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境界を越えた侵略者  作者: 白波
プロローグ
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プロローグ

 時は銀河暦82年。

 重度の環境破壊による影響により地球に住み続けるのは不可能だと判断が下され、人類は国ごとに別の船に乗り宇宙を航行していた。


 国同士の移動はワープ装置を使って行っていて、それに伴うセキュリティーの強化によりいつしか不法入国などという言葉は消滅していた。

 地球を旅立ってからかなりの年月がたち、かつて地球に暮らしていた人は片手で数えられるほどしかいない。


 何時しか人類は地球という存在自体を忘れようとしていた。




 *




 真っ暗な宇宙を進む日本の宇宙船は四十七のブロックで構成されているその中の第二十三ブロックの一角。


 ピピピピという目覚まし時計の音で目を覚ました青年保見(ほみ)昴流(すばる)は、眠気に負けそうになりながらも体を起こす。


 短めに切りそろえられた栗色の髪は、寝癖でボサボサとなっていて、顔には眠いですと書いてありそうなぐらい、だらけた表情を浮かべている。


 ベットのわきに置いてある机の上にある眼鏡をかけ、同じ机に置いてある目覚まし時計に目をやった。

 水色のふちで真ん中に大きく時刻と日付が表示される形のその時計には“82年4月3日 午前6時02分”と表示されていた。


「6時? どういうことだ?」


 なんで、こんな時間に目覚ましをセットしたのかと考えつつもとりあえずベットから出た。

 そして、予定を確認しようと壁にかけてあるモニターに目をやる。


「今日の予定」


 声をかけるとモニターの表示がカレンダーに切り替わった。


『本日の予定は設定されていません』


 目覚ましを間違ってセットしたのだろうか?

 寝起きであまり回転していない頭でそんな結論をはじき出し、昴流は二度寝するためにベッドへ戻り布団をかぶった。


 昴流が二度寝を始めてから30分ほどたった時である。


 ドカンという盛大な音を立てて、女の子が壁を破って昴流の部屋に入ってきた。


「なっ何だ?」


 驚いて飛び起きた昴流の目に飛び込んできたのは、黒い髪を腰あたりまでのばしたその女の子だ。その女の子は、ない胸を張り堂々と言い放った。


「よく聞け! ただいまよりここを貴様等人類の侵略の拠点にさせてもらう!」

「はぁ?」


 目の前に立つ女の子の容姿は、特に変わったところがあるわけでもない。

 どこにでもいるような普通の女の子だ。


 呆然とする昴流をよそに女の子は得意げに話し続けた。


「聞いておるのか? それとも、怖じ気づいて声もでないか! はっはっはっ人類というのも容易いものだな……」


 だがしかし、今は彼女のが侵略者であるということはあまり、重要ではない。

 昴流は、ゆらりと立ち上がると女の子の肩をつかんだ。


「お前がどこの誰かは知らないが……」

「なっ何だ!」

「とりあえず、壁を直せ!」


 昴流の叫びが朝早くの住宅街にこだました。

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