第十八話
俺の剣が渦を切り裂くと同時に、オーバーロードの双剣が真横から振るわれる。
「……っ!」
ギリギリで剣を立てて受け止めるも、圧力は凄まじく、地面に叩きつけられるように沈む。
だが――感じる。
この戦いの中で、俺の力が確実に“変化”していることを。
「……もう一度、いける」
立ち上がりながら、集中する。吸収してきた力の全てが、今ここにある。
黒鋼獅子の筋力、レオンの剣速、ヴァルドの魔力、シヴィアの霧隠れの動き、ユウトの暗殺術。
それらが俺の中で、今――一つになる。
「いくぞ、オーバーロード!!」
重心を低く、空気を一気に吸い込んでから跳びかかる。
今度は、先に動いたのは俺だ。
剣の一撃目をフェイントに、二撃目を下段から突き上げる。
オーバーロードが片手の大剣で受け止める。
その瞬間、俺は霧のように消えた。
「――背後か!」
読み通り。だが、さらにもう一手。
背後からの一撃を寸前でやめ、逆に空中で反転。真正面からの三撃目を放つ!
「……っらあああああっ!!」
オーバーロードの双剣が交差し、俺の剣とぶつかる――しかし、今度は違った。
ギィィ……と音を立てながら、俺の剣が押し込んでいく。
「これは……!?」
オーバーロードの仮面越しの目に、わずかな動揺。
「終わりだぁあああああっ!!」
渾身の力を込めた一撃が、彼の大剣を押し開き、胴を斬り裂いた。
空間が振動し、重く冷たい沈黙が広がる。
数秒後、オーバーロードは静かに大剣を地面に突き立て、膝をついた。
「……見事だ、九条蓮。貴様には、進む資格がある」
その瞬間、彼の背後にあった光の道が強く輝き始めた。
「次が、“最果て”だ」
オーバーロードの言葉に、俺は静かに頷いた。
――ついに、“神”がいる場所へ辿り着く。