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二人の彼女がいる理由  作者: G3M
第2章 誕生日会
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転校の書類

「範経君が来てくれたわよ」と母の裕子が応接間の入り口で言った。


「こちらに通してくれ」と父の隆行。


「範経君、よく来てくれたね」と言って隆行は範経を迎えた。


「お久しぶりです。お招きをありがとうございます」と範経。


「早く入りなさい。そこに座って」と隆行は自分の向かいの席に座るように促した。「今回はひどい濡れ衣を着せられているようだね。」


「そうなのです。すっかりまいってしまいました。女子生徒の写真がインターネット上でばらまかれるたびに周りの目が冷たくなって、いたたまれません。家では母親や姉さえ口をきいてくれなくて」と範経。


「だからまた家出かい?」と隆行。


「お見通しなんですね」と範経。


「娘から聞いたんだよ。由紀にせがまれて転校の書類を取り寄せている」と隆行。


「申し訳ありません。でもその必要はありません」と範経。


「私もそう思うのだが、一応説明しておこう。君たちの学力なら、この地域にあるそこそこのレベルの私立高校にいつでも転校できる。だができればそんなことはしないで欲しい。先生方も望んでいないだろう」と隆行。


「私はお嬢さんにご迷惑をかけるつもりはありません。しばらく学校を休めば、ぼくが犯人でないことがわかります」と範経。


「私は君に家出を勧めるわけにはいかないよ。娘からの冷たい視線で私は死んでしまう。それなら転校をすべきだ」と隆行。


「お嬢さんに悲しい思いをさせるつもりはありません。必ず戻ってきます」と範経。


「そうだな。でも複雑な気分だよ」と隆行。


「わかります。空気を読んでこの機会に僕がいなくなるべきなんでしょうね」と範経。


「飛びぬけた人間の定めだよ。愚かな父親の繰り言だと笑ってくれてかまわない」と隆行。


「お父さん、いい加減にして!」と由紀。


「話はこれで終わりだ。ゆっくり遊んで行ってくれ。泊まっていくなら夕飯も用意するから」と隆行。


「わかったわ、お父さん。さあみんな、私の部屋に行きましょう」と由紀は友達を連れて応接間を出た。


「ごめんね、お父さんが変なことを言って」と由紀。


「いいや。お父さんはぼくのことを子ども扱いしないから好きだな」と範経。


「由紀は大事にされてるんだよ」と祥子。


「そうよね。とっても真剣に心配してたわ」と玲子。


「ぼくは危険人物だからね」と範経。


「何言ってるのよ。ストレスで寝込んでたくせに。今度倒れたらベットで介抱してあげるから」と由紀。


 「それはちょっと楽しみだな」と範経。


「たっぷりかわいがってあげる」と由紀。


「いやらしいおじさんと女子高生みたいだわ」と玲子。


「いやーね」と祥子。


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