居るんです」

下げ続ける瞳。


「あ~えっと…聞いていいかな?…誰?君の好きな奴って?」

「●△◇◎▽∵」


やがて笑顔から怒りの顔へと代わった木村。

しかし橘瞳にはその変わった木村の表情を読み取る事は出来なかったのだろう。

再び頭を下げた瞳は木村の下を去ろうと振り返り、一歩二歩と歩き出しす。


その時、鬼の形相と化した木村の暴挙を2人をずっと見つめていた純一は、

ハッキリと木村が取る行動が読めた。


慌てて木陰から飛び出してくる人影に気付いたのは橘瞳である。彼女は見られた

と云う様な表情で純一を見詰る。左手で逃げろ!と示す純一に戸惑いながら

後ろを振り向くと鬼と化した木村がナイフを高々と掲げる姿が彼女の目に映る。


「キャアー」


取っ組み合いをする木村と純一。スポーツマンの木村がチビの純一に負ける筈が

無い。力で押される純一。そこへ橘瞳が加勢に入ったホンの一瞬の出来事だ。


木村の持つナイフが橘瞳の胸に刺さる。

激しい血飛沫をあげながら、その場に倒れる橘瞳。呆然とする純一


「お前が、お前が悪いんだ。ぼ、僕は刺すつもりなんか無かった。ただ…

 ただ、ちょっと脅かすだけだったのに…お前が出てくるからだ~!」


動揺し後ずさりする木村は叫び声を上げながらその場から逃げ去った。

公園から走り去り大通りに向ったのだろう。

激しい車のブレーキ音が聞こえたと同時に何かが撥ねられた音が響く。


ピクリとも動かない橘瞳


「ごめんな。ごめんな…ひとみ…守れなくてごめんな…」


その場に『わっ~』と泣き崩れる純一。突然大きな光が現れ倒れている橘瞳と

山倉純一は、そのまま光に飲み込まれ…姿を消した。






小鳥の囀り、温かい日差し、心地よい草花の香りが漂う…

「ここは…?」


一瞬ここが何処か判らず夢でも見ていると思った。自分の着ている服が

家を飛び出し木村と争った時の格好でない事に気付くと、尚更夢だと思える

着ていた服にも妙な親近感が沸く


「あれ?…この服どっかで見た事が在るぞ」

確かめる様にクルリと回りながら全身チェックした俺は固まった。


「な、なんだこりゃ~!!」

在る筈の無いモノが俺の胸元にソソリ立つ。85のDカップ夢にまで見た

女子のオッパイが俺の胸に付いていた。


一話  「その名はエロ小僧」  完

如何だったでしょうか


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