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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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作者: 赤川ココ
掲載日:2026/04/22

手慰み第数弾です。

ちょっぴり、下世話な話になりますので、苦手な方はご注意ください。

 龍王国の王の番が懐妊したと耳にし、王の弟である青年は、早速祝いの品を用意して、見舞いにやって来た。

 王の番は小柄な美しい人間で、王弟も一目見て恋をしたが、手の届かないと諦めた所に入った朗報で、これを最後に、領地に帰ろうと考えていた。

 王の番のいる後宮に着くと、すぐに番が休んでいる寝室に案内され、王弟は訝る事なくそこに立ち入った。

 そこには、国王夫妻がいた。

 寝台の上に座る女性か、更に小さく見えるほど、この夫妻は大きい。

 弟である自分とは、あまりに違う容姿を直視出来ず、王弟はさっと頭をさげた。

 定例の挨拶の後、祝いの言葉をかける。

「ご懐妊の報を受け、馳せ参じました。謹んでお祝い申し上げます」

「……うむ」

 答える王の声は、重かった。

 隣に座る王妃も、憂いの色で番を見る。

 当の番も、困惑した顔で俯いていた。

 王家一家の、奇妙な反応に戸惑う王弟に、国王は重々しく告げた。

「彼女から生まれる子は、神殿にて育ててもらう事になった」

「は?」

 思ってもいない決定だ。

 驚いた王弟が、つい声を荒げた。

「陛下の待望の、番とのお子を、何故にっ?」

「私との子が出来るはずが、ないのだ」

 苦しげに国王は言い、続けた。

「となると、我が番は、処女懐妊、つまり、獣神のお子を、身籠ったことになるのだ」

 低い声で、重々しい言葉が、部屋中に響いた。


 何を言っていると、呆然とする王弟の前で、番が顔を赤らめた。

「陛下。処女懐妊ではございません。わたくし元々、既婚者でした」

「ああ、そうだったな。跡継ぎが出来た途端、愛人を作り、蔑ろにした人間に、嫁いでいたな」

「まあ、見事なブーメランですわね、陛下?」

 王妃がほほほと笑い、国王が慌てて取り繕う。

 それを見ながら幸せそうに微笑む番を見た王弟は、漸く声を絞りだした。

「そんな筈は、ありません。私はっ。番様が入内してから今まで、見守っておりました。幾度も陛下がこの部屋に通っていたのも、陛下が部屋を辞した後、番様が疲れ果てて休まれている事も、存じておりますっ」

「……そうだな。確かに、私は、ほぼ毎日、番の元に通っておるが……実はな、一線は越えてはおらんのだ」

 衝撃的な告白だった。


 は?

 口がその形で固まった王弟に、国王は言う。

「私は龍族で、番は人間族。その体格差と誕生の仕方の差が、臆病にさせていてな。ついつい、種付けを躊躇っていたのだ」

「……」

 青ざめた王弟の前で、番が憂いながら顔を伏せた。

「わたくしは、陛下のお子を産めるのならば本望なのですが……」

「いけません。あなたに何かあっては、陛下の心身が崩壊してしまいます。今まで通り、陛下の手管で我慢なさい」

 王妃が厳しい顔で嗜め、国王も真面目に頷いた。

「私も、お前の膝の間だけで、満足なのだ。気にすることはない」

「陛下……」

 三人で独特な世界を作る国王一家の前で、王弟だけが真実に気づき、衝撃を受けていた。


 全く、思わぬ副産物が出来たなと、国王は天井を仰いだ。

 だが、それは構わない。

 番が死んでしまう未来を、変えられたのだから。

 前の人生で、国王は番を死なせてしまった。

 産褥死ではない。

 それ以前の話だ。

 そう、番の体が、国王の一物を受け入れるには、小さ過ぎた。

「陛下……とても、素晴らしいモノをお持ちですね。わたくし、これで死んでも、本望でございます」

 番はそう言って儚くなってしまったが、番を死なせたモノを褒められても、喜べなかった。

 死に顔が、満足に微笑んでいても、だ。

 結果、国王は病み、番の後を追うように息を引き取った。

 と思ったら、生き返った。

 王妃との子たちの年齢から、番と出会うひと月前だ。

 また会えるっ。

 国王はついつい、王妃と王子たちの前で、号泣してしまった。

 呆れながらも慰めてくれる家族にも、前の人生では苦労をかけただろう。

 だから決めた。

 今回は、人間が開発した閨の手管を覚え、番とは一線を越えないと。


 見舞いの品を置いて、ふらふらと部屋を辞す王弟の背を、国王は嫉妬混じりに見送っていた。

 弟も、番に懸想していたのは知っていたが、まさか、自分が通った後、意識のない女をこっそりモノにしているとは、思わなかった。

 だが、これで良かった。

 恐らくは、この巻き戻り、番を憐れんだ獣神の計らいだ。

 対価として、弟と番の子を、神の御許に捧げよう。



たまーに、可笑しな話が、頭に浮かぶのです。

ご容赦ください。


P.S この世界は、人間の胎と龍族の胎で、子供の生まれ方が違います。

余り前例がないので、国王はこれも危惧していますが、無事子供は生まれるでしょう。

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