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「んっ」
「起きたか?」
目が覚めると、ヴィクセンが心配そうに覗きこんだ。
「ああ…正体がバレてしまったんだったな」
そういうとヴィクセンは、顔を歪めた。
「気にするな。ヴィクセンは今まで通り接してくれればいいから。ところで、今何時だ?」
「昼の1時だ」
「そんなに寝ていたのか。ローズ様は」
「心配するな。きちんとお伝えしてある」
申し訳なかったな…。
「気分は?」
「悪くない。ずっと寝床を占領していてすまなかった」
そう言って立ち上がろうとすると、またふらついてしまった。
「まだ治っていないな。とりあえず、部屋に帰るのを手伝ってやるから、部屋についたらもう一度寝ろ」
脱いでいた上着を着るのを手伝ってもらい、やっとの事で部屋へと帰った。
「訓練の事だが、今から殿下に話しをしてくる」
「すまない。迷惑をかけてしまったな」
「いや。とりあえず、お前は寝ていろ」
「わかった」
まだ身体が火照っているのがわかる。もちろん、熱のせいでだ。
相当疲れていたのか、ベッドに横になった瞬間私は再び眠りについた。




