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第一部 第九話

 バン達がどんどんと二十二号ダンジョンを三階層に降りていくので焦った。


 まさか、本当に今日に入るのか?


 徹夜になるやんけぇぇぇ!


 そう心の叫びをあげていたら、ケインと目が合った。


 ケインもそうやって心の中で慟哭しているようだ。


「あの……いつもこんな感じで行くんですか? 」


 俺がそうバンに聞いた。


「いやいや、俺、美味しいものを見ると後に置いとけない性格なんですよ。すぐに食べる性格なんです。だから、こんな素晴らしいダンジョンを次の日に入って探索とか無理なんですよ」


 などとバンが爽やかに熱く語って笑った。


「大体、いきなり到着して休みもせずに新ダンジョンの危険な階層に入っていったら、初めてうちの<ナックル>に入ってきた奴は驚きますよ。それでついてけないと思う奴はドンドン去っていく。まあ、そんな感じです」


「だから次々と辞めてくんですよ。ついていけないって」


 サザーランド達が笑った。


 これだ。


 もし、他に何もないなら、ボコボコ辞める理由はこれやんかっ!


 単なる、ダンジョン馬鹿だったって事かよ。


 任務終了やんか。

 

 いや、まあ、変なのが出てくるよりはいいけどさ。


「でも、ダンジョンを目指す者ってそういうものだろ? そうじゃなきゃおかしいよ! 」


 バンがそう爽やかに笑った。


 ヨーゼフとサザーランドが笑って顔を見合わせた。


 いやいや、なんだろう。


 この疎外感。


 ええええ、こんなのありなの?


 そう顔を引きつらせていたら、スケルトンが出てきた。

 

 良くダンジョンに出てくるモンスターだ。

 

 盾役のヨーゼフが前に出た。


 まあ、プラチナグループクラスだと盾役が出るまでもないレベルだが、基本通りにやっているのは感心できる。


 こういうので油断して討たれてしまうってのはまれにある話だし。

 

「はははははははははははははははははは! ヒャッハー! 」


 バンがいきなり盾役を超えて、あっさりと前進してスケルトンを斬った。


 いやいや、待てや!


 盾役のヨーゼフの立場は?


 だが、それはバンにとっていつもの事らしくて、突っ込む奴もいない。


「あの……何で御一人で最前線に突っ込むんですか? 」


 だが、ケインがそうバンに突っ込んでくれた。


「そこにダンジョンがあるからさ! 」


 そうバンが親指を良い顔をしながら立てた。


 訳が分かんねぇ。


 ケインもそれで凄い顔をしていた。


 ひでぇ調査になってきた。


「スケルトンだとしても、油断なく戦うべきではないですか? 」


 俺が一応、サポーターらしい忠告をした。


「いや、そういう不用意さとかそういうものも含めて、この空間を楽しむのがダンジョン探索者の粋だと言うものなんだと思ってますから」


 そうバンが笑った。


 なんか知らんけど痛い発言キター。


 ちょっと困った冒険者グループキター。


 何というか、周りのヨーゼフからサーラまで温かい目で見守っているのが辛い。


「これは……ちょっと想像以上だ……」


 ケインがそう困った顔で口を動かした。


 彼は何も声は出していないが、何とスキルコミニュケーターは読唇術も自動でやってくれる優れモノなのだ。


 何かを調べに来ている?


 そう予想するに十分な口の動きだった。


 誰もそれに気が付いていないが、ケインが明らかに落胆している。


 先に、心を読んでおくのは彼だったかな?


 ちゃんと心を読むにしたら、人のいない所で一対一でするしかないので、今は無理だし。


 困ったもんである。


 アリアーネ嬢の雰囲気だとヤバい案件だしな。


 碌なもんじゃない。


 


 




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