第八話
『ふむ、確かに面白い。戦闘本能も、適応力も……合格だな』
再び響いたその声は、やはり俺の脳内に直接語りかけてきた。
「誰だ、お前……!姿を見せろ!」
俺は剣を構えたまま、闘技場を見回す。だが、観客は熱狂しているだけで、異常に気づいている様子はない。
――まるで、俺にしか聞こえていない。
『姿を見せる必要はない。だが、いずれお前は来るだろう。我らの座す“最深層”へ』
“最深層”?
その言葉に、俺の背中を冷たいものが走る。
『生き延びろ、九条蓮。力を証明し続けろ。その先に、我らは待っている』
声がふっと途切れた瞬間、頭の中がすうっと静かになった。
「……なんだったんだ、今の」
理解できないまま、俺は剣を下ろした。
だが、何かが変わった気がする。いや、確実に“次の段階”に入った――そんな感覚。
「面白くなってきたじゃねぇか……!」
俺は不敵に笑いながら立ち上がった。まだ息は荒い。でも、立ち止まっていられるような世界じゃない。
『次のバトル準備中。闘技場を離れないでください』
機械的なアナウンスが流れ、俺は空を見上げた。
休む暇もなく、戦いは続いていく。
それでも構わない。だって俺の異世界生活は――
バトルしか、ないんだからな。




