第十七話
大剣と剣がぶつかり合った瞬間、轟音が異空間に鳴り響いた。
「ッ……重い……ッ!!」
一撃だけで、腕が痺れる。オーバーロードの振るう双剣は、ただの重量ではない。“圧力”そのものだった。
「遅れてはいるが、悪くない反応だ」
彼は淡々と告げると、再び踏み込んできた。
二本の大剣が交差し、刃の嵐が俺を襲う。剣速は決して速くないが、一発一発が凶器のような質量を持っている。
「――ぐっ!」
受けるだけで精一杯だ。黒鋼獅子の筋力強化を全開にして、ようやく対抗できるレベル。
「なら、こっちも本気でいく……!」
俺は一瞬で距離を取ると、地面を蹴って跳躍。その空中で、レオンの剣速スキルを発動させ、ヴァルドの魔力を刃に纏わせた。
「全開でいくぞッ!!」
空中から振り下ろした一撃が、オーバーロードの大剣と正面衝突。
しかし――
「浅い」
淡々と告げられたその言葉と同時に、俺の身体が吹き飛ばされた。
岩を砕き、空間の端まで叩きつけられる。
「がはっ……くそ……っ!」
立ち上がると同時に、胸に浮かぶのは焦りではなく、興奮だった。
「こんな強敵……初めてだ……」
オーバーロードが大剣を静かに構え直す。
「この程度で終わるな、九条蓮。貴様には“先”がある」
その声は試すようでありながら、どこか優しさすら含んでいた。
「なら――その“先”を俺がぶっ壊して見せてやるッ!!」
俺の剣が、再び光と闇の渦の中へ突き進んだ。