第一話
バトルの勝利の余韻に浸る間もなく、俺――九条蓮は新たな対戦相手を告げられていた。
『次の挑戦者は、凶悪なる闇の魔導士、ヴァルド!その冷酷な魔術に耐えられるか、九条蓮!』
目の前の闘技場の扉がゆっくりと開き、中から黒いローブを纏った男が静かに姿を現した。男の周囲には不気味な瘴気が漂い、その瞳は冷たく、感情が見えない。
「貴様ごときが相手とはな……退屈だ」
ヴァルドは淡々と呟くと、右手を高く掲げた。瞬間、俺の足元に禍々しい魔法陣が展開し、紫色の雷が迸る。
「っ……!」
瞬時に飛び退き、攻撃を回避するが、俺がさっきまで立っていた地面が激しい爆発音と共に吹き飛んだ。
「マジで殺る気かよ!」
叫びつつも俺の身体は自然に動いていた。先ほどの戦いで得た感覚がまだ鮮明に残っている。
――戦いは、身体が覚えている。
俺は地面を蹴り、ヴァルドとの距離を詰める。
「愚かな!」
ヴァルドは手を振りかざし無数の黒い槍を放った。ギリギリで避けながら駆け抜け、間合いに入った瞬間、俺は剣を鋭く振り下ろした。
金属音と閃光。
「なにっ!」
ヴァルドの瞳に初めて動揺の色が浮かぶ。
俺はその隙を逃さず、再び剣を振りかぶった。
――ここからが、俺のバトルだ。




