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第一部 第二話

 そうして、その日の任務は上級のプラチナグループの冒険者チーム<ナックル>のサポーターだった。


 中級のシルバーグループから上級のゴールドグループに上がり、すぐに冒険者として大きな功績を上げて、さらに上級のプラチナグループに上がったばかりのグループなのだが、前々からリーダーの戦士が評判があまりよくなくて、噂はあったのだが、それ以上に依頼をこなし業績を上げていて、調査が入る前に上がってしまったとの事。


 改革に実態が追い付いていない感じで、実際、サポーターもギリギリ一杯一杯な上に詳しく調査できるのがテンフィンガーしかいないという事でしょうがないのだろうが。


 正直、俺はテンフィンガーになるんじゃ無かったなとは思ってます。


 何しろ、恐ろしいくらいに忙しいし、実は冒険者グループもヤバいのが居て、殺されるものもいる。


 それは狡猾にモンスターや魔物の攻撃を受けるように仕組まれたりして、非常にハードな事が良くあるのだ。


 テンフィンガーの危険さは通常のサポーターの十倍とか言われている。


 実際にその入れ替わりは結構激しい。


 勿論、入れ替わるときは死ぬ時か後遺症が残る酷い怪我をした時だが……。


 給与の良さと特権の多さで俺は受けたものの、割に合わないのではないかと本当に思う。


「いや、ハッキリと言う。割に合わない」


 そう俺が巨大なギルトの受付がある国会議事堂みたいな会館の横の喫茶店の椅子に座って愚痴った。


 この喫茶店は昔は酒場だったのが、べアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の命令で喫茶店になった。


 冒険者のイメージ向上の為と言う事で巨大な酒場は裏側に回った。


 だが、それのせいで冒険者は殆ど裏側の巨大な酒場に行ってしまって、今では殆ど喫茶店側には人がいない。


 ギルドの受付の女の子が休憩で来たり、まれに冒険者が来たりする程度になってしまった。


 だが、逆にサポーターにしては任務を受ける前のレクチャーなどの連絡の場になっていて便利ではあった。


「レオンさん。また、愚痴ですか? 」


 そう前にギルドの受付のサポーター関係をやっているアリアーネ嬢がいた。


 前はギルドの受付に居たのだが、その腰まである編み込んだ金髪と翡翠のような目が印象的な美しい容姿と巨乳で冒険者の人気を一手に集めて、逆にギルドの受付の邪魔になったので、昇進という形でサポーター関係の対応をすることになった女性だ。


 受付で邪魔になったのは、この人に受け付けて貰いたいと言う連中が集まって収拾がつかなくなったせいなのだが、それは決して彼女の容姿だけの問題ではなく、彼女の受付対応としての優秀さから来ている。


 正直、アリアーネ嬢はちょっといろいろと能力が高すぎるので、素性はその辺の一般人ではなく貴族とかの妾腹とかの訳アリの女性なんだろうなとは思っているが。


「愚痴しか出ないよ。こいつ、結構ヤバい奴じゃなかった? 」


 俺がそうアリアーネ嬢に突っ込んだ。


 <ナックル>とかいう名前は実はすぐリーダーのバンが殴るからだとか言われてる冒険者グループだ。


 鉄拳制裁の意味だとも言われている。


 古くからの仲間は残っているが、新人が入るとすぐに辞めるグループだ。


 ギルドキングダムは冒険者グループの巨大化も許容していて、グループのメンバーが増えていろんな仕事を複数のチームに分かれて受ける事で、さらに収益を増やして、下手したら一国に雇われる傭兵団みたいになっている冒険者チームもある。


 それを<ナックル>も目指していた雰囲気はあるのだが、どうも、新人が辞めていきすぎるので諦めたと言う噂がある。


 多分、昇格する前に入るはずのテンフィンガーのサポーターが<ナックル>に入らなかったのも、この辺の事情じゃないかと思う。


 というのは、この手の暴力冒険者グループはサポーターにも無茶苦茶する所が多いのだ。


 テンフィンガーでもこういうのに対応できるのは半分くらいだ。


 で、なぜ、それが俺に来るのかがわからんが。


「流石ですね。すでに情報を把握済みですか? 」


「いや、俺にばかり異様にヤバい奴が来るのはなんでなの? 」


「それは貴方が上手く相手をコントロールして問題のある人間をグループから辞めさせたり、冒険者チームの助言をして弱点を無くしたり、難しい恋愛関係を綺麗にまとめるのがお上手ですから」


 そうアリアーネ嬢が笑った。


 だが、俺は前世でそれで刺されて死んだんだけどと叫びたいところだった。


 まあ、前世とか言えないけどさ。

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