第十九話
光の道を一歩踏み出した瞬間、重力すら失われたような感覚に包まれる。
俺の足元から大地が消え、身体は空間に溶け込むように進んでいった。
ただ一つ、道だけが輝き、俺を“最果て”へと導く。
「……ここが、最後の領域か」
辿り着いたその先には、ただ一つの“空間”があった。
何もない白い床、天井すらない空間の中心に、玉座が一つ。
そこに腰掛けていたのは、白いローブを纏った、静かな気配の男だった。
年齢も性別も、見た目からは一切読み取れない。ただ、“存在そのもの”が圧倒的だった。
「……来たか、神殺しの資格者」
男がゆっくりと顔を上げる。
その瞳は、すべてを見通すかのように静かで深い。
「お前が……神か」
「否。我は、“この世界を設計した存在の端末”に過ぎぬ」
「は?」
「お前が戦ってきた意味、力を奪い、吸収してきた理由。
そのすべては――ある存在を討つため」
玉座の男は、指を鳴らした。
次の瞬間、空間が歪み、俺の目の前に一人の人物が姿を現した。
「……嘘、だろ」
そこにいたのは――九条蓮。
もう一人の“俺”だった。
「始めよう、最終戦。
真なる“神殺し”となる者を、この場で選別する」
玉座の男が静かに告げた瞬間、もう一人の俺が剣を抜いた。
「お前が俺を殺るのか。なら、全力でこいよ」
俺もまた、剣を構えた。
ここから先は、誰にも譲れない。
最果ての戦いが、今、始まる。




