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「君がローズかね?」
人が良さそうな笑顔をローズ様に向けるカール陛下。
「はい。マリー・ステラ・ローズと申します。こちらはわたくしの護衛の」
「リーオと申します。リオとお呼びください」
「リオ。おぬしは女だったな」
「!?どうしてそれを」
「はっはっは。ミュラから聞いていない訳がないではないか」
ミュラとは、ステラ国王の事。
「安心してください。この事を知っているのは、わたくしたち2人だけですから」
良かった~。オルタンス陛下は話し方も麗しい。
「今日はゆっくり休んで。明日、マリーさんは息子に会ってくださいね。リオさんは明日は騎士団の訓練に出ていただこうかしら。それでもよろしくて?」
「もちろんでございます。どうか、リオと呼んでください」
「ではリオ。ヴィクセンを紹介しましょう」
「ヴィクセン?」
「何かあれば、彼を頼ってください。勿論、女の子としての相談はわたくしがのりますけどね?」
ウィンクするオルタンス陛下。か、かわいいです。女王様。
「ヴィクセン!」
陛下が呼ぶと、扉の外に控えていたらしい彼が入ってきた。
「はい」
「お前に紹介したい人がいる。まず、ステラ王国王女、マリー・ステラ・ローズ」
「よろしくお願いいたします」
「そして彼女の護衛のリーオ。リオと呼んでやってくれ」
挨拶と共に優雅なお辞儀をしたローズに対して、私は会釈をするだけ。
「彼は騎士団副団長のヴィクセンだ」
私たちと同様に、陛下直々の紹介だ。
「リオは明日、お前と一緒に訓練に参加する。色々教えてやれ」
「はっ!」
「では、ローズ様はヴィクセンに。リオ、君は宰相のフーシェに部屋を案内してもらいなさい。フーシェは隣の執務室にいる。皆で挨拶してきたらどうかね」
陛下の言葉通りに、執務室にいるフーシェを呼んでからローズの部屋までついて行った。護衛するのに部屋を知らないと困る。