第十一話
剣と短剣が幾度となく交差し、火花を散らす。
そのたびにユウトの目は冷たく光り、まるで機械のような正確さで次の攻撃へと移ってくる。
「……マジで、今までの敵とは違うな」
全力で剣を振るいながら、俺は思わず呟いた。
ユウトは俺の剣筋をすでに見切っているように動いていた。単なる反応速度じゃない。経験値の差。技の深み。
「なら、こっちも試すしかねぇな」
俺はバックステップで距離を取り、手の内に眠る新たな力を呼び覚ます。
――黒鋼獅子の力。あの魔獣から得た“瞬間筋力強化”。
「喰らえッ!」
次の瞬間、俺の身体が空気を裂いてユウトへと突っ込む。
鋼のごとき踏み込み。強烈な一撃を叩き込む。
「……っ!」
ユウトはギリギリでガードしたが、吹き飛ばされて闘技場の壁際まで弾き飛ばされた。
観客がどよめく。
「やっと……一発入ったか」
だが、ユウトはすぐに立ち上がる。そして、表情ひとつ変えずに言い放った。
「……殺せ。迷うな、九条蓮」
「は?」
「俺はここで終わる。お前が、“奴ら”を倒すために先に進め」
意味がわからない。
何を言っているんだ、コイツは。
「……お前、知ってるのか? “最深層”のことを」
ユウトは短く頷いた。
「全部知ってる。だから――お前が行け」
その言葉と同時に、彼の体から異様な気配が溢れ出した。
これは……自爆?
「おい、やめ――っ!!」
次の瞬間、光が弾けた。