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第一部 第十話

 それで、小さなコウモリがダンジョンの中を飛んできた。


 俺がそのコウモリを優しく捕まえた。


 普通はコウモリは超音波ソナー能力を使って跳んでいるから簡単には捕まらないのだけど、俺は捕まえれる。


 非常に簡単な事で、実は俺の飼いコウモリだからだ。


 ピジョンバットと呼ばれる、伝書鳩のようにも使われる頭のいい種類で、テンフィンガーへの王家からの連絡で使われている。


 だが、これは俺の私物だ。


 幸いに俺はスキルコミニュケーターがある。


 そのせいで、実はこの知能の高いピジョンバットと簡単な会話が出来るのだ。


 ……誰か冒険者グループの十人くらいの集団が俺達の後をつけてきているとピジョンバットが教えてくれている。


 俺達の後をつけてきてるっておかしいな。


 こんな時間に入ってくる冒険者って普通はいないよな……。


 それだけは断言できるし。


 普通は宿に戻って食事して次の日の為に寝る時間だもの。


 一つ考えれるのはご褒美ダンジョンの強奪だけど。


 でも、こういうのは極秘で与えられるから、ダンジョンの横の宿屋でプラチナグループに上がったばかりの冒険者パーティーがダンジョンに入るって噂になって、それで追っかけてやる奴はいるかもしれないけど、それにしたって俺達は一泊もせずに宿屋に荷物を置いたらダンジョンに直行で入ったから、ここの冒険者達に存在が認知されてないだろうしな。


 宿屋に泊まって休まずに夕方にそのままダンジョンに直行と言うのは常識外だ。


 真面目に異常だもの。


 普通は馬車とかの移動で疲れ果てているから、こんな馬鹿な事は危険だし。


 寝て移動の疲れを取ってないと反応速度が落ちるのは当たり前だし。


 上位の冒険者グループがする事ではない。


 大体、そもそもが、それはギルドキングダムでは死刑リスクがあるから借金まみれの奴とかしかやんないもんだしなぁ。


 ……しかも、殺気立っているのか。


 なんだろう……凄く嫌な予感がする。


「それ、さっきダンジョンに入った時に放してたコウモリですよね」


 俺が悩んでいたら、サーラがそう聞いてきた。


 目敏いな。


 ばれないように暗闇に紛れて逃がしたはずなんだけど。


「本当にテンフィンガーなんですね」


 そうケインが驚いたように聞いた。


「はああああああ? 」


 俺が慌てた。


「いや、ピジョンバットを使ってるってテンフィンガーだけですし」


「いやいや、そんな事無いよう! 」


 そう俺が答えるが、確信めいたものがあるみたいで目が揺るがない。


 これもスキルコミニュケーターを手に入れたせいで、目の動きである程度相手の心が予測できるようになったからだ。


 参ったな。


「では、ちょうど誰も居なくて都合が良いので、できればもしもの時にレインさんが証人になってください」


 そうケインが心を決めたように俺に話す。


「証人? 」


 俺が奇妙な事を言われて訝しく見た。


 無理にでもスキルコミニュケーターでケインの心を読むべきか?


 だが、俺のスキルがバレてしまうしな。


 そう考えて悩んでいた。


 そうしたら、ケインがバンの前にいきなり騎士がやるように片膝をついた。


「殿下っ」


 そうケインが深く一礼した。


「え? 殿下? 」


 俺が動揺した。


 だが、バンだけでなく、周りのサザーランドもサーラも皆が特に驚いていなかった。


 それを当たり前のように受け止めていることは一番ばれにくいスキルコミニュケーターの能力の一つで見た彼らの目の動きで分かった。


「やれやれ、またそれか」


 そうバンがため息をついた。


「陛下が貴方をお待ちなのです」


 そうケインが深く再度頭を下げた。


 あまりの展開に俺が動揺していた。

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