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第十二話
光の奔流が闘技場を包み込み、一瞬、視界も聴覚も奪われた。
耳鳴りが残る中、俺は地面に伏せた体勢で身を起こす。
「……ユウト!」
叫んでも、返事はなかった。
光が収まった闘技場には、ユウトの姿はどこにもなかった。
代わりに、彼が立っていた場所に、小さな黒い石のような物体が転がっていた。
「これは……」
拾い上げると、それはまるで“鍵”のような形をしていた。
その瞬間、またあの“声”が脳内に響いた。
『第一関門、突破確認。最深層への“通行権”を授ける』
「通行……権?」
俺が困惑していると、闘技場の床の一部が静かに開いた。
そこには、黒い渦のようなゲートが口を開けている。
「……マジかよ」
あいつ、最初からこのために戦ってたのか。
自分を犠牲にしてでも、俺を“次”へ進ませるために。
拳を握りしめ、俺は一度だけ空を仰いだ。
「ユウト……お前の分まで、俺が全部ぶっ壊してやる」
そう誓い、黒いゲートへと足を踏み入れた。
次のステージが、俺を待っている。