第六話
「次の対戦相手の準備が整いました!」
実況の声が高らかに響くと、観客たちの歓声が一段と高まる。
俺はまだ息を整えている最中だった。
レオンとの激闘の余韻が全身に残っている。だが、この世界は待ってはくれない。
――休む暇なんてない。
闘技場の反対側、重々しい扉が開く。
「次は……何だ?」
そこから現れたのは、一頭の巨大な獣だった。
全身を鋼のような毛皮に覆われ、赤い双眼がこちらを睨みつけている。地面を踏みしめるたびに、闘技場が揺れる。
『魔獣ランカー、“黒鋼獅子”の登場だァッ!!』
「魔獣かよ……!」
人間の相手とは違う。こいつには理性も駆け引きもない。ただ本能で、俺を噛み砕きにくる。
俺は剣を握り直し、深く息を吸い込む。
「なら、それを超える力を見せてやるだけだ……!」
黒鋼獅子が雄叫びをあげて突進してくる。その巨体はあまりにも速く、避けるだけで精一杯だ。
剣を振るう隙すら与えられない。
「くそ、こいつ……!」
一撃を喰らえば即死。それほどの威圧感を放つ敵に、俺は冷静にタイミングを見計らう。
「――来いッ!」
ギリギリのタイミングで足元に滑り込み、背後を取る。
その瞬間、渾身の一撃を叩き込んだ。
黒鋼獅子が咆哮を上げて振り返るが、遅い。
「まだだッ!」
連撃を叩き込みながら、俺は自分の身体が更に鋭敏に進化しているのを感じていた。
この戦いもまた、俺を強くする。
だから、俺は止まらない。




