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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

転生しなかったんだが

作者: 曙に鴉
掲載日:2026/01/05


 俺はしがないサラリーマンだ。

 特技も趣味も運動神経も面白みもない。勤め先が弩級のブラック企業であること以外は特徴がない。


「はぁ……」


 思わずため息が出る。

 これから出勤。法に触れない程度にいびってくる意地の悪いクソ上司、低い賃金とそれに反してバカ高い社食、終電直前まで続くサビ残。食費を半分削って牛のように飲みまくるエナドリ。


 俺は、

 本当に、


「なんのために、生きてんだろなぁ……」


 その問いに答えを見出すことができず、ズルズルと同じ日々を過ごしていく。

 いっそのこと死にたい、されど死にたくない。生憎自ら命を断つ勇気など持ち合わせていない。


「……」


 やり直すったって、どこで間違ったかもわからない。あの会社に入る前から、何か間違っていたんじゃ?

 そもそも、俺が生まれたこと自体が間違いだった?


 わからない。分からない。解らない。


 ああ、消えたい。

 だけど死にたくはない。


 でも、運命はクソ上司よりもさらに性格が悪かった。


「……ッ!?」


 胸に激しい痛みが走る。

 昔、とある検索エンジンで『過労死』と検索をかけたことがある。過度な労働により心筋梗塞、そして心臓麻痺が起こることがある、と書いてあった。

 きっとそれなんだな、と理解する。

 理解はするが、落ち着いているわけではない。死にたくない気持ちは未だ消えていない。怖い。消えたく、ない。


「キャーーーーッ!!」


 風船のように膨れ上がった恐怖の感情を、甲高い悲鳴が突き破った。

 自分が倒れたのか?そのせいで悲鳴を上げたのか?とも思ったが、違った。


 目線の先から、通り魔が、こちらに向かって──


「死ねっ、ぇえぇえっ!!」

「……ぁ……」


 脇腹を刺される。

 胸は痺れるように痛く、腹は燃えるように痛い。なんだ、なんなんだよ。


「が、ごっ、」


 ふらふらと、おぼつかない足取りで、通り魔から、逃げる。逃げたところで、心臓はすぐ止まってしまうとわかってはいるが。

 

 一歩、二歩、三歩。

 

 歩み出た先は、歩み出た先には、



 車道。



「ぁ」



 心の臓を激痛が襲ってからここまで、わずか10秒。



 キキィィーーーーッ、



 ドンっ。



 青いトラックが、俺の体を思い切り吹き飛ばし──






























故・俺君 『えっ、終わり!?!?!』

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