第一部 第六章
そうしているうちに目的の第二十二号ダンジョンについた。
大体、主要なダンジョンには宿屋とかそういうものがいろいろと出来ている。
とくに、ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下になられて冒険者にとって有難い施設が次々と出来た。
簡単な武器の砥とか直しとかまでできる武具屋とかがダンジョンの近くに作られた。
とにかく、ギルドキングダムはダンジョン王国で、そのダンジョンも多岐に渡って、底知れずに拡がっている。
一説に殺しても殺しても減らないモンスターや次々と定期的に三階層以下に新発見のダンジョンが出てくることからも、実はダンジョンは生きていて成長しているのではないかと言う説を唱える研究者が現れるほどだ。
馬車をサザーランドが宿屋の大きな馬小屋に移動させるのを手伝うように俺がわざとついていった。
理由は簡単である。
調査の為だ。
「別に俺一人でできますよ」
そうサザーランドが一緒に馬小屋の中に馬を移動させながら笑った。
あたりには誰もいない。
これが俺がテンフィンガーズに入れた理由だ。
『スキルコミニュケーター。お前の心を隠さず見せろ』
俺が心の中で唱える。
相手は一瞬だけ固まった。
これは相手には見えないが、その瞬間に俺は相手の心で強く思っている出来事が大量に漫画の吹き出しのように次々と映像で見える。
相手が誰かに憎悪を抱いていれば、その怒りの場面と出来事。
それ以外にも仲間に隠している出来事などを次々と映像で見る。
だが、俺は首を傾げて悩んだ。
やはり、リーダーのバンに対してはちょっと困ったな程度で子供みたいな所を呆れて見ている所はあったが憎悪を抱いているわけでもなく、さらに特に彼が問題だと思う事も無いようだ。
あればこういうのは必ず映像で見えるからだ。
「あれ、ちょっと眩暈がした? 」
「まあ、疲れているんでしょ」
そう、サザーランドがくらっとしたので、俺が微笑んで答えた。
どうしても、少し記憶が途切れるせいで、意識が飛んでたと言う感覚は持つようなので、それはいつもの通り俺が疲れているのではと誤魔化した。
こうやって、下調べしていくといろいろな事が分かる。
問題は、これがブロックされてはじかれた時だが、そういうのは悪魔とかヤバい話が関わっているので困ったもんであるが。
俺が前世で和貴に殺された時にもっとコミニュケーションがちゃんとできる人間だったらなとか思ったせいで、この特殊スキルが転生時のボーナスで身についたようだ。
これは相手の気持ちにも精神感応的に働きかけれる。
例えば根本の憎悪に働きかけることで仲間割れをさせたり、微妙にうまくいっていないカップルの昔の好きだった気持ちを強くさせて、再度仲の良いカップルに戻したり、本当にサポーターと言うかテンフィンガーズの目指す工作に一番使い勝手が良いスキルだ。
勿論、それをするには相手に対する強い憎悪とか恋愛感情とかが最初に無いとそれを強化する事は出来ないのだが。
まあ、懸念と言えば、これを内緒で使っていてばれてないはずなのに、何故かベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が俺がこれを使っている事を知っていたらしくて、俺と同じようなスキルを持つものが陛下のまわりにもいるのかと思うと誤魔化しがきかないので少し怖い。
相手を完全に操るわけではないが、相手の忠誠心をより強くしたりとかコントロールができるレアな力なだけにヤバそうな話に使うようにベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下に言われたら逃げるつもりだ。
君子危うきに近寄らずと言う奴だ。
前世は失敗したので特にそう思う。




